サツマイモは栄養のない土地でも育ち、栽培も簡単なので、家庭菜園では、ぜひ育ててほしい野菜です。
サツマイモは育てやすいのですが、収穫したては、あまり甘みがありません。
甘さが増すポイントは、収穫後の保存にあります。
サツマイモ栽培について、ご紹介します。
サツマイモを家庭菜園で育てよう
甘みがあり、子どもや女性にも人気の野菜であるサツマイモは、家庭菜園でも人気があります。
育てやすく、枯れた土地でも収穫できるからです。
サツマイモであれば、少しの世話でも収穫できるので、家庭菜園に自信がない人にもおすすめします。
■サツマイモの特徴
強い日差しと高温を好み、20~35℃でよく育ちます。
寒さに弱いため、栽培適地は、福島県よりも南の地域とされています。
土質は選ばず、ほとんどの土地で栽培することができます。
ただ、水はけが悪い土地ですと、「つるぼけ」という茎や葉ばかりが育って、実が育たない状態になってしまいます。
水はけが悪い土地の場合は、畝(うね)を一段高く作って植えるなど、対処が必要になることもあります。
また、窒素が多くても、つるぼけになることがありますので、こちらも注意が必要です。
■家庭菜園におすすめの品種
・紅あずま
皮の色は、少し紫がかった濃い赤色です。
果肉の色く黄色く粉質で、繊維質が少なく、蒸したり焼くと、ホクホクとネットリの真ん中くらいのサツマイモです。
・アヤコマチ
皮は濃い紅色をしていますが、果肉はカボチャのように濃いオレンジ色をしています。
この色素成分には、カボチャなどと同じように、カロテンが多く含まれています。
・紅はるか
果肉の色は黄白色で、やや粉質ですが、加熱するとしっとりとした食感になり、非常に甘みが増します。
・パープルスイートロード
紫イモの一種です。
果肉の色は、生の状態ではやや赤味を帯びた紫色をしていて、加熱後は青みがかった紫色になります。
紫イモにしては、甘みが強い品種です。
家庭菜園でサツマイモを育てるポイント
家庭菜園でのサツマイモ栽培は、お好みの品種を育てましょう。
どれも育てやすいので、大きな違いはありません。
植え付け時期の5月頃になると、園芸店などで苗が出回り始めます。
サツマイモは、普通の野菜とは反対に、肥料分が多すぎる土地では育ちません。
ですので、植え付けるときに畝(うね)に切り、ワラを混ぜ合わせておくと良いですよ。
切りワラが土の余分な栄養分を吸い取ってくれるので、栄養が過剰にならないようにしてくれます。
前項でお話した「つるぼけ」という状態になってしまうので、元肥は施さず、堆肥などを畝(うね)の下の方に埋めておきます。
サツマイモは、暖かい気候を好みます。
ですので、植え付けは暖かくなってから行いましょう。
畝(うね)の頂上部に、30cmずつ離して苗を植えます。
畑に水をやり、苗にたっぷり水を吸収させましょう。
葉が展開してきたら、土寄せします。
根が土の外に出てしまうと、サツマイモになりません。
サツマイモを収穫するために、大切なのは「つる返し」という作業です。
家庭菜園では、広いスペースで栽培できるとは限りませんよね。
隣の畝(うね)までつるが伸びてきたら、そのつるを切り返し、元の畝(うね)に戻します。
伸びている、つるから根が出てしまうと、栄養が使われてしまい、サツマイモが大きく育ちません。
必ず、ときどき様子を見て、つる返しを行ってください。
病害虫が少ないので家庭菜園にぴったり!
家庭菜園をやる上で、虫が大きなネックになって、挑戦できない人もいます。
その点、サツマイモは病害虫に強く、あまり深刻な被害をもたらす病気も害虫もありません。
しかし、全く虫が発生しないというわけではありません。
ネキリムシ・ハスモンヨトウ・エビガラスズメの幼虫・ハリガネムシなどが発生します。
食害されても、大きな被害にはなりませんが、苗を植えつけたばかりのころは、害虫に注意した方が良いです。
見つけ次第、駆除しましょう。
例えば、ハスモンヨトウの被害に遭うと、葉が白くすすけたようになります。
葉裏に集団で寄生するので、幼虫を見つけては、できるだけ早めに捕殺します。
収穫したサツマイモの表面に小さな穴が開けられて貫通している場合は、ハリガネムシの被害が考えられます。
これらの被害を避けたいのであれば、連作をしないようにしましょう。
また、トウモロコシ・ジャガイモ・ムギ類・ニンジン・レタスなどの野菜の後に、栽培しないようにすると良いですよ。
サツマイモの収穫日を見極める
夏が始まる前に植え付け、秋の終わりごろになると、収穫時期を迎えます。
とはいっても、サツマイモは土の中で育ちますので、見た目だけで判断するのは難しく感じます。
畑を見ても、ただ緑色のつるが伸びているだけなのです。
収穫しなければ、いつまで経っても、つるが生長し続けてしまいます。
収穫適期がよくわからないという人は、このように見極めましょう。
まず、栽培日数です。
大体のサツマイモの品種は、植え付けから100日~120日で収穫時期になります。
なので、植え付けをした日を、きちんと記録に取っておくことをおすすめします。
よく日光が当たる温暖な場所で育てたのであれば100日程度、少し寒い土地で育てたのであれば120日程度、という目安で収穫します。
気を付けなければいけないのは、霜です。
サツマイモは寒さに弱いので、霜が降りてしまうと、イモが腐ってしまいます。
120日経ってなくても、霜が降りそうであれば、早めに収穫しましょう。
続いて、葉の様子を観察しましょう。
茎に近い部分の葉を見ると、黄色くなっていたり、枯れかけている葉があれば、収穫時期ということです。
しかし、家庭菜園初心者ですと、その判断も難しい場合がありますよね。
自信がなければ、試し掘りをしましょう。
試し掘りは、完全に土を掘らずにかき分けて、イモの状態を確かめることです。
イモが大きく育っていたら、収穫の時期と考えましょう。
サツマイモの収穫の仕方と保存
それでは収穫です。
収穫は、必ず晴れの日に行いましょう。
まず、つるを刈ります。
土から出た部分を4~5cm残し、カマやハサミで、つるを刈り取りましょう。
刈り取ったつるは、邪魔にならない場所に置いておきます。
マルチを張ってあった場合は、ここで剝がします。
これで、畝(うね)があらわになります。
そしたら、イモを傷つけないように、株元にくわを入れます。
土が掘りやすく、柔らかくなったら、イモを掘り出しましょう。
家庭菜園では、子どもと一緒に掘っても良いですね。
収穫したサツマイモは、すぐに食べるよりも、貯蔵して追熟したほうが甘みが増して、おいしくなります。
水分が抜け、でんぷんが糖に変わるからです。
なので、3~5日風通しのよい日陰で、干しましょう。
注意してほしいのは、保存するサツマイモは、水で洗ってはいけないということです。
泥が付いたまま、干しましょう。
干したサツマイモは泥を払い、ひとつずつ新聞紙で包んでおくと、長期間保存ができます。
段ボールに入れ、風通しのよい冷暗所で保存しましょう。
2週間以上おくと、さらに追熟して、おいしくなりますよ。
サツマイモを収穫したらおいしい焼きイモに!
家庭菜園でサツマイモが収穫できたら、おいしい焼きイモにしていただきましょう。
自宅で、まるで焼きイモ屋さんのような、おいしい焼きイモが作れますよ。
【電子レンジ】
①サツマイモを洗い、キッチンペーパーを2枚使って包みます。
②耐熱皿に載せ、キッチンペーパーから水が滴るくらい、しっかり濡らします。
③電子レンジに入れ、500wで2分加熱します。
④そのあと、解凍モードで20分加熱して出来上がりです。
解凍モードは、弱いパワーで加熱してくれる機能です。
おおよそ、100w~200wくらいです。
解凍モードがなくても、ワット数が調節ができるのであれば、参考にしてください。
【オーブン】
①サツマイモを洗い、水気をそのままにして、アルミホイルで包みます。
②160℃設定で、80分焼きます。
このとき、予熱はしません。
冷たい状態のオーブンから始めます。
③粗熱が取れるまで、オーブンの中で冷まします。
すぐに食べたいときは、食べてもOKです。
【炊飯器】
①サツマイモを洗います。
②炊飯器の中に、重ならないように並べ、水を入れます。
水は、サツマイモが半分浸るくらいの深さまで入れましょう。
③炊飯ボタンを押します。
④炊き上がったら、ふたを開けずに1時間保温して、出来上がりです。
どの方法も、甘くておいしい焼きイモが作れますので、ぜひ試してみてください。
甘みが増すまで待つのも楽しい
魅力たっぷりのサツマイモを、育ててみたくなりましたか?
たくさん実ったイモを掘り起こすイモ掘りは、子どもにとっては、楽しいイベントのひとつです。
収穫したらすぐに食べたいと思うかもしれませんが、そこは我慢ですよ。
甘さが増すまで、じっくり待ちましょう。