かつては、冬に飲むイメージがあった甘酒ですが、近年は1年中飲まれるようになってきましたね。
特に、米麹を使った甘酒の人気が急上昇してきました。
今回は米麹甘酒に焦点を当てて、その特徴や製法、市販品の味の違いなどを、ご紹介していきます。
甘酒の原料は酒粕と米麹の2種類
ひと口に甘酒と言っても、使う原料によって、大きく2種類に分類されているのをご存知でしたか?
見出しタイトルにもある通り、甘酒は酒粕と米麹を使ったものに分けられます。
それぞれに特徴があります。
まず、酒粕甘酒の特徴は、「アルコール成分がある」「甘みは砂糖を加えている」「カロリーが高くなりがち」「手間がかからない」などです。
酒粕と砂糖をお湯に溶くだけなので、簡単に作れます。
一方、米麹甘酒の特徴は、「アルコールなし」「甘みはお米の自然な甘さ」「低カロリー」「手間がかかる」などといったことです。
お米のデンプンが分解され、糖に変わって甘みが出るので、砂糖を加える必要がなく、カロリーを気にする方にはオススメです。
どちらも、栄養分に関しては優れもので「飲む点滴」とも言われています。
飲む状況や、味の好みで飲み分けるのがいいですね。
今回は特に、米麹甘酒について、色々と見ていこうと思います。
麹とは何かということから、その作り方、市販品の味の違いなどについて、ご紹介していきますね。
麹って何?
そもそも、麹とはなんでしょうか?
ざっくり言うと、菌の一種です。
蒸したお米や麦に発生する菌のことで、人体に良い影響を与える菌なのです。
麹には、多くの酵素が含まれているのが特徴です。
酵素には食物の栄養を分解しての消化・吸収の促進や、吸収された栄養分をエネルギーに変換する役割があります。
麹に含まれる酵素には、アミラーゼ・プロテアーゼ・リパーゼ・ペクチナーゼなど、その種類はなんと30種類以上とも言われています。
まさに麹は、酵素の塊とも言える存在です。
ビタミン類を生成する効能や、消化を助ける効果があることから、美容や健康に関しても期待されているのです。
米麹とは、お米に麹菌が根付き繁殖したものです。
日本酒の製造に、最も重要な役割を持つものでもあります。
酵素の力でお米のデンプンを分解し、自然な甘味を出しています。
この米麹を使った甘酒は、ビタミン類が豊富でアルコールも含まれてないので、子供でも問題なく飲むことができる万能飲料とも言えるでしょう。
市販品も色々ありますが、ご家庭でも作れるので、そのレシピをご紹介しますね。
米麹甘酒の簡単な作り方
ご家庭で米麹甘酒を作る方法は色々とあり、炊飯器の保温機能を使ったやり方が一般的かと思います。
ですが、今回は、もっと簡単に作れる方法をご紹介しましょう。
それは、魔法瓶の保温機能を利用したものです。
用意するものは、米麹250g・水300cc・魔法瓶・鍋・温度計です。
この分量で、約550ccの甘酒が作れます。
まず、お水を鍋に注ぎ、火にかけ、温度を60℃くらいまで加熱します。
60℃まで温まったら、米麹を投入しましょう。
米麹の糖化が最も進む温度は60℃ですが、その後65℃まで加熱してきます。
その理由は、魔法瓶に保温性能があっても、徐々に温度が下がっていくためです。
そのため、最初の時点で、やや温度を高くしておきます。
温度に注意して、65℃まで上がったら、魔法瓶に移し替えます。
魔法瓶の保温機能で60℃強の温度をキープしつつ、米麹菌の酵素がお米のデンプンを糖化させていくのを、じっくりと待ちましょう。
その後、おおよそ8時間で美味しい米麹甘酒が完成します。
温度にさえ注意すれば、待つだけで甘酒が作れてしまうので、とても簡単ですよね。
しかし、麹菌も生きものなので、その状況によって出来上がりの味が一定でない可能性もありますが、それも楽しみのひとつと思いましょう。
米麹甘酒の味はお店ごとで違う①
続いては、市販されている米麹甘酒の味について、いくつかピックアップしたものをご紹介していきます。
①『天野屋神田明神 甘酒の素』
力強い食感と香りが魅力で、江戸時代から続く老舗の味です。
1846年、神田明神近くに創業した、納豆や甘酒製造の老舗が作る甘酒です。
この甘酒は、昔から取扱っている定番品だそうです。
その特徴は、ぼってりとした米粒の食感が感じられる満足感と、麹の妖艶な香りがインパクトとしてあります。
そのおかげで、飲んだあとも、麹の余韻が長く続く逸品です。
また、飲むだけでなく甘みがしっかりしているので、カキ氷のシロップ代わりにもオススメとのこと。
塩辛いものと一緒に楽しんだりしても、その甘さが引き立つそうです。
②『針塚農産あま酒』
群馬県渋川市にある、漬物や麹漬けなどを扱うメーカーの自家製の米麹で作られた甘酒です。
米粒の感覚がしっかり感じられるほどの存在感で、お米の持つやさしい甘みが上品な味わいです。
ぼってりと重量感があるので、飲むだけでなくトーストにのせて食べるのもオススメです。
単にお水で希釈しても美味しいのですが、豆乳で希釈するのが相性抜群です。
米麹甘酒の味はお店ごとで違う②
③『大正屋醤油店 玄米あまざけ』
1926年創業の老舗が作っています。
醤油・味噌製造をする麹菌のプロが仕込む、自家製甘酒です。
特徴は、玄米を麹で仕込むということにあります。
その味わいは、ほかの甘酒にはない香ばしさと、甘じょっぱさが魅力的です。
魅力の正体は、醤油を仕込んだ杉樽を使って生まれる塩気だそうです。
しっかりとお米が分解されていて、米粒感はなく、まったりとした口当たりです。
また、薄めず凍らせると、滑らかなアイスキャンディとしても楽しめます。
④『古町糀製造所 糀ドリンクプレーン』
東京銀座のおむすび屋さんが、2013年に新潟の酒蔵を引き継ぎ、立ち上げたのが、この古町糀製造所です。
こちらの甘酒は特徴は、独特の臭い(栗香)が少なく、すっきりとした味わいです。
甘さへのこだわりがあります。
その製法は、お米の粒感をミキサーで攪拌(かくはん)しているのが特徴でもあり、なめらかな口当りを実現しています。
味の違うお店はまだまだある
⑤『米のさくら屋 千代の甘酒』
2014年大分県佐伯市に設立した、甘酒専業の企業が作る甘酒です。
その原料にこだわりがあり、なんとアイガモ農法で育てた北海道産「ゆめぴりか」使っているとのこと。
やわらかな食感の米粒が良い程合いに残っていて、クセのないすっきりした甘みを楽しめます。
さらっとしていますが、コクや後味には米麹の香りが残り、満足感のある仕上がりになっています。
豆乳や牛乳で割るのも美味しいですが、やはりお米の美味しさを十二分に堪能したいのであれば、ストレートで飲むことをオススメします。
⑥『信州自然王国 桜花甘酒』
1983年に、有機農業を志す信州の農家さん達によって設立された「信州自然王国」が作る甘酒です。
長野県産の桜の花弁を加え、まるで飲む桜もちのような印象を与えてくれる、華やかな味の珍しい逸品です。
鼻に抜けるさわやかな桜の香り、お米の粒の存在感、そしてまろやかな甘さと、アクセントとなる塩気が楽しめます。
海外へのお土産としてもいかがでしょうか?
飲み方の工夫で甘酒を楽しもう
近年の甘酒人気の上昇で、その楽しみ方が広がっている点も注目したい部分です。
アレンジとしておろし生姜やその絞り汁、レモンや柚子の皮をアクセントで入れみたり、豆乳・牛乳・炭酸水で割ったりなどの色々な工夫をして楽しみましょう。
今後も出てくるであろう、甘酒の様々なアレンジ方法にも期待できますね。