私たちは食事を摂って、必要な栄養素を体内に摂り入れています。
なかには、体内で作ることができない栄養素があることはご存知ですか?
ビタミンcも体内で作ることができないので、食事で補わなければなりません。
ビタミンcは、酸化を防いでくれる大切な栄養素ですよね。
酸化を防いでくれる作用のある食品を、意識して摂り入れましょう。
今回は、酸化による食品の変色についても、併せてご紹介します。
ビタミンcは酸化を防いでいる
ビタミンcは、水溶性のビタミンです。
動物は、ブドウ糖を基にして体内で合成してビタミンcを作り出すことができます。
しかし、私たち人間やモルモットは、ビタミンcを作り出す、L-グロノ-γ-ラクトン酸化酵素がないので、体内でビタミンcを作り出せません。
そのため、食事で補わなければならないのです。
まず、ビタミンcにはどんな働きがあるのかを、見てみましょう。
●抗酸化作用
ビタミンcは抗酸化作用が強く、酸化防止剤としても使われています。
生活するうえで、多かれ少なかれストレスを感じると、活性酸素のダメージが体内に起こります。
ビタミンcはストレスだけでなく、紫外線などのダメージを受け止めて、私たちの体を守ってくれる働きを持っています。
●コラーゲンの合成
コラーゲンの合成は、美肌効果もありますし、鉄分の腸内での吸収を高めてくれます。
このほかにも、ガン予防など、様々なところで活躍してくれています。
ビタミンcというと、すごく酸っぱいイメージがあると思いますが、実は若干の酸味があるだけです。
そして、ビタミンcは黄色と思いがちですが、透明な色をしています。
ビタミンcは柑橘系の食べもののイメージが強いため、このような誤解が生まれたのかもしれませんね。
では、ビタミンcを多く含む食べものは、どんなものがあるのでしょうか。
酸化酵素によって変色しやすい食べものについても、ご紹介します。
ビタミンc豊富な野菜
では、抗酸化作用やコラーゲンの合成効果のある、ビタミンcを多く含む野菜を見ていきましょう。
●赤・黄色ピーマン
ビタミンcは野菜に多く含まれていて、中でも、赤ピーマンと黄色ピーマンに多く含まれます。
赤ピーマン1個で約230gのビタミンc、黄色ピーマン1個で約203mgのビタミンcが摂れます。
●トマピー
主に熊本県で栽培されていて、パプリカの新種です。
ピーマンにある苦みが少なく食べやすいうえに、ビタミンcが豊富です。
1個あたり、約136mgのビタミンcが摂取できます。
スーパーなどで見かけたら、ぜひ食卓に並べてみてください。
●ゴーヤ
沖縄料理でおなじみのゴーヤもビタミンc豊富で、1本あたり約145mg含まれています。
●ブロッコリー・カリフラワー
ブロッコリーやカリフラワーもビタミンcが豊富で、ほかの食材と比べてみても重量があるため、一度にたくさんのビタミンcを摂取することができます。
ちなみに、ブロッコリーは購入してそのままにしていると、緑色から黄色に、黄色から茶色へと変色してしまいます。
変色後でも食べられますが、栄養価も味も落ちているので、なるべく緑色の状態で食べ切りたいものです。
果物に含まれるビタミンcの量
続いて、ビタミンcを多く含む果物をご紹介します。
抗酸化作用や、コラーゲンの合成効果のあるビタミンcを、効率良く摂るためにも必見です。
●アセロラ
食品の中でも一番ビタミンcが含まれるのがアセロラです。
アセロラの実1個あたり、約102mgものビタミンcがあります。
果汁が10%のアセロラジュースなどでも、水100gに対し、約120mgのビタミンcが摂取できるのです。
●キウイフルーツ
果肉が緑色のものと、黄色い果肉があります。
緑色の果肉である、緑肉種1個あたりのビタミンcは約59mgです。
黄色の果肉である、黄肉種は1個あたり約119mgものビタミンcが摂れます。
黄肉種のキウイフルーツを1個摂取するだけで、1日に摂るべきビタミンc推奨量を成人男女ともに、満たすことができます。
手軽にビタミンcが摂りたい場合は、黄肉種がおすすめです。
●オレンジ・グレープフルーツ
ネーブルオレンジという品種がビタミンc豊富で、1個あたり約78mgです。
グレープフルーツは1個あたり約101mgのビタミンcを摂れます。
●イチゴ
4個のイチゴを食べれば、約62mgのビタミンcが摂取できます。
パクパクと食べられるので、手軽にビタミンcが摂れます。
●レモン・ライム・ゆず・かぼす
ビタミンcと言えば、レモンを想い浮かべますよね。
しかし、レモンを始め、ライム・ゆず・かぼすは果汁として使用することが多く、ビタミンcの摂取量は思ったよりも少ない傾向にあります。
ちなみに、レモンは購入しても使い切らないということはありませんか?
使わずに放置していると、パサパサになり、色は変色して、カビも生えてきてしまいます。
せっかく購入したのに、無駄にするのは、もったいないですよね。
そんなときは、カビが生える前に、お風呂に浮かべてレモン風呂にしてみては、いかがでしょうか。
ビタミンcに含まれる抗酸化作用は変色しやすい?
野菜からも果物からも摂取できるビタミンc。
私たちの体内ではビタミンcは作ることができないので、積極的に摂取したいですね。
先ほど、キウイフルーツ1個で1日に摂るべきビタミンc推奨量を摂取できるとお話しましたが、正確には1日の摂取推奨量は100mgです。
これは、厚生労働省が定める必要最低限の容量になります。
妊婦さんは1日に110mg、授乳婦で140mgと個人差がありますが、100mg前後を最低限目安に摂り入れましょう。
100mgのビタミンcは壊血病を防ぐための最低限量なので、健康維持のためを考えると、1日に800mgほどが良いとされています。
しかし、ビタミンc摂取量の上限は1日あたり1000mgです。
健康維持のためにと過剰摂取してしまうと、下痢を引き起こし、空腹時には吐き気を、もよおすこともあります。
妊娠時や授乳時、持病を持っているなどの場合は、医師に相談してビタミンcの摂取量を守りましょう。
上手にビタミンcを摂り入れれば、抗酸化作用やコラーゲンの合成など、嬉しい効果が期待できます。
ここまでで、抗酸化作用というキーワードが出てきましたが、この抗酸化作用のある野菜や果物は、変色しやすい傾向があります。
次項で、詳しく見ていきましょう。
野菜や果物が変色する原因はポリフェノールと酸化酵素
野菜や果物は、購入したときは変色していませんよね。
しかし、カットして売られているものや、ご家庭で半分しか使わないときなど、切り口からどんどん変色してきます。
これは、野菜や果物の細胞内にあるポリフェノールや、ビタミンcにも含まれる酸化酵素のポリフェノールオキシターゼが酸素に触れることで化学反応が起こり、変色するのです。
丸ごとの野菜や果物は、細胞が空気中の酸素に触れていないから、変色しないのですね。
また、柑橘類はクエン酸が含まれるので、酸化作用が抑えられ変色しにくいです。
では、変色しやすい野菜と果物を見てみましょう。
【変色しやすい野菜・果物】
・ごぼう
・ジャガイモ
・レンコン
・レタス
・山芋
・バナナ
・リンゴ
・桃
などなど、これらは変色しやすいです。
いわば、ポリフェノールや酸化酵素の豊富なものとも言えますね。
レタスと山芋については、金属イオンにも反応するので、包丁で切ると変色するとも言われています。
酸化を防いで変色させない方法
空気に触れることで、変色しやすい野菜や果物なら、使い切る調理方法が最適ですが、毎回使い切るのは至難の業ですよね。
酸化を防ぎ、変色を避けるには、どうすれば良いのでしょうか。
酸化するのは、空気に触れることで、化学反応が起こるとお話しました。
そのため、極力、酸素から遮断することが効果的です。
ラップを巻くときなどは、切り口にピッタリ巻き付け、さらにチャック付きの袋などに入れると良いでしょう。
また、水に溶けやすいポリフェノールの性質を生かして、水に浸けることも有効です。
塩や酢は酸化酵素の働きを抑えるので、果物は塩水やレモン汁をかけるなどすれば、変色を防ぐ効果が期待できます。
ビタミンcのお話で、レモン汁は少量のビタミンcを摂取できないと言いましたが、変色を防いでくれる効果があるなら、常備したい野菜ですね。
変色を防ぐ方法として、日頃包丁を研ぎ、切れ味を良くしておくことも効果的です。
なぜならば、切れ味の良い包丁で切ると、細胞が潰れにくくなり、変色防止に繋がるからです。
イメージと異なる栄養素
いががでしたでしょうか。
ビタミンcが豊富なイメージのレモンですが、ビタミンc摂取量としては緑の野菜や、アセロラのほうが有効でしたね。
このように、イメージだけで食事をしているだけでは、きちんと栄養素を体内に摂り込めません。
1日に必要な栄養素はどのくらいなのか、その量を摂るためには何を食べれば良いのかを、ぜひご自身で確かめてくださいね。