味噌煮込みうどんに限らず、うどんでもラーメンでもソバでも汁は美味しいものです。
汁を全部飲んでやっと満足、という人もいますね。
しかし、うどんの汁は塩分過多になるから飲まない方が良いという意見もあります。
それは、本当なのでしょうか。
今回は、味噌煮込みうどんの汁についてのお話です。
味噌煮込みうどんの汁を飲むと塩分が心配
血圧が高いと、味噌煮込みうどんどころか味噌汁の汁も飲むのはダメと言われることがあります。
味噌汁は汁まで味わいたいという人にはツライですよね。
味噌は製造する時に塩を入れますし、味も塩辛いものです。
しかし塩と味噌は違います。
塩分が多いと思われがちな味噌煮込みうどんの食塩相当量は意外と少なく、1食当たり3.32グラムです。
成人1人当たりの1食分の食塩量目安2.5グラムといわれています。
味噌煮込みうどんでは、0.72グラム多く摂ることになります。
この量を多いと考えるか、それとも、それくらいなら大丈夫と感じるかはその人次第です。
現在健康で、特に塩分を控えるよう医師や看護師から注意されている人でなければ、全て飲んでもそれほど心配はいりません。
しかし、血圧や糖尿病の危険がある人は気を付けた方が良いでしょう。
塩分が気になる人は、具材に入れる野菜を工夫するのがおすすめです。
味噌煮込みうどんには野菜がいれてあります。
ほうれん草や小松菜、にんじんや長ネギが定番ですね。
この野菜に含まれるカリウムは、味噌に含まれるナトリウムとバランスを取る役割を持ちます。
そのため、味噌煮込みうどんの汁を飲んでも、野菜を食べてバランスをとることで、ナトリウムの摂りすぎを防ぐことができます。
気になる人は、カリウムが含まれる野菜を多めに入れる工夫をしても良いですね。
味噌煮込みうどんの汁まで飲むと栄養たっぷり
味噌煮込みうどんはもともと栄養がたっぷりの食べ物ですが、汁まで飲むと栄養的にも少し変化があります。
それは、
・ナトリウム
・ビタミンB2
・ナイアシン
・ビタミンK
・パントテン酸
・セレン
・銅
・モリブデン
が1食の必要量を、上回ることです。
ナトリウムはともかく、ビタミンB群・K・銅が多いのはとても重要なポイントです。
もしかしたらエネルギー量が気になる人もいるかもしれません。
味噌煮込みうどんの1食分のエネルギー量は、570キロカロリーです。
グラムにすると味噌ラーメンよりも多いのに、エネルギー量はほぼ一緒です。
意外にも、つけ麺が645キロカロリー、ミートソースパスタが614キロカロリーですから、つけ麺やミートソースパスタよりもカロリーが低いのです。
そして一番のポイントが、味噌に含まれるビタミンB群の多さです。
これは汁を飲むことに意味があります。
ビタミンB群は炭水化物や脂質、たんぱく質をエネルギーに変える時に補酵素として働きます。
そのため、うどんの炭水化物を摂ってもビタミンB2がしっかりとエネルギーに変える役割をします。
温かい汁を飲むと、身体の芯まで温まり新陳代謝の促進にもなります。
また、具に入れる野菜にはカリウムも含まれますので、ナトリウムとのバランスを取ることもできます。
野菜をさらに増やせば、もっとカリウムを多く摂ることができます。
銅もかなり多く含みますので、貧血を予防する効果もあります。
このように、味噌煮込みうどんは汁を飲むことでさらに栄養満点な食べ物になるのです。
汁まで飲むには工夫が必要
それでも、やはり気になるのはナトリウム、塩分の多さです。
そこで、塩分控えめの味噌を使って、味噌煮込みうどんを作ってみましょう。
これであれば安心して汁まで飲むことができます。
通常、1食分の味噌煮込みうどんには、味噌を30グラム~50グラム使います。
今回は、味噌煮込みうどんに30グラムの味噌を使うと仮定して、味噌の塩分量を計算してみます。
味噌は大さじ1杯が18グラムですから、30グラムはおよそ1と2/3杯分ですね。
味噌は種類によって、塩分が違います。
辛口味噌と、甘味噌では、辛口味噌の方が1.5倍から2倍も塩分が多くなります。
例えば、関東では味噌煮込みうどんというと赤味噌を使います。
赤味噌のほとんどは辛口味噌になります。
赤味噌で、味噌煮込みうどんを作ると、30グラムの味噌の中に塩分が3.3グラム~3.9グラム含まれることになります。
味噌煮込みうどんの本場、名古屋の八丁味噌を見てみましょう。
すると、同じ分量を入れても、塩分は3グラムになります。
八丁味噌の見た目は、濃い色をしていますが、豆麹を使っていますので、見た目ほど塩分は多くありません。
さらに「塩分控えめ」「減塩」という名前で販売している味噌を使えば、塩分は2.4グラム~2.7グラムになり、かなり控えることができます。
それでも、塩分が心配という人は、出汁の取り方を工夫して下さい。
市販の粉末だしには塩分が含まれていますが、鰹節や昆布でしっかりと出汁を取ると、余分な塩分を摂らずに済みます。
汁まで飲みたいけれど、塩分の摂りすぎが心配という人はちょっとした工夫で違いが出てきます。
塩分の心配をせずに、味噌煮込みうどんの汁まで飲むには、色々と工夫も必要ですね。
味噌煮込みうどんの汁まで美味しいレシピ
塩分を気にしないという人にとっておきの、汁まで美味しい味噌煮込みうどんのレシピご紹介します。
【材料 2人分】
・茹でうどん 2玉
・鶏もも肉 80g
・長ねぎ 1本
・白菜 1/8株
・蒲鉾 1/4個
・干しシイタケ 4枚
・卵 2個
・鰹出汁 550ミリリットル(鰹節1カップ)
・八丁味噌 50グラム
・甘味噌 10グラム
・みりん 小さじ2
【作り方】
①干しシイタケは、前もって戻しておきます。
②水600ミリリットルを沸騰させて、鰹節1カップを入れます。
③再沸騰したら、火を止めて数分置きます。
④鰹節が沈んだら、キッチンペーパーで越して、鰹出汁を取ります。
⑤鰹出汁550ミリリットルと、干しシイタケの戻し汁50ミリリットルを、合わせておきます。
⑥長ねぎは斜め切りにします。
⑦白菜は食べやすい大きさに切ります。
⑧干しシイタケは石づきを取り、食べやすい大きさに切ります。
⑨蒲鉾は5~7ミリくらいの厚さに切ります。
⑩鶏肉は熱湯に通して、そぎ切りにします。
⑪鍋に、鶏肉、出汁を入れて、火にかけます。
⑫沸騰したら弱火にします。
⑬あくを取って中火で10分ほど煮ます。
⑭うどん、白菜、長ねぎ、干しシイタケを入れます。
⑮八丁味噌と甘味噌、みりんを合わせてから、鍋に入れて5分ほど煮ます。
⑯白菜がしんなりしたら、卵を割り入れます。
野菜をたくさんいれることで、塩分のバランスを取ることができます。
汁を飲むことができる、美味しい味噌煮込みうどんです。
味噌煮込み鍋で美味しいシメのうどんとおじや
うどんは鍋のシメに入れると美味しいですよね。
さらに汁が残ったら、ご飯を入れておじやを作りましょう。
前項でご紹介したレシピは2人分の分量ですが、味噌煮込みうどんではなく、味噌煮込み鍋として3~4人で楽しむこともできます。
同じ要領で、鶏肉を80グラム多めに入れるか、鶏のつくねを入れます。
えのきやシメジ、小松菜やもやし、豆腐を増やしましょう。
最初に、卵やうどんを入れずに、鍋として楽しみます。
その後、シメにうどんを入れます。
うどんを楽しんだら、ご飯と卵を入れます。
これで汁を残さずすべて楽しむことができます。
汁を飲む、というよりも食べてしまう、になりますね。
元々2人分の味噌の分量ですから、おじやにして汁を飲むとさらに1人分の塩分は半分になります。
子どもがいる4人家族なら、こういった楽しみ方もあります。
2人なら、レシピの分量を半分~2/3くらいに減らして、同じ様に楽しむことができます。
寒い時には身体が温まる、味噌煮込みうどんならぬ、味噌煮込み鍋です。
味噌煮込みうどんのセットもおすすめ
味噌煮込みうどんと言えば名古屋ですが、名古屋はもう一つの麺きしめんが有名ですね。
名古屋では、味噌煮込みうどんのうどんと味噌をセットにして販売している企業やお店があります。
きしめんやうどんの製麺店で販売しているセットは麺が主力になりますので、味噌はすでに合わせ味噌にみりんを入れた調味料や「味噌味」の素になっています。
味噌煮込みうどんセットの「味噌の素」は、添加物を含んでいるものもあります。
しかし、ちょっと食べたいというときに簡単に作れるのでおすすめです。
気を付けてほしいのは、セットの場合、塩分の調整が出来ないということです。
塩分を気にしているのであれば、汁まで飲むのはやめた方が良いかもしれません。
名古屋には味噌煮込みうどんの専門店もあります。
味噌煮込みうどんの専門店の中には、店と同じ味を再現した商品を通信販売しているお店もあります。
このような商品を使えば、野菜と鶏肉を用意するだけで家庭で汁まで飲むことができる美味しい味噌煮込みうどんを作ることができますよ。
味噌煮込みうどんで温か食生活
味噌煮込みうどんは、塩分が一番気になります。
その分の塩分を、他の食事で控えてれば大丈夫です。
意外とカロリー控えめな味噌煮込みうどんは、汁を飲むことで身体を温め、新陳代謝を促進する効果もあります。
味噌煮込みうどんで、身体の芯からホカホカになり、健康食生活を目指しましょう。