梅が出始める季節が来たら、梅仕事が始まります。
手作りが好きな方は、もうワクワクしてたまらないことでしょう。
まずは青梅を使って梅酒や梅シロップ、カリカリ梅。
黄色や赤に色づいた梅が出回ってきたら、梅干し作り。
何年も熟成することでおいしく食べたり飲めたりするものもありますが、できたらすぐに飲める梅シロップはまた格別ですね。
今回は上白糖を使った、簡単にできる梅シロップの作り方をご紹介します。
初夏限定。梅が手に入ったら梅シロップを作りましょう
爽やかで甘酸っぱい初夏の味覚といえば、梅シロップや梅酒ですね。
梅仕事のなかでも、簡単に作れて比較的早く飲めるようになる梅シロップは、失敗が少なく、梅仕事の初心者にぴったりです。
また、梅エキスは果汁なので、アルコールの苦手な方や子どもたちの夏の飲み物としてもおすすめです。
梅酢が夏の弱った体に働きかけて、夏バテ防止や熱中症対策にも役立ちます。
長く熟成させることでおいしくなる梅酒などと違い、賞味期間が短いのでプレミアム感もある梅シロップ。
梅がお店に並ぶこの時期を逃してしまうと、次に作れるのは一年後です。
ぜひ時期を逃さずに梅シロップにチャレンジしてください。
今回は、上白糖でも簡単にできる梅シロップの作り方をご紹介します。
梅シロップ作りに向いている良い梅の選び方
その年によっても多少違いますが、梅の出始めの5月下旬から6月上旬には、スーパーの青果売り場を毎日チェックしましょう。
梅が売り場に並ぶ時期はおおよそ1カ月間と本当に短いので、うっかり見落とさないように気を付けてください。
緑色の硬い梅から出始めて、その2週間後に黄色や赤の軟かい実が出てきます。
梅シロップや梅酒作りに向いているのは緑色の梅の実(青梅)で、梅干しにするのは全体が黄色くなった軟らかい梅ということを覚えておいてください。
青梅が売り場に並ぶ、2週間を見逃さないようにすることが、とても大切なんです。
梅は大体1kg入りの袋で売っています。
梅酒などを作る場合は、なるべく傷や柔らかい実が混じっていないものを選びますが、梅シロップの場合はそれほど神経質にならなくても大丈夫です。
南高梅などのブランド梅は確かに良いですし上手に作れますが、梅は意外に高価です。
1kg1000円以上では手を出しにくいこともあると思います。
産直市などの、農協や農家が出しているお店などが家の近くにあるようならば行ってみてください。
見た目はイマイチでも安価ですし、新鮮で傷みが少なく、大粒で果肉の厚い梅ならば、エキスを多く抽出できるのでおすすめです。
梅と上白糖を準備したら、次に作り方をご紹介したいと思います。
グラニュー糖と上白糖の違いって何?
梅のほかに、梅シロップを作るときに必要なのは砂糖です。
砂糖にも、上白糖・グラニュー糖・氷砂糖などがあって、どれを使ったらいいのか迷いますね。
「完成した梅シロップの味が変わらないならば、一番安価な上白糖で作りたい」という方も多いでしょう。
一般的にお菓子作りに使われるのがグラニュー糖で、上白糖は普通の料理に使うことが多いです。
ちなみに、グラニューとはGranulated(粒状の)という意味で、砂のようなザラザラした粒になっていますね。
精製度の高いグラニュー糖は淡白な甘さで、繊細なお菓子作りで素材の邪魔をしません。
いっぽう上白糖には、砂糖だけでなくブドウ糖や果糖も少し含まれているため、コクがあって甘みが強いのが特徴です。
デメリットとしてはしっとりしているため固まりやすいことです。
また上白糖で作ると焦げやすいので、焦げを出したいお菓子作りにはあえて上白糖を使うこともあります。
氷砂糖は、見た目が氷のように見えることからそう呼びますが、大きな結晶で純度が高いのでなかなか水に溶けません。
梅酒作りでは、浸透圧を徐々に上げることで、梅の香りを引き出すことができるため、ゆっくり溶けていく氷砂糖は最適です。
しかし梅シロップ作りでは、氷砂糖を使う必要はそれほどないでしょう。
梅シロップの作り方は、一般の書籍などではグラニュー糖や氷砂糖を使っている場合が多いのですが、もちろん上白糖でも作ることはできます。
上白糖を使った梅シロップの作り方
まず1kgの梅を使う場合、保存容器として2リットルの蓋つき瓶を用意しましょう。
瓶はきれいに洗い、アルコールなどで消毒しておきます。
そのほかにも竹串・キッチンはかりを用意してください。
梅は鮮度が大切なので、なるべく買ってきたその日に取り掛かりましょう。
<梅シロップの作り方>
【材料】
・青梅 1kg
・上白糖 800g
・酢 大さじ3
※酢は、梅エキスを出すための呼び水として入れます。
なくてもかまいません。
【作り方】
①買ってきた青梅をきれいに洗い、2時間水に浸してアクを抜きます。
水を切ってきれいにふき、なり口のヘタを竹串などで丁寧に取り除きます。
梅に包丁をぐるっと一周入れておきます。
②瓶に、梅・上白糖・梅・上白糖というように層になるように入れて、最後に残った上白糖で覆います。
最後に上から酢をふりかけて蓋をして、室内の冷暗所に置きます。
③2~3日すると梅から水分が出てきます。
梅がシロップから頭を出ているとその部分から傷んでしまうので、それを防ぐため毎日2回容器をゆすって混ぜるようにしてください。
④梅の色が緑色からあめ色に変わり、シワシワに変化します。
10日ほどしたら完成です。
⑤梅と梅シロップを分けます。
梅シロップは煮立てて発酵を止めて、清潔な瓶に移して冷蔵庫へ入れましょう。
これで半年ほど持ちます。
後に残ったシワシワ梅は煮物など料理にも使えますし、やわらかめの梅は種を取り除き鍋などで煮て梅ジャムにしても良いです。
早く作りたい!梅シロップの作り方の裏ワザ
梅シロップを作るのには10日ほどかかりますが、とても待ちきれないという場合の裏ワザをご紹介します。
この裏ワザ、簡単すぎて感動ものです。
これを知ったら、いつもの作り方では作る気にならなくなってしまうかもしれませんよ。
【裏ワザ①】
梅を冷凍するきれいに洗ってなり口のヘタを取り、あく抜きをした梅を水分をふき取るまでは同じですが、そのまま冷凍庫に一晩入れます。
上白糖に漬けるときに、竹串で梅の表面にブスブスと穴をあけながら漬けていくとさらにスピードアップします。
【裏ワザ②】
炊飯器で作るこちらは、梅の漬け方はいつものと同じですが、容器として炊飯器を使う方法です。
炊飯器の内釜に梅と上白糖を入れた後、保温のスイッチを入れるだけです。
半日ほどで梅シロップが作れてしまいます。
2つの裏ワザをご紹介しましたが、本当にあっという間に梅シロップが作れてしまいます。
ただし梅の傷みは早いので、どうしても梅シロップ自体が濁ってしまうこともあります。
梅シロップを抽出したら早めに濾して別容器に入れて冷蔵庫に保存してくださいね。
上白糖で作った梅シロップの使い方とカリカリ甘梅の作り方
さて、梅シロップができあがったらさっそくいただきましょう。
最初は水割り・お湯割り、炭酸水で割ってみてください。
牛乳割りも意外においしいです。
梅は酸があるので、牛乳に入れるととろみが出てぷるっとした食感を楽しむことができます。
梅シロップ寒天も涼しげでおいしいですよ。
寒天を作り角切りにして、そこに梅シロップをかけていただきます。
低カロリーのおやつとして気軽に食べられますね。
ほかにも、梅シロップを同量の水で割って凍らせるのもおすすめです。
氷と違って固まりすぎないので、そのままスプーンで崩して食べることができます。
夏休みに友達が来たら、ぜひおすすめしてください。
もうひとつ、青くて硬い梅が手に入ったら、ぜひ梅シロップと一緒に作っていただきたいのが「カリカリ甘梅」です。
上手に作れば、お茶請けとして大絶賛されること間違いなしです。
【材料】
・青梅 1kg
・上白糖 500g
【作り方】
①きれいに洗ってヘタを取った青梅をふきんで包み、木槌などで叩き、割れたら中の種を取り除きます。
②青梅の実の部分をタッパーなどの蓋つき容器容器に入れて、上から上白糖を入れて漬け込みます。
③10日ほどで梅シロップが上がってきますので、そうしたらカリカリ甘梅も完成です。
梅シロップとカリカリ甘梅、一度で両方作れる作り方です。
どうぞお試しください。
梅シロップから始める梅仕事
青梅を使って、上白糖で簡単にできる梅シロップの作り方はいかがだったでしょうか。
初心者は何といっても梅シロップが取り掛かりやすいのですが、慣れた方は梅シロップと梅酒で青梅を半分ずつ漬けるなど、いろいろな作り方でやってみてもいいでしょう。
慣れてきたら、今度は黄色く熟した梅で梅干し作りにもチャレンジしてみてください。
熟した梅は、まずその香りの良さで幸せな気持ちに満たされます。
傷ついた梅の実で作った梅ジャムもまたまた絶品で、梅仕事の奥深さを実感する瞬間です。
これから毎年、梅の季節が楽しみになってきましたね。