社会人になりお客様に応対しなければならない場面が出てきます。
そんな来客時にお茶やお菓子をスマートに出せれば素敵ですよね。
ですからお茶やお菓子を出す作法を身に付けていて損はありません。
あたふたしない為にも、作法を身に付け、来てくださったお客様に「おもてなし」をしましょう。
来客時のお茶やお菓子の出し方~煎茶と和菓子編~
お茶はそれぞれの湯飲みに注いで、お菓子と一緒にお盆に乗せて運ぶのが基本です。
客間に運んだら、お盆は下座側に置きます。
和室なら畳の上で、洋室ならサイドテーブルの端に仮置きしてください。
湯飲みは茶托に乗せて両手で持ち上げて、上座から一人ずつ出します。
菓子皿も同様です。
また、湯飲みの柄は来客から見て正面になるように、茶托の木目は横向きにして置きます。
来客から見てお茶は右、お菓子は左に置きましょう。
また、お茶とお菓子どちらを先に出すかは、来客の左右どちら側から出すかによります。ただし、先に出した物の上を別の物が通過する「袖越し」にならないように注意してください。
和菓子をそれぞれ皿に乗せて出す場合は、個別包装の袋を外すのが一般的です。
煉りきりや羊羹にはようじを添えましょう。
菓子皿に敷紙を敷くと、後片づけが楽になりますし、漆皿がようじ等で傷つく事が防げます。
敷紙を敷く際、角が左上になるように折りましょう。
出し終えたら一言「どうぞ」と声をかけると、来客も手をつけやすくなります。
煎茶を飲む時は、湯飲みを右手で持って、左手を底に添えます。
お菓子はようじが添えられていたらそれで切りましょう。
添えられていなければ、饅頭や千菓子は手で割って食べても良いです。
来客時のお茶やお菓子の出し方~紅茶と洋菓子編~
英国式でいくと、来客の目の前で紅茶をカップに注ぎ、一人ずつ手渡すのが一般的です。
カップとソーサー、ミルク、砂糖、レモン、スプーン等はテーブルに人数分あらかじめ用意しておきます。
お茶の葉やティーバックと熱湯は、キッチンでポットに入れてから運びます。
カップの持ち手は右にくるのが基本です。
ティースプーンは持ち手の下に縦に置くのが英国式ですが、手前に横向きに置いても良いです。
カップの柄は来客から見て正面になるようにします。
お菓子は紅茶と一緒に出します。
来客の正面にケーキ皿とお菓子用のフォーク、右手奥にカップとソーサーを置くのが一般的です。
お菓子用のフォークは基本的に出しますが、必要ならナイフも出しましょう。
三角のケーキなら、左側に角を向けて置きます。
食べる時も左側から食べて、食べ終えたら銀紙を2つ折りに畳んで皿の奥にフォークと一緒におきます。
紅茶を飲む時は、ミルクや砂糖を入れて、右手でスプーンを持ってかき混ぜます。
混ぜ終わったら水滴を静かに切って、カップの奥に置きます。
来客時のお茶やお菓子の出し方~職場編~
受付からお茶を出すまでの応対で、会社の印象が変わってくる重要な役割です。
お茶を出すタイミングは、来客を少し待たせる場合、応接室に通したすぐ後に出します。
来客を待たせない場合、担当者が応接室に入って挨拶が終わった頃に出します。
湯飲みと人数分の茶托と台拭きをお盆に乗せて運びます。
運んでいる時に、お茶が茶托のこぼれないよう、湯飲みと茶托は別にしておくと良いでしょう。
サイドテーブルにお盆を置き、茶托の上に湯飲みを置きます。
茶托は両手で持ち、「失礼します」と一言添えながら置きます。
お茶を出す順番は役職の高いお客様からです。
湯呑の柄は来客の正面になるように置きます。
蓋付きの場合は、蓋と湯飲みの柄を合わせるようにします。
お茶を全部出し終えたら、お盆は脇に抱えて退出します。
職場の場合、目的は商談や会議のためお菓子を出す事はあまりありません。
もし、お菓子を出す場合は、来客から見てお茶を右、お菓子を左に置きましょう。
来客に出す、美味しいお茶の入れ方
お菓子は出さなくても、来客に必ずお茶は出します。
正しいお茶の入れ方で、来客にワンランク上の美味しいお茶を提供しましょう。
職場や家庭で一番出す機会の多い煎茶の入れ方から説明します。
煎茶は旨味を十分引き出すよう、熱湯ではなく少しぬるま湯の温度で入れるのがポイントです。
熱湯で入れると、色だけが出て、お茶の香りも味も分からなくなってしまいます。
1.湯飲みにポットから直接お湯を注ぎ30秒ほど置いて湯飲みを温めます。
2.湯飲みのお湯が適温(70℃~90℃)まで下がったら、お茶の葉を入れた急須に移し入れて、1分ほど待ち、お茶の葉が開き始めたら注ぎます。
3.湯飲みに注ぐ時は、1杯ずつ注ぐのではなく、少量ずつ濃さが均一になるようにまわして注ぎます。
お茶の量は7~8分目ぐらいにします。
次は玄米茶・ほうじ茶の入れ方です。
玄米茶やほうじ茶は香りを十分引き出すように、高温で入れるのがポイントです。
1.急須に茶葉を入れて熱湯を注ぎます。
2.お茶の葉が開き始めたら注ぎます。
3.湯飲みに濃さが均一になるようにまわして注ぎます。
最後は紅茶の入れ方です。
紅茶の葉は蒸らして、よく開かせて香りを出すのがポイントです。
1.ポットとカップに沸騰したお湯を入れて30秒ほど置いて温めます。
2.ポットのお湯を捨てて、茶葉を入れて熱湯を注ぎます。
3.すぐに蓋をして、3分ほど蒸らします。
4.ポットの紅茶をスプーンで優しくかき混ぜて、温めたカップに注ぎます。
来客からお土産でお菓子を頂いた時はどうするのが良い?
来客がお土産としてお菓子を持ってきてくれたらどうすれば良いのでしょう?
その場で開けるのも失礼になりそうだし、せっかく持ってきてくれたのに出さないのも悪いような・・・。
そんな疑問を解決します。
遠方からの来客がお土産を持って来る事は多々あります。
こうした場合、持ってきたお土産はその来客に出さない、というのが正式なマナーです。
また、来客が熱いもの、冷菓(アイスクリーム等)、生菓子等を持って来る事も多々あります。
持ってきた来客が親しい方であれば、「お持たせですが、早速いただいてもよろしいでしょうか?」と一声かけて、来客も一緒に食べてもらう、という形で出すやり方でも良いです。
また、職場の場合だと、お土産げお菓子をもらっても来客と一緒に食べる事はまずありえません。
しかし、気心しれた来客であれば「お持たせですが」と一言添えて、おしぼりを用意して一緒に出しても良いでしょう。
その際、おしぼりは来客からみて右、お茶を中央、お菓子を左に置くようにします。
来客が長居している時のお茶のおかわりはどうすれば良い?
お茶を出された側が2杯目をおかわりするのは図々しいですが、逆にお茶を出す側は2杯目を出すべきか悩む事はあると思います。
2杯目は、1杯目のお茶を出してから30分後を目安に出す準備をしましょう。
また、おかわりを出す時は最初の湯飲みを下げるのが正式です。
ただし、職場で書類をいっぱいに広げて話をしている時は逆に迷惑になってしまう事もあります。
2杯目のお茶を出す時に急須をそのまま持って行って継ぎ足す行為もやめた方が良いです。
また、1杯目がお茶なら2杯目はコーヒー等、異なる飲み物を出す所が多いようです。
来客が多い場合、コーヒーでもお茶と同様にカップをお盆に並べ、ソーサーだけを重ねてお盆に乗せて持って行きます。
応接室に入ってから、サイドテーブルの上で来客一人ずつカップをソーサーにセットして出します。
ただし、お菓子で和菓子を先に出していてコーヒーを出してしまうと合わない可能性が出てきます。
また、コーヒーが苦手な方もいるので、それらの事も踏まえて2杯目を出しましょう。
来客に出すお茶やお菓子は「おもてなし」の心のあらわれ
来客にお茶やお菓子を出す時の作法を身に付ける事は、喉の渇きを潤してもらうだけが目的ではありません。
くつろいで、落ち着いた心になってもらおうという「おもてなし」の心が込められているはずです。
誰もがそんな気持ちになれるよう、来客にお茶やお菓子を出す作法を身に付ける事で、心地良い雰囲気を作る事、わざわざ足を運んでくださったという感謝の気持ちの表れにつながっていきます。