野菜の価格が高騰して、食費がかかるのが大変と憂いている方におすすめなのが、家庭菜園です。
初めての方は、まず土づくりを考えましょう。
作物が育ちやすいように、整えてあげるのです。
土づくりや、肥料におすすめな石灰について、詳しくご説明していきます。
また、石灰以外の肥料についても、記事の最後で少しふれていますので、参考にしてください。
家庭菜園の土づくり・肥料におすすめな石灰!
家庭菜園を始めるとき、土づくりと肥料は大切ですよね。
それに欠かせないのが、石灰です。
なぜでしょうか?
土は、酸性・中性・アルカリ性と、性質が異なります。
日本では酸性の雨が降りますから、手を加えていないそのままの土地の土は、ほとんどが酸性です。
ブルーベリー・お茶・まめなど、酸性の土を好む作物もありますが、ほとんどの作物は、中性土壌やアルカリ性土壌を好むものです。
ですから、土に「石灰」と呼ばれるカルシウムを混ぜ、中性からアルカリ性に傾けておかなくてはいけません。
ですが、適当に石灰を撒けば良いわけではありません。
作物によって好む土は違いますし、だいたい15㎡あたりにヒシャクに1杯くらいが標準だと言われています。
石灰を撒きすぎるとアルカリ性になりすぎて、有機物が急速に分解するなどの障害が起きてしまうので、注意が必要です。
このあたりは家庭菜園なので、そこまで本格的にこだわる必要はありませんが、知識として知っておいてください。
また石灰には、いろいろな種類があります。
初めての方はどれを選べば迷うかもしれませんので、次項から違いを説明していきます。
家庭菜園の土を整える石灰!種類と特徴
一般的に売られている石灰には、生石灰・消石灰・苦土石灰・有機石灰があります。
では、それぞれの石灰の特徴についてご説明しますね。
・生石灰(せいせっかい)
酸化カルシウムのことです。
石灰石を焼いたもので、水と混ぜると熱を放出します。
アルカリ分が、とても強いのが特徴です。
極度に酸性に傾いている土壌に向いています。
分量なども注意しないといけないので扱いが難しく、家庭菜園には向いていないかもしれません。
・消石灰(しょうせっかい)
水酸化カルシウムでできています。
生石灰を水分と反応させてつくります。
学校の運動場で使うライン引きに使われているものとして、お馴染みですね。
こちらも、アルカリ分がとても強いものなので、初めての方が使うのは難しいです。
・苦土石灰(くどせっかい)
苦土というのは、マグネシウムという意味で、石灰はカルシウムのことを指します。
こちらは、ドロマイトか、ドロマイト質石灰岩を焙焼してできた石灰肥料です。
アルカリ分も多いですが、マグネシウムを含むので肥料にもなりますし、土壌酸度も調整してくれる優れものです。
・有機石灰(ゆうきせっかい)
貝がらや貝がらの化石でつくった石灰肥料のことです。
この石灰は穏やかに作用しますので、撒いた後すぐに種まき・定植することができます。
微生物を活性化させ、土が固くならないという利点もあります。
家庭菜園には苦土石灰と有機石灰!土質を測る測定器がある
家庭菜園の土づくりや肥料には、苦土石灰と有機石灰がおすすめですので、もう少し詳しくご説明していきます。
まず、苦土石灰です。
苦土石灰は白い粉末状、もしくは粒状の肥料になっています。
苦土石灰の一番の効果は、酸性度の調節です。
苦土石灰に含まれているカルシウムが植物の根を強くして、マグネシウムは葉をつややかに強く育てます。
葉が黄色く枯れるのも、防いでくれるのです。
では、苦土石灰は、どのくらい使うべきなのでしょうか?
こだわって作りたい方は、まず、家庭菜園の土のph値を知りましょう。
苦土石灰を混ぜる前の土質を測ることができる、市販の測定器が便利です。
作物は、その種類によって育ちやすい土の酸性度が違いますので、追求していくのも楽しいものです。
弱酸性から中性など、幅広い土質でも育つ丈夫なものもありますし、弱酸性の土では枯れてしまうものもあるので注意してください。
家庭菜園で育てたい植物が好む土の質、ph値をあらかじめ調べておくといいですね。
苦土石灰を、通常の量混ぜると1回につき、0.5ほどph度数が上昇するといわれていますので、難しい植物を育てたい方は、きちんと測定器で測りましょう。
苦土石灰の適切な量と使用する時の注意点
苦土石灰の量ですが、畑や家庭菜園の場合、1㎡あたり苦土石灰をコップ1〜2杯(100~200g)混ぜます。
鉢植えの土づくりなら、土1ℓあたり3〜5gくらい苦土石灰を使います。
こちらの量を、土にパラパラと撒いて、スコップなどでよく混ぜ合わせればOKです。
苦土石灰が土に馴染むまでは、2〜4週間ほどかかります。
ここで注意したいのは、苦土石灰は肥料と一緒に撒いてはいけないということです。
肥料に含まれる窒素成分と化学反応を起こすと、アンモニア臭を発生させ、土が臭くなってしまいます。
まずは、先に苦土石灰と土を混ぜ、馴染むのを待って肥料を混ぜましょう。
苦土石灰の価格の相場ですが、大きな袋(10~20kg)で500~1,000円ほどです。
粒状の方が加工の工程が複雑なため、100~200円程度高くなっています。
風が強いときにも散りにくく、使いやすいので粒状もおすすめです。
インターネットの通販では、1〜20kgというように自由に量が選べるため、使い方に合わせた量を選びましょう。
苦土石灰は土壌を改良するための肥料としても、優秀な石灰です。
植物の下葉が黄色く枯れてきてしまったときに加えても、マグネシウムが補給されますので、葉が元気を取り戻すことがあるのです。
家庭菜園を始めるなら、苦土石灰は常備しておきたいですね。
家庭菜園の肥料に有機石灰!安全で有機栽培にピッタリ
次に、家庭菜園の肥料としておすすめな、有機石灰についてご説明していきます。
先ほども簡単に書きましたが、有機石灰は散布した後、すぐ植え付けができるので便利です。
これは、貝がらの成分が水に融けにくいため、ゆっくりと酸性の土壌を中和していくためです。
また、水分に反応して、熱やガスが発生することもほとんどありませんし、効果も長く続きます。
逆に考えると、効果が出始めるのに時間がかかるということなのですが、家庭菜園での有機栽培には、一番適した石灰です。
有機石灰は作物をつや良くし、日持ちするように育てるとも言われています。
また、撒きすぎても、悪い影響はありません。
ph値を細かく測定するのが面倒だという方にとっても、多少多めに混ぜても、影響の出にくい有機石灰は安心な方法です。
ただ、苦土石灰などと比べて、高いのが難点です。
値段を見れば、多めに使うのが、もったいなくなるかもしれません。
有機栽培はコストや手間や時間が掛かりますが、育った植物は美しく、とてもおいしく感じられますね。
「手のかかる子」ほどかわいい、ということでしょうか。
家庭菜園で有機栽培したい方におすすめな肥料
肥料には、有機石灰の他にも自然素材を原材料としたものがあります。
自然素材の肥料は有機質肥料と呼ばれ、植物性と動物性の2種類があります。
有機質肥料は植物性のものは、油かす類・草木灰。
動物性のものは、魚かす類・骨粉・鶏ふん・牛ふんなどで作られます。
まず、油かす類ですが、大豆やナタネなどから油を絞ったあとの「かす」が原料です。
ナタネのかす肥料を使うときは、肥料を混ぜたすぐあとに、種や苗を植えると障害を起こすかもしれないので、土に混ぜた2〜3週間後に苗を植えましょう。
油かすを発酵した「発酵油かす」なら、土に混ぜてすぐ種まき・植え付けができます。
次に、牛ふんです。
こちらは、牛のふんや、しきわらを乾燥させ発酵したものになります。
ご存知の通り、独特の臭いがありますが、とてもバランスのいい肥料です。
ナスやピーマンなど、育てる期間が長い野菜に使うこともありますし、スイカやカボチャなどのツルものにもおすすめです。
そして、鶏ふんですが、この肥料は鶏のふんを乾燥・発酵・炭化したものです。
こちらも、比較的栽培期間が長い野菜に使います。
最後に骨粉です。
こちらは、処理施設で処分される家畜の骨を粉砕して、粒状にした肥料です。
チッ素・カリを補う肥料と混ぜて使うのが一般的です。
有機質肥料は、野菜が吸収する速度も遅いようですが、野菜の成長には欠かせない、微生物のエサになる有機質がたくさん含まれているのが特徴です。
家庭菜園で有機栽培に挑戦されたい方は、ぜひ知っておきましょう。
家庭菜園で使われる石灰のことを知ろう
土を整えるときに活躍する石灰は、生石灰・消石灰・苦土石灰・有機石灰がありますが、家庭菜園でよく使用されるのは、苦土石灰・有機石灰です。
苦土石灰は土壌酸度も調整してくれますし、肥料にもなります。
植物の根を強くし、葉を元気にしてくれるため、作物が育てやすく、おすすめです。
有機石灰は貝がらが原料ですので有機栽培に用いられますが、育てるのに手間がかかり、上級者向けです。