かき揚げや、お好み焼きに入っている小エビが、エビじゃないということをご存知でしたか。
料理だけでなく、エビが入っているお菓子もたくさんありますよね。
それらに使われているエビも、実はエビではないかもしれないのです。
今回のお話は、エビに似ているけれどエビじゃない「オキアミ」と「アミエビ」という生きものについてお話します。
一体エビではなくて何なのか、その違いについてご説明します。
オキアミってどんな生きもの?
はじめに、オキアミについてご説明します。
オキアミは軟甲綱オキアミ科の生物で、プランクトンの一種です。
4cm前後の大きさで、エビの形をしています。
エビのような姿をしているので、エビの仲間と勘違いされやすいのですが、エビではなく、プランクトンの一種なのです。
オキアミは、クジラのエサとしても有名ですね。
あの大きなクジラのエサが、こんな小さなプランクトンというのは驚きですね。
日本では、太平洋海域に生息し、年間3~5万トンが水揚げされています。
生きているオキアミの体は透明で、水揚げ後に赤く色づきます。
水揚げされたオキアミの半分は、海釣りのエサや養殖魚のエサとして出荷されます。
食用にもなりますが、オキアミは劣化が早く色が変わりやすいため、生のままではあまり流通していません。
干しエビや、スナック菓子、ふりかけの材料など、加工品として使われることが多いです。
桜エビなどに比べ、オキアミは価格が低く、しかも色やカルシウムの含有量の高さは同じくらいなので、桜エビの代用として使われています。
海釣りが好きな人であれば、見たことがあると思います。
なぜなら、この後出てくる「アミエビ」と同様に、釣り用のエサとしても使われているからです。
釣り用のエサとして売っている場合は、3kgくらいの冷凍された四角いブロックになって売られています。
コマセと呼ばれる撒き餌として使われるほか、形の良いものは付け餌としても使われています。
アミエビってエビじゃない?違いは何?
「アミエビ」というと、先ほどのオキアミと同じように、コマセ(撒き餌)に使われるプランクトンの「アミ」や「イサザアミ」を想像する人もいると思います。
もちろん、それは「アミエビ」と呼ばれます。
しかし、「アミエビ」というと、「アキアミ」のことを指す場合もあるのです。
詳しくご説明します。
「アミ」は、数mm~1cm未満の細かい大きさのプランクトンです。
エビに似た形をしていますが、エビではありません。
釣りの餌や養殖魚の餌として使われ、食用にされることもあります。
一方、「アキアミ」は、アミと名前に入っていますが、れっきとしたエビの仲間です。
大きさは、1cm程度~3cm程度です。
このアキアミは、釣りの餌や養殖魚の餌としても使われるのですが、食用にも使われています。
一般的に、塩漬けされたものが出回っています。
この商品名として、「アミエビ」という名前が付くことがあります。
さらに、「オキアミ」を乾燥させたものを、干しアミエビという名前で売っていることもあります。
なんだか、ややこしいですね。
そのため、「アミエビ」は「アミ」であり、「アキアミ」でもあり、「オキアミ」でもあるのです。
すべてに共通して言えるのは、「エビのような形をしている」ということです。
これらのアミエビは、値段に違いはありますが、あまり区別されて使われているということはないようです。
勘違いしやすいオキアミと桜エビ
オキアミやアミエビ(アミ)は、プランクトンであるとお話しましたね。
エビの形をしているのに、エビでないというのも、なんだかややこしいですよね。
先ほどオキアミの説明をしたときにも出てきましたが、オキアミは桜エビの代替品としてよく使われています。
桜エビは、かき揚げやお好み焼きに入っていると、良い出汁が出て、きれいな赤い色は彩りとして使われます。
食感も独特で、おいしさをアップしてくれます。
そんな桜エビですが、獲れる時期が限定されているため、値段が高めです。
そこで、代替品のオキアミが出てくるわけです。
代替品として使われているということは、よく似ているということになりますよね。
オキアミと桜エビの違いについて、触れておきましょう。
オキアミと桜エビは、海の中に生息し、体の形や色もそっくりです。
しかし、生物学的には、まったく違う生きものになります。
桜エビは、サクラエビ科に属するエビの一種で、深海に生息する小型のエビです。
日本では、静岡県の駿河湾・東京湾・相模灘で生息していますが、水揚げが許可されているのは、駿河湾のみです。
海外ですと、台湾で水揚げされています。
オキアミと桜エビの違いを見分ける
オキアミと桜エビの違いを見分けるのに、産地を見るという方法があります。
桜エビは、国内ですと駿河湾でしか獲れませんので、原産地名が「駿河湾」になっていれば、桜エビです。
「台湾産」のものもあります。
それ以外の産地は、オキアミと考えましょう。
形がよく似ているとお伝えしましたが、大きな違いもあります。
それは「ヒゲ」です。
桜エビには、ヒゲが付いていますが、オキアミにはついていません。
オキアミは、小さなツノのようなものが付いているだけです。
また、価格も大きく違います。
桜エビは、水揚げの時期が限られているため、高価です。
安くて乾燥している「桜エビ」と名の付いた商品が売っていたら、それはオキアミかアミエビです。
色や味にも違いがあります。
オキアミは赤みがはっきりしていますが、古くなると白っぽくなっていきます。
桜エビは、旨味・香り・甘みがすべて良く、出汁もよく取れます。
オキアミは、食感や香りは桜エビと似ているのですが、旨味や甘みは低く、桜エビに比べると物足りません。
普段、オキアミか桜エビかを気にすることはあまりないかと思いますが、比べてみるとその違いは、はっきりしています。
見分けることもできますので、今度スーパーに行ったら、よく見てみてください。
オキアミやアミエビは重要な役割を持つ生きもの
オキアミは、クジラのエサになるプランクトンであることはお話しましたね。
世界で一番大きいクジラは、シロナガスクジラと言われています。
体長は20~30メートルで、体重は80~190トンの巨体です。
体長34メートルのものも確認されているそうです。
こんなにも大きなシロナガスクジラのエサが、小さなプランクトンであるオキアミということに驚きませんか。
クジラがオキアミをエサにしているのは、一気にたくさん食べることができるからと考えられます。
オキアミは、海中で数えきれないほど大量に存在しており、群れています。
また、オキアミは、海中の植物性のプランクトンを食べているので、海の栄養が豊富に含まれているのです。
クジラは、これを一気に捕食します。
大人のクジラですと、1日に4トン程度のオキアミを捕食するそうです。
たくさん存在しているから、たくさん食べられる。
たくさん食べられるから、大きい体を維持できる。
というわけです。
クジラは体が大きいので、大きな魚をたくさん食べているというイメージがありましたが、まったく違いましたね。
オキアミやアミエビは小さなプランクトンですが、生態系において重要な役割を担っている生きものだということがわかります。
アミエビを使って料理してみよう
食用のアミエビとして売られているものは、アキアミの場合もありますし、オキアミの場合もあります。
味の違いはあまりありませんが、気になるようでしたら、表示をよく確認してみてください。
安く手に入り、魚介のおいしい出汁が出ますので、ぜひ料理に取り入れてみましょう。
卵焼きに入れると、彩りになり、旨味もプラスされて栄養満点です。
【材料】
・ごま油 大さじ1
・卵 2個
・乾燥アミエビ 大さじ2
・かつおだし 大さじ1/2
・みりん 大さじ1/2
かつおだしがなければ、白だしを使います。
【作り方】
①卵をアミエビをボウルに入れて、かき混ぜます。
②かつおだし(or白だし)と、みりんを入れて混ぜます。
③フライパンにごま油を熱し、②を流し込みます。
④菜箸で円を描くように、かき混ぜましょう。
⑤半熟の状態で、卵を巻き、形を整えて完成です。
赤と黄色が入って、色がキレイなので、お弁当にもおすすめですよ。
小さなエビのプランクトンが大活躍
日本人はエビが大好きです。
世界各地から、さまざまな種類のエビを輸入して食べています。
伊勢エビや車エビ、甘エビにブラックタイガーなど、名前を聞いたことがありますよね。
小さなエビの形をしたプランクトンのことは、ご存知でなかった方も多いかと思います。
しかし、いろいろなところで大活躍しているということが、今回お分かりになられましたでしょうか。