甘酒は、ブドウ糖をはじめ、ビタミン類、必須アミノ酸を多く含む飲み物です。
材料は米麹・米・水。
たったこれだけですが、麹菌の働きで、プロテアーゼ・アミラーゼ・リパーゼなど、消化を助ける酵素がたっぷり入っています。
消化を助けて栄養を吸収しやすい甘酒は、弱った体にマッチした飲み物です。
そのため、飲む点滴ともいわれています。
そんな甘酒を手作りするのに役立つ、家計にやさしい麹と米の割合をご紹介します。
「飲む点滴」ともいわれる甘酒の栄養素
私たちにとって甘酒は冬のイメージがありますが、古くは江戸時代から、夏の滋養強壮の飲み物として親しまれてきました。
甘酒は、夏バテ防止のため、冷やして飲まれていたといいます。
甘酒は酒粕で作るタイプもありますが、米麹から作った甘酒は、自然で優しい甘みでまた格別です。
米麹から作った甘酒は飲み物としてだけでなく、砂糖やみりんに変わる調味料としても使えます。
しかも、甘酒には100以上の酵素が含まれています。
この酵素は、デンプンをブドウ糖に、タンパク質をアミノ酸に分解するなど、食材のさまざまな成分をおいしく変化させます。
甘酒はブドウ糖を多く含むため、「飲む点滴」と言われるほか、美白効果のあるコウジ酸を含むため、「飲む化粧水」と称されることもあります。
この甘酒を手作りする方が増えているのです。
「でも、甘酒作りに米麹が必要なんでしょう。米麹って高いよね」
と、少し不安になる方もいらっしゃると思います。
確かに米麹はスーパーなどで、200g400円程度で、少し高い印象です。
「この割合でないと甘酒は作れない」というような麹と米の割合はありませんが、家計に負担が少ないように、もっと少量の麹でもおいしく作りたいですよね。
甘酒を飲むのにおすすめなのは寝起きや食後
寝起きにブドウ糖が豊富な甘酒を取ると、脳の働きが活発になり、すっきりと起きられます。
朝食を食べない方も、代わりに甘酒を摂取してみてはいかがでしょうか。
また、食後に甘酒を摂ることで、腸内環境を整えて消化を助ける働きも期待できます。
お風呂上りやスポーツの後にも、まずは甘酒を飲んでみてください。
新陳代謝が高まり吸収率も高くなっているので、飲むタイミングとしておすすめです。
二日酔い防止にも、お酒を飲む前に甘酒を飲んでおくのも良いでしょう。
「甘酒」という名前はついていますが、家庭で米麹から作る甘酒にはアルコール分は含まれていません。
安心して飲んでくださいね。
おいしい飲み方としては、好みの甘さにお湯などで割って、生姜汁などを加えると風味が増し、体も温めてくれます。
暑い季節は冷たくして、牛乳やりんごジュースを混ぜると、口当たりの良いアイスドリンクになります。
夏バテ防止にもおすすめの習慣ですね。
それでは、おいしい甘酒を作るために、気になる麹と米の割合についてご紹介します。
おいしく作れる麹と米の割合は麹100%
「米麹だけで作ってみてごらんなさい、本当においしいから」
と、ある料理研究家の方からアドバイスをいただき、米麹と水だけで作ってみました。
手間いらずなので、初心者には麹と米の割合=1対0が楽ちんでいいですね。
ただし、いつもこんな割合で作っていたら、家計に響きます。
まずは作り方をご紹介します。
【用意する道具】
・鍋(大・中 重ねて湯せんに使えるもの) 各1個
・温度計
・木べら
※ヨーグルトメーカーがあれば便利です
米麹で作る甘酒
【材料】
・米麹(乾燥) 200g
・お湯 300ml
【作り方】
①中鍋に米麹を入れて、てのひらで挟んで、バラバラと1粒ずつにほぐします。
②そこにお湯を入れて混ぜ合わせます。
③お湯を入れた大鍋に②の中鍋をセットして湯煎し、米麹と水が55度~60度になるように調整して、時々木べらなどで混ぜて8時間保温します。
④味見して十分甘みが出たら完成です。
発酵を止めるため、湯せんを外して甘酒を沸騰させます。
ここでのポイントは温度管理です。
甘酒は、麹菌が作ったアミラーゼという酵素が、米のでんぷんを糖化することで作られます。
温度が70度以上になると酵素の活性が失われ、逆に50度以下になると酵素の働きが悪くなってしまいます。
ヨーグルトメーカーなどの保温器を使う場合はそれほど心配ないのですが、鍋で湯せんをする場合は十分注意してくださいね。
米麹だけで作った甘酒は確かに甘いのですが、米も使った甘酒と比べて、本当に優位性はあるのでしょうか。
失敗しない甘酒づくり、基本的な麹と米の割合は1対1
次に、麹と米の割合=1対1の場合です。
米麹のパッケージに書いてあるレシピも1対1、米と米麹がほぼ同量ですね。
ということは、一般家庭でもこの比率で作っている方が多いということでしょう。
<米麹と米で作る甘酒>
【材料】
・米麹(乾燥) 200g
・米 180g(1合)
・水 800ml
【作り方】
①おかゆを炊きます。
米を洗って炊飯器の内がまに水と一緒にセットし、おかゆモードで炊飯します。
②炊きあがったおかゆを中鍋に移して60度に冷まして、米麹をもみほぐして入れて混ぜます。
③お湯を入れた大鍋に②の中鍋をセットして湯せんし、55度~60度になるように調整します。
途中木べらなどでかき混ぜて、8時間保温します。
④米麹だけ同様、火を入れて醗酵を止めます。
米麹のみと比べて、甘酒が倍以上作れるのでリーズナブルな印象です。
気になる味ですが、米麹だけで作った甘酒とまったくひけを取らない甘さなのです。
少量の麹でどこまで作れる!?麹と米の割合が1対2
それでは、もっと麹の量を少なくしても、おいしい甘酒を作れるのでしょうか。
麹と米の割合を1対2まで変えてみました。
<米麹と米で作る甘酒>
【材料】
・米麹(乾燥) 100g
・米 180g(1合)
・水 800ml
作り方は、1対1の場合と同様なので割愛します。
米麹が半分の100gなので心配なのは甘みです。
ですが、これでもそこそこ甘さがあり、問題なさそうです。
しかし、米麹だけで作った場合と比べると、やはり甘さが弱いのは否めません。
もっとも、甘さを引き出すには温度管理の影響が大きいので、時々かき混ぜて温度を点検するなど、こまめにチェックすることで、改善することはできます。
最初の米麹だけで作った場合は米麹200gで甘酒が400ml作れて、1対2の場合は米麹200gで作れば甘酒が2000ml、つまり5倍も作れるのですから、かなりお得ですね。
家計を預かる身としては、麹と米の割合=1対2で作ることをおすすめします。
甘酒を使いきれない、そんな場合の方法
甘酒は清潔な容器に移して、冷蔵庫で2週間保存が可能です。
折角、麹と米の割合=1対2でたくさん作った甘酒なのですから、どんどん飲んでいただければと思います。
でも飲みきれない、という場合の利用方法と保存方法をご紹介します。
<甘酒の利用方法>
・例えばいつもの味噌汁に、ひとさじ甘酒を加えてみてください。
味噌汁の塩かどが取れて、味がまろやかになります。
・天然の甘みを生かして、砂糖やみりんの代わりの調味料としても、ぜひお使いください。
・火を入れて発酵の働きを止めていない甘酒ならば、肉や魚の漬けに使えば、酵素プロテアーゼの働きでタンパク質がアミノ酸に分解されてうま味もアップします。
<甘酒の保存方法>
・作ってすぐに小分けして冷凍しておけば、約3か月保存できます。
・ペースト状になるまで煮詰めて冷蔵庫に入れておけば、飲みたいときにさっとお湯で割って、ホットドリンクを楽しめます。
<甘酒アレンジレシピ>
・いつもの味にちょっと飽きたら、イチゴやキウイなどと一緒にミキサーで。
冷やしてスムージーとして飲むとおいしいですよ。
甘酒で菌活スタートしましょう
甘酒を作るのに最適な麹と米の割合は1対1。
しかし1対2でもそこそこの甘みは出せることがわかりました。
甘酒は飲み続けていると、腸内環境が整ってくる・お肌の調子が良くなるなど、女性に嬉しい効果が期待できるようです。
食べる量としては、おちょこ1杯から200ml程度。
毎日少しずつ、おいしさも楽しみながら続けていただければと思います。
さあ「菌活」を始めてみましょう!