醤油は今や、外国人にとっても欠かせない調味料として存在感を発揮しています。
醤油の海外出荷量は、右肩上がりで増え続けていることからも、消費者数の増加を伺えます。
近年、海外現地で生産するメーカーも現れている醤油は、外国人にとってどのような存在なのか見ていきましょう。
外国人にとって醤油は一家に一本は当たり前
ソイソースとして親しまれている醤油は、発祥の地、アジアのみならずアメリカや欧州でもスーパーマーケットなどで一画を築いています。
日系メーカーが現地で生産する他、最近では現地のメーカーが、独自の製法で製造する事も珍しくありません。
その背景には、醤油の消費が増え続けている事が一つの要因です。
特に、ステーキやピザなどの食事が中心の欧米では、濃い味付けを好む傾向があります。
醤油は、ケチャップやソースに代わる調味料として、彼らに受け入れられやすい存在でした。
肉料理にはもちろん、野菜に用いるのも珍しくなく、日本人にとっては少々考え難いものかも知れません。
素材の味を引き立たせるべく、少量付けて風味を味わう日本の食文化に対し、食材を浸すように使う事も珍しくありません。
ですが彼らは、その味を好んで食べ続けているのです。
照り焼きなどが良い例でしょうか。
他にも海外では白米のまま食べる事をしません。
ただ野菜と一緒に炒めたり、トマトやチーズと和えてリゾットにするのが一般的で、そこにも味付けのために醤油を使うことがあります。
このように外国人にとって、醤油は当たり前の存在なのです。
醤油の海外出荷状況
外国人にとって醤油が人気なのは、出荷量にも現れています。
しょうゆ情報センター集計の統計資料によれば、2016年時点での醤油海外輸出量は約2万9900kℓで、過去最高を記録しています。
輸出国数は64カ国に上り、最も多いのがアメリカ合衆国で全体の21.7%を記録しました。
またアメリカは、日本にとって平成以降は、世界最大の醤油貿易国でもあるのです。
続いて多いのがイギリスで、全体の8.9%、僅差で中国が7.9%となっています。
特に、ここ5年で急速に出荷量を増やしてきたのが、イギリスです。
世界的な日本食ブームも影響していますが、やはり寿司需要に付随したケースが目立ちします。
ただ、現地の日本食以外の高級レストランにその品質が認められ、使う店が増えたのも事実です。
その他、香港や韓国などの隣国が輸出上位に続きます。
そして、オーストラリアやタイなどオセアニア・東南アジア各国、フランスやドイツなどヨーロッパなど、世界に満遍なく輸出されています。
醤油の海外現地生産状況
醤油は、国外輸出にとどまらず海外での現地生産も盛んです。
その歴史は古く、大手醤油メーカーのキッコーマンは、1973年にアメリカ中西部ウィスコンシン州に醸造工場を建設しました。
ここでの成功を皮切りにヨーロッパやアジア地域でも現地生産を開始、特にオランダ進出はヨーロッパに醤油初上陸という形で達成したのです。
創業1645年、関東醤油の歴史と共にあるヤマサも、1994年から海外に工場を持ち生産を実施しています。
こちらはアメリカのオレゴン州に工場を構え、全米各所に醤油を提供しています。
ヤマモリが構えるタイ工場は、JAS認定工場です。
JASとは農林水産省が設けるオーガニック製品や農林水産物・食品製造のガイドライン(日本農林規格)で、別名JAS法と呼ばれています。
国策として海外輸出強化や食の多様性を背景に政府は、2017年6月にJAS法規格を一部変更、生産方法や取り扱い方法もJAS認定の対象となったのです。
海外の醤油工場としては、史上初めてJAS工場の認定を受けました。
2017年現在、海外には6企業、12の醤油工場が稼働しており、現地の外国人向け醤油の製造を行っています。
外国人が醤油を使う食べ物とは?
世界各国で共通するのは、やはり寿司です。
日本経営の日本人が作る寿司にはもちろん使用しますが、外国人経営のお店でも日本の醤油が使われています。
先述の通り、高級レストランも同様です。
調味料として使われるのが一般的ですが、欧米などパスタが生活の一部となっている地域では、トマトソースに醤油を使うのも珍しくないようです。
ローストチキンをフライパンで炒める際にも使われますし、肉の漬け汁としても使われます。
アジア地域ですと、もともと醤油が珍しくないため、炒め物の味付けにも用いられています。
どの国の食べ物においても、醤油の使い方は日本と遜色無い物が殆どですね。
それだけ醤油は食べ物を美味しく出来る調味料であり、日本の食文化を育てた力が現在、外国人の舌を唸らせていることがわかります。
日本に来る外国人に好評な料理とは
王道は寿司ですね。
外国人にとって日本=寿司のような印象を持っている方も多いため、純粋に興味を持つ方も多いです。
海外の寿司レストランでは濃口好きの外国人に合わせて、溜まり醤油や、特に濃い目の醤油を用いていますが、本場日本の寿司はやはり人気のようです。
寿司に次いで、ラーメンも人気です。
海外に進出している日本の有名店も多く、特にパリでは空前のラーメンブームが起きているほどです。
現地の人気店ですと、昼時を過ぎても店外まで行列が伸びる事も珍しくありません。
もっぱら醤油ラーメンや味噌ラーメンが人気を博しています。
こちらも現地人ウケを狙った味付けと成っている為、日本でのラーメンを楽しみにしている方も多いようです。
豚骨ラーメンや、つけ麺、油そばなど海外では馴染みの無いラーメンも人気です。
ベジタリアンに人気なのが、てんぷらです。
日本の揚げ物文化は海外には存在しないものですし、四季折々の野菜など楽しめるのが人気の理由です。
近年は輸出した醤油を現地で天つゆに仕立てるなどの発展も遂げており、醤油を始めとした日本の調味料が定着している事が伺えます。
肉料理も人気です。
馬刺など、生肉を食べる習慣の無い外国人にとっては、非常に興味深いようです。
また、焼き肉やジンギスカンなど日本の肉の美味しさは、世界が認めています。
ご飯に醤油をかけて食べる外国人は珍しくない
先にも述べましたが、日本のように白米のまま食べる習慣が無いですし、そもそも白米ではなくタイ米など細長いお米が一般流通しているのが海外です。
料理して食べる外国人もいれば、醤油やケチャップなど、味の濃い調味料だけをかけて食べる方も珍しくないようです。
そんな彼らに注目されているのが、バターライスとじゃがバターです。
ご飯に醤油とバターを混ぜたバターライスを好む方は、日本人だけでは無いようです。
そして欧米人にとって、お米のような存在であるジャガイモを美味しく食べる手段として、じゃがバターも注目の存在なのです。
特製ソースを作ったり、ステーキなどのメインディッシュのソースと一緒に食べるのがよく見る光景ですが、じゃがバターは今後、外国人の間で流行するかもしれませんね。
醤油は世界の食文化を支える
醤油は、世界の人々に最も定着した日本の食べ物と言えるでしょう。
日本は、諸外国のレシピを日本流にアレンジした物が多くありますが、食材は日本の物を使うのが一般的です。
しかし調味料が日本産という事は、海外の食卓に日本の物が欠かせない存在になっていることを示しています。
ますます日本食が世界で発展していくことを、期待したくなるものです。