自宅で育てる植物は、無農薬で育てたいけれど、害虫対策が苦手という人は多いと思います。
そのような時には、ハーブをコンパニオンプランツとして、一緒に育てることをおすすめします。
ハーブは、花や香りを楽しむだけでなく、虫よけとしても立派な役割を果たしてくれます。
食べても楽しめる、ハーブの虫よけ効果や使い方についてお話します。
無農薬栽培をするには害虫対策が大切
家庭菜園で野菜やハーブを育てるのであれば、できるだけ無農薬で育てたいと思う人が多いと思います。
しかし、無農薬で育てるには、害虫対策がとても大変です。
そこでおすすめなのが、コンパニオンプランツです。
コンパニオンプランツとは、一緒に植えることにより、お互い良い影響を与え合う植物のことです。
お互いに助け合う植物を組み合わせて植えることにより、安定した植生環境を作りだし、植物の生育をより向上させてくれます。
コンパニオンプランツの素晴らしいところは、土を豊かにしてくれるところです。
異なる種類の植物を一緒に植えると、土中の微生物に多様性が生まれます。
いろいろな微生物がバランス良く存在している状態が、植物にとっても生育しやすい環境なのです。
例えば、このような作用があります。
それは、アレロパシー作用と言い、植物が作り出す物質が、周りの生物に影響を与えます。
虫の嫌がる匂いを発生して、虫が寄り付かないようにするといった作用があるのです。
他にも病原菌を抑えたり、自分の成長にとってメリットがない植物の成長を妨げたりする作用もあります。
この作用を利用して、害虫対策としてコンパニオンプランツが役に立つのです。
虫や微生物は、特定の植物ばかりを食べるという特性があり、これを宿主性特性と言います。
ひとつの植物だけを育てていると、その植物を食べる虫や微生物ばかりが集まってきてしまいます。
しかし、その虫たちの嫌いな匂いを発する植物を、コンパニオンプランツとして一緒に植えておけば、虫たちも寄ってきません。
無農薬の害虫対策・コンパニオンフランツ
コンパニオンプランツの利点はまだあります。
コンパニオンプランツの1種になりますが、バンガープランツというのがあります。
これは、虫を追い払うのではなく、虫を呼び寄せる植物のことです。
例えば、いろいろな野菜に取り付く害虫アブラムシですが、ナスと一緒にヨモギを植えるとします。
そうすると、ヨモギにテントウムシが住み着くのです。
テントウムシはアブラムシを捕食しますので、結果ナスをアブラムシから守ってくれることになります。
このように、植物を使った害虫対策をすることで、害虫駆除をしながら無農薬で野菜を栽培することが出来ます。
しかし、コンパニオンプランツには注意点があります。
それは、相性の良くない植物も存在しているということです。
相性の良くない植物を一緒に植えてしまうと、お互いに悪影響を及ぼしますので、よく調べてから植えましょう。
また、自然を利用している方法ですので、虫が全く寄り付かない、病気にならないというわけではありません。
農薬のように、即効性があるというわけでもありません。
自然との付き合いになりますので、植物とハーブを楽しみながら育てるという感覚を持っていた方が良いですよ。
家庭菜園はハーブで無農薬に挑戦
広いお庭がなくても、ベランダで家庭菜園を楽しみたいですよね。
そんな時にこそ、コンパニオンプランツの寄せ植えをおすすめします。
寄せ植えを楽しむ感覚で、野菜とハーブをプランターに植えましょう。
見た目も楽しめて、無農薬栽培ができ、野菜とハーブが一緒に育てられるコンパニオンプランツは、家庭菜園にこそおすすめします。
家庭菜園で育てやすい野菜とハーブの組み合わせを、いくつかピックアップしてみます。
☆きゅうりと相性が良いハーブ
≪ナスタチウム≫
アブラムシを食べてくれるテントウムシなどの益虫を呼び寄せてくれるので、アブラムシの害虫対策になります。
ナスタチウムが株元を覆うことで土の湿度と温度を一定に保ってくれます。
≪チャイブ≫
チャイブの根に繁殖する微生物が、きゅうりの病原菌の増殖を抑えてくれます。
お互いに吸収する栄養が異なるので、お互いの生育の邪魔をしません。
☆ミニトマトと相性が良いハーブ
≪バジル≫
香りに害虫を寄せ付けない効果があります。
トマトの味が良くなると言われています。
≪タイム≫
害虫であるモンシロチョウを遠ざけてくれます。
☆ピーマンと相性が良いハーブ
≪シソ≫
害虫を遠ざけ、ピーマンの味を良くしてくれると言われています。
害虫対策に適したハーブ
無農薬栽培に最適なコンパニオンプランツは、いろいろな植物が使われていますが、ハーブが使われることが多いです。
前項でご紹介した以外に、コンパニオンプランツとしてよく植えられているハーブを、いくつかご紹介します。
≪カモミール≫
ハーブとして有名ですね。
白い花が咲くと、リンゴのような香りを発します。
弱った植物のそばに植えると、元気が取り戻されると言われていますので、植物のお医者さんと呼ばれています。
カマキリやテントウムシを寄せ付けるので、モンシロチョウやアブラムシが野菜に付くのを防いでくれます。
相性の良い植物は、玉ねぎ・かぶ・きゃべつなどです。
≪バジル≫
収穫すれば料理にも使えるので、コンパニオンプランツとしてもおすすめします。
収穫した後、乾燥させれば1年中楽しめますね。
ハエ・蚊・アブラムシ・コナジラミなどを寄せ付けない効果があります。
相性の良い植物は、トマト・なすなどです。
トマトとバジルを一緒に育てれば、料理の相性もばっちりですね。
≪ミント≫
ハーブといえば、ミントが1番身近に感じられるのではないでしょうか。
自生していることも多いので、道端で見かけることもありますね。
爽やかな香りが、害虫対策に効果ありです。
害虫はミントの香りが苦手なので、いろいろな植物の害虫対策に一役買ってくれます。
しかし、繁殖力が強いので、他の植物の生長を妨げることがあります。
おすすめは鉢植えなどに植えて、植物のそばに置いておくことです。
それだけでも効果がありますよ。
ハーブでお家の害虫対策
ハーブの効果は、無農薬で害虫対策ができるなどのコンパニオンプランツだけにとどまりません。
暑い季節になると、家に害虫が出やすくなりますよね。
玄関前や、窓の近くにハーブを植えることで、害虫を寄せ付けない家にしていきましょう。
≪柑橘系の香りのハーブ≫
レモングラスなどです。
レモングラスは、名前の通りレモンのような香りがします。
玄関の近くやベランダで栽培すると有効です。
柑橘系の香りは、家に出る害虫が嫌がる匂いだそうです。
侵入経路になるベランダや、玄関にレモン水や柑橘系のアロマオイルスプレーを散布しても、害虫対策に有効です。
排水口から侵入することがあるので、排水口にも一滴アロマオイルを垂らしておくのもよいですよ。
≪除虫菊≫
蚊取り線香に使われているハーブです。
花弁が整った白い花を咲かせます。
お庭に植えておけば、蚊よけになります。
≪タンジー≫
ハエよけの効果があります。
家の周囲に植えておくと、ハエが屋内に入りにくくなります。
アリよけにもなるので、ポプリにしてタンスに入れておいてもよいですよ。
ハーブの効果は自然の力を利用しているので、思うように効かないこともあります。
販売されている殺虫剤の方が、効き目は強いでしょう。
しかし、強い殺虫剤や農薬を使うことに抵抗があるのであれば、このような自然な方法がいいかもしれませんね。
人にも使えるハーブの虫よけスプレー
ハーブを使った害虫対策や、無農薬栽培についてお話してきました。
ハーブは害虫に効くのですから、虫よけとして人間にも使うことができます。
ハーブから抽出されたアロマオイルで、虫よけスプレーが作れます。
自然のハーブから作られた虫よけスプレーは、防虫剤より安全で使うのも安心ですね。
≪ローズゼラニウム≫
植えておくと、蚊が寄り付かないと言われています。
虫よけキャンドルなどで売られていますね。
アルプスの素敵な山小屋のベランダに植えられているのが、赤いゼラニウムです。
ヨーロッパでは窓辺を飾る装飾という意味のほかに、虫よけとしてもベランダに植えられることが多いそうです。
≪ローズマリー≫
香りが強く、香草料理などでも、よく使われていますね。
アロマオイルにすると、より香りが強くなるので、虫よけや防腐剤として使われています。
自宅で、ローズマリーの虫よけスプレーを作ることもできますよ。
ローズマリーの葉を煮だし、冷めてからスプレー容器に入れるだけです。
すっきりとした香りですので、気持ちもさっぱりします。
≪ティーツリー≫
こちらは、花ではなく、木樹から採取されるアロマオイルです。
オーストラリアでは、古くから薬として利用され、殺菌や消毒の効果があります。
普段お使いのシャンプーやローションなどにオイルを少量加えるだけで、抗菌シャンプーや虫よけローションになります。
キャンプやお出かけの時に、手作りの虫よけのスプレーがあると便利です。
ハーブのスプレーでしたら、お部屋にシュッとするだけでも効果がありますし、香りが心を癒してくれますね。
すでにご紹介したミントやカモミールも、虫よけとして効果がある人気のハーブです。
ハーブを育ててみよう
ハーブの香りのリラックス効果は有名で、ハーブを使った商品はたくさん販売されていますね。
ハーブは繁殖力が強く、育てるのも簡単なものが多いので、自分でも育ててみてください。
「コンパニオンプランツ」という言葉を知らなかったという人もいると思いますが、ぜひ、自宅で家庭菜園をする際には思い出していただければと思います。