家庭菜園を毎年楽しんでいる人にとって、土の管理は大変ですよね。
通常、プランターや庭で家庭菜園をやるときには、新しい土を用意するのが基本です。
しかし、古い土は捨てるのに困りますし、毎年、新しい土が増えてしまうのも大変ですよね。
そこで今回は、古い土を再生する方法をご紹介したいと思います。
家庭菜園で1度使った土を再度使ってはいけない理由
そもそも、1度使った土は、なぜ再度使うことが出来ないのでしょう。
まず、雑菌や細菌が増殖しているということが考えられます。
もし、以前育てていた植物が病気にかかってしまっていると、その病気の菌が土にまだ残っています。
土の中には、植物の生長を促してくれる微生物も存在していますし、反対に病気にしてしまう菌も存在しています。
古い土は、その病気の菌が繁殖してしまっている場合があるため、新たに植物を植えても生長せず、枯れてしまうことがあるのです。
次に、水はけの問題があります。
土は小さな土の粒の集合で成り立っています。
家庭菜園で使用した土の粒は、どんどん小さく砕かれていきます。
粒が小さくなると、粒同士の隙間がなくなり、水はけが悪くなります。
それから、雑草などのほかの植物が生えてきてしまうという問題です。
球根などは、土の中で生きていれば、何度でも生えてきます。
球根や根が完全に取り除けていないと、その植物が生えてきてしまうことがあります。
この植物が成長してしまうと、育てたい植物の生育を阻害してしまうということが起きてしまうのです。
こういった理由がありますので、古い土はそのまま使うのではなく、再生をさせなければならないのです。
植物がよく育つ土とは?
それでは、家庭菜園に必要な良い土というのは、どういったことなのでしょうか。
良い土には、これらの条件が必要になってきます。
まず、水はけが良いことです。
ただ水はけが良いだけではいけません。
水持ちも良くなければいけないのです。
そのために、土の粒を微生物のフンや分解された有機物などと一緒に、くっ付き合ってできた団子状の土にする必要があります。
この状態の土を『団粒』といいます。
この団粒は、隙間に水を溜め込むことが出来ますし、団粒と団粒の間の隙間は水が流れるようになります。
なので、水はけが良く、水持ちがいい土になるということになります。
土を団粒にするためには、やはり微生物が欠かせません。
有機物をたくさん含んでいる土には、いろいろな微生物が集まり、この微生物が土を団粒化してくれます。
微生物が元気な土は、悪い病害虫をはねのけることが出来る土です。
しかも、いろいろな微生物の中で育った植物は、強い植物になります。
生物の生態系が出来ているからですね。
土を再生するときには、このようなことが大切になってきます。
良い土はいい匂いがする
それから、土には酸度も大切です。
最も植物がよく育つ環境は、弱酸性だといわれています。
植物によって好む酸度が変わってくるので、注意してくださいね。
日本は雨が多いので、土が酸性に傾いてしまう傾向がありますが、酸性になってしまうと肥料の吸収率が下がってしまい、植物の生長が悪くなってしまいます。
なので、畑を始めるときや、土を再生するときに、酸度を調整してくれる石灰を混ぜるのです。
良い土かどうかは、触り心地や匂いでわかります。
良い土はフカフカとしていて、手で握るとホロホロと崩れていきます。
良くない土は、握るとおにぎりになってしまう粘土状の土です。
それから匂いです。
山の中に入っていったときに、土の匂いを感じることがあると思います。
良い土は、そんな匂いがします。
それは、たくさんの微生物や有機物が混ざっている匂いなんですよ。
もし、ご自宅の家庭菜園の土から、そんな匂いがするなら、それは土づくりに成功している証拠ですね。
家庭菜園の土を再生する方法①
それでは、古い土を再生する方法をご紹介したいと思います。
まず、用意するものです。
・古い土
・ビニールシート・ビニール袋
・ふるい(細目、中目、荒目の3種)
・腐葉土や堆肥などの土壌改良材
・ビニール手袋や軍手
では、工程に入っていきます。
まず、古い植物の枯れ枝・枯れ葉・根・ゴミ・雑草などを取り除きます。
このとき、石灰を混ぜます。
球根なども、しっかり取り除きましょう。
この作業は土が乾いている状態の時にやると、やりやすいです。
次に、ふるいを使います。
手作業では取り除けない、細かい根やゴミを取り除くためです。
このとき、微塵になった土も取り除いてください。
園芸用のふるいは荒目・中目・細目と3種類あります。
使い分けると便利ですね。
家庭菜園のプランター程度でしたら、楽にできると思いますが、大きい花壇になると大変です。
覚悟して取り掛かりましょう。
土をふるいにかけたら、次に殺菌します。
古い土の殺菌は、紫外線に当てることで簡単にできます。
しかし、冬は日差しが弱く、殺菌効果もあまり期待できません。
夏に行うのがベストです。
まず、ビニールシートかビニール袋を用意してください。
黒いビニールの方が効果が高いです。
ビニール袋に入った古い土に水をかけ、湿らせます。
ビニール袋の口を閉めて、土を平らにならします。
そのまま直射日光に当てて、蒸して消毒します。
コンクリートの上など、温度が高くなりやすい場所で行えば、より効果的です。
ときどきひっくり返しながら、真夏で1週間程度で殺菌完了です。
家庭菜園の土を再生する方法②
土を消毒する方法はもうひとつあります。
それは、熱湯で消毒するという方法です。
たっぷりの熱湯を用意します。
その熱湯を、土が完全に浸かるようにかけます。
そのあと、土を冷まし、霜や冷たい外気に当てて病害虫を完全に駆除していきます。
太陽熱では消毒しきれない、日差しが弱い冬におすすめの方法です。
消毒が終わったら、土壌改良剤を混ぜます。
古い土は植物を一度育てているので、力がなくなっています。
殺菌と消毒をすると、有益な微生物もいなくなってしまいます。
再び家庭菜園で使えるようにするには、腐葉土や堆肥、培養土、土壌改良剤などを土に混ぜ込んで、栄養を補充していく必要があります。
古い土に対して3~4割ほど混ぜ込みましょう。
そして、新しく植物を植え付けるときに、有機石灰や苦土石灰、肥料を混ぜて使っていきます。
新たに植える植物は、前回の植物の違う植物を植えます。
連作障害が起きるからです。
連作障害とは、同じ植物や同じ科の植物を植えると、育成が悪くなったり、収穫が出来なかったりする障害です。
プランターなどの場合、古い土の再生をしっかり行っても、連作障害が起きる可能性があります。
土を再生させたら、違う植物を植えましょう。
もし、同じ植物を植えたいのであれば、土を新しくしましょう。
土壌改良剤で土を再生させる
最後に、土壌改良材についてお話します。
「土壌改良資材」「土壌改良材」は、土の性質を化学的に変化させるものをいいます。
土壌改良剤の効果は通気性や水はけを改善したり、土を柔らかくしたりというものです。
1度使った古い土は栄養が減り、土の粒が細かくなって、水はけが悪化しています。
また、病原菌などが繁殖している土は、土壌改良材と混ぜ合わせ、きちんと消毒をすることで再生し、再び利用することが可能になります。
肥料は植物の栄養を補給するために施しますが、土壌改良剤は土の質自体を改善して、植物の育ちやすい環境を作ってくれます。
そのため、古い土の状態を回復させるだけでなく、はじめて使う土にも利用できます。
家庭菜園においては、土壌改良剤を使って、1度使ったことにより偏ってしまった土壌菌のバランスを、きちんと調整することが大切になってきます。
土壌改良剤の種類を、いくつかご紹介します。
・バーミキュライト
・パーライト
・くん炭
・ゼオライト
・ピートモス
などです。
分からない場合は、園芸用品店で相談してみると教えてくれると思いますよ。
土の再生は、上の項でご紹介したもの以外に、いろいろな方法があります。
冬の厳寒期に土を掘り返して外気に当てる方法もよく行われます。
「寒ざらし」と言います。
また、コーヒーかすやお茶殻、卵の殻など、ゴミとして捨てられているものも土の再生に役立つんですよ。
いろいろと工夫をして、植物が育つ土を作っていくのも、楽しい作業ですよね。
土づくりも楽しもう
新しい土でも、古い土でも、植物にとって良い環境を整えてあげることが大切ですね。
土づくりは、家庭菜園の基本中の基本です。
良い植物の苗を植えても、土が悪いと良く成育しません。
家庭菜園に失敗しないために、土づくりから楽しんでくださいね。