優しい甘さと味わいの甘酒は、子どもも大好きですよね。
しかも、高栄養で「飲む点滴」と言われているほどです。
ところで、甘酒の原材料である酒粕は、日本酒を作る過程で生まれたものです。
「酒」という言葉が入っているのですから、気になるのはアルコールですよね。
酒粕を含んでいる甘酒は、どれくらいのアルコール分を含んでいるのでしょう。
飲んだ後は、クルマの運転ができなくなってしまうのでしょうか。
甘酒はアルコールが入っている?
酒粕は、日本酒を作る過程で生まれたものです。
だとしたら、酒粕から作られた甘酒は、アルコール飲料ということになってしまいます。
いったい、どういうことなのでしょうか。
はじめに、酒粕ができる工程を見ていきましょう。
日本酒は、お米から作られています。
日本酒を作るために、まずお米を精米します。
しかし、通常食べるときにする精米と違い、日本酒を作るときは、お米の中心部分だけを使います。
ですから、一般的な精米よりも、より多くお米を削ることになります。
主婦から見ると「もったいない」と思ってしまうかもしれません。
その精米したお米を洗って、浸漬してから蒸します。
蒸米(じょうまい)を広げて冷まし、その蒸米の一部を使って米麹を作ります。
次に、日本酒の元と言える、酒母づくりです。
酒母とは、酵母を大量に繁殖させる工程です。
蒸米・水・酵母・米麹を混ぜ合わせて作られます。
いよいよ仕込みです。
酒母・米麹・蒸米・水を加えて、もろみを作ります。
もろみが発酵し、蒸米のでんぷんが糖化すると、酵母がそれをアルコールに変化させていきます。
出来上がったもろみは、酒袋に入れられて絞られます。
ここでやっと「日本酒」と「酒粕」に分かれるのです。
日本酒はこの後、ろ過や火入れをされて、ようやく販売されている日本酒になります。
酒粕ができる過程を見ると、もろみの時点で、アルコールになっていますね。
ですから、もろみを絞った酒粕には当然ですが、アルコールが含まれていることになります。
酒粕から作られた甘酒は、やはりアルコール飲料ということになります。
酒粕の甘酒はアルコール入り!
甘酒は、子どもも飲める体に優しい飲みものです。
しかし、「酒」というくらいですから、アルコールが入っている場合もあります。
子どもに飲ませるとき、クルマを運転するときなどは注意が必要です。
先ほどもお話した通り、甘酒の原料になる酒粕には、アルコールが含まれています。
しかし、アルコールが含まれていない甘酒もあるのです。
甘酒は2種類あります。
◇酒粕でできている
酒粕を原料にして作られる甘酒は、アルコールが含まれています。
酒粕は、前項でご説明した通り、日本酒が作られる工程でできた搾りかすです。
そのため、当然のように酒粕にはアルコールが含まれています。
酒粕自体のアルコール度数は、6~8%程度です。
これは、ビールと同じくらいの度数ですから、意外と高いと言えます。
しかし、酒粕が甘酒に加工されますで、甘酒のアルコール度数は1%未満です。
ですから、この甘酒は清涼飲料水扱いになりますが、アルコールを含んでいる、ということは忘れてはいけません。
体質によっては、酔ってしまう人もいます。
酒粕を使った料理を食べたあと運転して検挙された、という話も耳にします。
子どもに飲ませるとき、クルマを運転する前には気を付けたほうが良いでしょう。
さらに、酒粕で作った甘酒は自然に甘くならないので、市販のものは加糖してあります。
カロリーにもご注意を。
米麹の甘酒は自然の甘み
前項では、2種類ある甘酒のうち、酒粕でできている甘酒を、ご紹介させていただきました。
こちらでは、もうひとつの甘酒について、ご説明します。
◇米麹でできている
米麹が原料の甘酒は、お米と米麹でできています。
お米と米麹を発酵させると、お米のデンプンが糖化し、ブドウ糖に変わります。
これが、甘酒の自然な甘さになります。
アルコールは含まれません。
米麹の甘酒でしたら、子どもも、運転前にも安心して飲めます。
甘酒には、酒粕と米麹と2種類あることをお話しました。
実は、米麹から作られている甘酒の「米麹」は、日本酒を作る工程で出てきた「米麹」と同じものです。
日本酒は、お米を米麹で糖化し、糖を酵母で発酵させてアルコールにします。
米麹の甘酒は、お米を米麹で糖化して作られます。
このように、途中まで同じ工程です。
米麹の甘酒は、酵母による発酵がありませんので、アルコールが含まれないのです。
米麹がデンプンを糖化するので、自然の甘みを楽しむことができるのです。
「飲む点滴」と呼ばれるほど栄養価が高い甘酒は、この米麹の甘酒です。
日本酒の違いは醸造アルコール
お米・米麹・水というシンプルな原料で、こんなにも風味豊かな甘酒や日本酒が出来上がるなんて、不思議ですね。
ところで、日本酒を飲む人は知っていると思いますが、日本酒にはたくさん種類があります。
・普通酒
・本醸造酒
・純米酒
・特別本醸造酒
・特別純米酒
・吟醸酒
・純米吟醸酒
・大吟醸酒
・純米大吟醸酒
と、こんなにも種類があります。
簡単に違いをご説明します。
名前に、「純米」が付くものは、醸造アルコールを添加していない日本酒になります。
付いていないものは、醸造アルコールが添加されています。
醸造アルコールは、添加すると香りが良くなり、さらりとした日本酒になります。
また、それ以外の大きな違いとして、精米歩合があり、この精米歩合によって日本酒の味に大きな違いが生まれます。
例を挙げると、本醸造酒は精米歩合70%以下です。
30%お米を削っているということですね。
ちなみに、大吟醸は精米歩合50%以下になります。
どれが一番良いということではなく、それぞれお好みの日本酒がありますので、飲み比べてみてください。
酒粕も、日本酒の種類によって、味や風味が変わります。
お気に入りの日本酒があれば、その酒蔵から直接酒粕を買ってみるものおすすめですよ。
酒粕の甘酒をノンアルコールにしたい
先ほどもお話しましたが、酒粕で作られた甘酒は、体質によっては酔ってしまう人がいます。
しかし、栄養価が高く、健康効果も期待できる酒粕を食べないのはもったいないことです。
アルコールが苦手な人でも食べられるように、酒粕からアルコールを飛ばしてみましょう。
日本酒と混ぜて火をつけてアルコールを飛ばす、という方法を聞いたことがありますが、普通の日本酒のアルコール度数では、火が付かないようです。
しかも、一般家庭では危険ですので、実行しないほうが良いでしょう。
最も安全な方法は、酒粕の甘酒を加熱沸騰させる方法です。
5分ほどで大丈夫です。
通常、酒粕を加熱する料理に使ったときには、加熱によってアルコールが飛びますので、そこまで心配することはありません。
アルコールは、78℃以上で飛びます。
しかし、加熱をしない料理もあります。
そういうときのために、酒粕自体のアルコールを飛ばす方法をご紹介します。
酒粕のアルコールを飛ばす方法
酒粕は甘酒だけでなく、色々な料理に使えます。
酒粕を生かした料理をしたいというとき、気になるのがアルコールです。
酒粕自体のアルコールを飛ばしたいというのであれば、「蒸す」という方法があります。
①蒸し器にキッチンペーパーを敷きます。
②酒粕を5mm程度の厚さにします。
③重ならないように蒸し器に並べましょう。
④30分ほど蒸します。
これで、ほとんどアルコールを飛ばすことができます。
この方法以外もあります。
酒粕を水に溶かし、それを沸騰させるという方法です。
しかし、水に溶かして加熱するため、酒粕が少し水っぽくなってしまう欠点もあります。
お使いになる料理に合わせた方法で、アルコールを飛ばしてください。
アルコールが飛ばせれば、安心して使えますね。
風味豊かな酒粕を、甘酒やいつもの料理に使ってみてはいかがですか。
疲れたときには甘酒を
酒粕の甘酒も、米麹の甘酒も、どちらにもそれぞれのおいしさがあります。
元気がないとき、風邪を引いたときには、ぜひ甘酒を飲んでくださいね。
元気が出るサプリや栄養ドリンクなどがたくさん売られていますが、日本人が昔から飲んできた栄養ドリンクは甘酒です。
健康のことを考えれば、どちらが体に良いのかは明らかですよね。