秋に新米を購入した人はいますか?
スーパーや生協の新米ではなく、農家から直接玄米の状態で購入しましたか?
農家では米を米袋という袋に入れて、30kg単位で販売しています。
米袋は紙の素材で、口の部分も紙紐で縛ります。
密封したポリエチレンの袋と違い、精米をしてしまうと虫がわくことがあります。
今回は、米袋の中でわく虫のお話です。
玄米を購入した時の米袋でわく虫
農家は、農協などに卸すかたわら、直接米の販売をしていることがあります。
農協やスーパーなどを通さずに販売するため、安いと購入する人もいます。
他にも、農協を通すと色々な農家の米を混ぜて販売されてしまうので、美味しい農家があれば、そこから直接購入した方が良いという人もいます。
農家が販売する米は玄米の状態が多く、自分で食べる時に必要な分を精米をします。
中には、販売する時に農家が精米をしてくれることもあります。
袋は米袋と呼ばれる紙の袋に入っています。
口の部分も紙紐で縛るだけのため、完全に密封することは難しいです。
そのため、中で虫が発生することがあります。
一年分の米を玄米で農家から購入すると、専用の冷蔵庫で保管し、必要な時に精米したものを届けてもらうことができます。
冷蔵庫で保存をしてもらうため、虫がわく心配がありません。
しかし、購入先の農家と頻繁に連絡が取れなかったり、遠方の農家から購入する場合は、必要な時に必要なだけを精米して届けてもらうのは、難しいかもしれません。
大量に購入し、住宅内で放置しておくと室温の関係で、米袋の中で虫がわいてしまうことがあります。
米にわく虫には「コクゾウムシ」「ノシメマダラメイガの幼虫」「コクヌストモドキ」の三種類になります。
米にわく三種の虫は、どんなものなのでしょうか。
そして、予防策はあるのでしょうか。
暑い季節室内で玄米を保存すると虫とカビがわく
冬場はあまり問題ありませんが、暖かい季節、暑い季節はどうしても米の虫がわきやすくなります。
冬でも、常に一定の温度を保つための暖房をかけている部屋に置いておくことは、得策ではありませんね。
そのため、スーパーマーケットで販売されている玄米や白米は、米袋ではなくポリエチレンの袋に入っています。
密封度が高いため、未開封ならあまり虫の心配をする必要はありません。
しかし、開封してしまったものは、たとえポリエチレン袋でも夏場は米が変色したり虫がわくことがあります。
開封したらすぐに使い切る、あまった米は冷蔵庫に入れるということが大切です。
特に開けてしまった後、旅行などで数日留守にすると、室温も高くなりますね。
夏休み中海外旅行へ行くときは、たとえポリエチレン袋に入った玄米でも、しっかりと口が閉じる袋に入れ直して、冷蔵庫で保存をしておきましょう。
もしくは、米を旅行前に使い切ってしまいましょう。
真冬でも、キッチンやダイニングにも十分に暖房されている家は、室温に放置しない方が米の保存になります。
たとえ目に見える虫がわいていなくても、米が青みがかってくすんでくることがあります。
味はもちろんですが、青くなった米は青かびが生えていますので、食べるのは控えることをお勧めします。
玄米の米袋にわく虫「ノシメマダラメイガの幼虫」
米にわく虫で、よく見かけるのが「ノシメマダラメイガの幼虫」です。
ノシメマダラメイガの幼虫は糠や胚芽が大好きなので、白米にも玄米にもわく虫です。
玄米は白米以上に糠や胚芽が多いので、とくにこの虫がわきやすいです。
人にとって栄養価が高い玄米は、虫にとっても栄養豊富な餌ということですね。
米同士がクモの巣のようなものでくっついて、ちょっとベタベタ感じがすると、その中に「ノシメマダラメイガの幼虫」がいます。
米を洗うために水を入れて少し放置すると、この幼虫が水の上にぷかぷかと浮かんできます。
玄米を吸水させるために水を入れておくと、そのうち浮いてきますので分かりやすいです。
良く洗えば大丈夫ということですが、食害された米は白く濁ってきます。
大量の玄米をそのまま米袋に入れたままにしておくと、下の方でノシメマダラメイガの幼虫がわいて、そのうちさなぎになり成虫になって、米袋の内側にも糸を張っていることがあります。
ポリエチレン袋の場合はありませんが、紙の米袋は内側に糠がついていることもあります。
そのため、玄米を容器にあける際には注意する必要があります。
成虫になったノシメマダラメイガは蛾になります。
米袋の口を開けたとたんに蛾が飛び出すときもあります。
玄米の中には洗わずに使えるものもあります。
しかし、米袋入りの農家の玄米はホコリを取ったり、虫がいることもあります。
しっかりと洗うことをお勧めします。
玄米の米袋にわく虫「コクゾウムシ」
「コクゾウムシ」は、稲を食い荒らす虫として、縄文時代のころから世界に生息している虫です。
幼虫の時は白いので、見分けが難しいですが成虫になると黒くなります。
黒いコクゾウムシは寒さに弱いので、18度以下の場所で保存をしていると活動することはありません。
しかし23度を超えると活動しますので、春先や秋口、室温が高い部屋でも活動してしまいます。
米袋は紙製なので、冬でも室温が高い部屋に置くときは注意してください。
春から夏、秋にかけては開封した玄米を小分けにしてビニール袋に入れて冷蔵庫に入れておくと、虫の発生を防ぐことができます。
紙製の米袋から入れ替える時は、新聞紙の上で一度虫干しをすると良いですね。
「コクゾウムシ」がわいてしまったら、まずは新聞紙に広げてしっかりと虫干しをしましょう。
もちろん、炊く前に水でしっかりと洗ってください。
黒くなっているコクゾウムシは、水で洗うとぷかぷかと黒い点のように浮いてきます。
しっかりとすすぐことで、コクゾウムシを除去することができます。
最後にはザルで流して水を切って下さい。
同じコクゾウムシでも赤いコクゾウムシは寒さに強く、農家の間では越冬コクゾウムシと呼ばれています。
こちらは、冷蔵庫に入れても活動をしてしまいますので、小分けにする前には一度虫干しをすることが大切です。
玄米の米袋にわく虫「コクヌストモドキ」
最後に「コクヌストモドキ」です。
コクヌストモドキは、米の他に小麦・シリアル・ナッツにも発生することがあり、アレルギーの原因となります。
米糠を好みますので、玄米が入った米袋は格好の餌場になります。
また、米をこぼしたまま放置しておくと発生することもありますので、米をこぼしたらしっかりと掃除をしておきましょう。
玄米を購入する時に注意をしても、路上にある精米機などで精米をすることで、コクヌストモドキが移ってくることがあります。
玄米の購入には農家の他に米店やスーパーで購入する方法がありますが、店で購入した玄米には、こういった害虫の心配はありません。
しかし、農家で購入した玄米にも、農家の納屋や精米機に住み着いているコクヌストモドキが移ってくることもあります。
せっかく冷蔵庫で保存をしていた玄米なのに、精米の段階で虫が移ってきたら残念ですね。
家庭でも米袋を暖かい部屋の中にずっと放置しておいたり、古い米袋を使って新しい玄米を少量分けて入れる時、中にコクヌストモドキが発生してしまうかもしれません。
古い米袋を使う時は、一度裏返しにして、天日干しにしてから使用するなど、中に虫がわいていないことを確認しましょう。
コクヌストモドキも、わいてしまったら虫干しと水洗いが一番効果的です。
玄米を購入したら米袋から出して、新聞紙の上に広げ虫干をし、ビニール袋に小分けにして保存することをお勧めします。
虫がわいた玄米は食べられる?
玄米を吸水させるために、水を入れておくと、色々な米にわく虫が浮いてきます。
しっかりと洗うと、虫を除去することはできます。
もちろん虫がわいた玄米でも食べることはできます。
しかし、食害を受けてしまった玄米そのものは色も変わってしまい、洗う時に粒が砕けてしまうものもあります。
結果をお話すると、虫が大量に沸いてしまった米や、食害を受けた米が大量に入っている米は処分することをお勧めします。
特に、米袋に入った古米には、食害を受けた米が多く入っていることがあります。
食害を受けて砕けてしまった米は食べる以前に、米を研ぐとほとんどがザルから漏れてしまったり、研いだ時に水に浮いて流れてしまうこともあります。
たとえ食べることができても、味は美味しくありません。
本当に食べるものがない時や、もったいないという時は食べても害はありませんが、あまりお勧めできません。
虫を誤って食べてしまったら危ないのでは、と思われるかもしれませんが、とくに食べてしまったからといって害があるものでもありません。
しかし最近の農家の人は、虫が湧いた米は食べないということも言っています。
そこは食べてしまった人の気持ちの問題としか言えませんね。
玄米は米袋体して虫干しを
スーパーマーケットで販売されている米は、ほとんどがポリエチレン袋に入っています。
農家や米店の量り売りで米を購入すると紙袋です。
紙製の米袋の方が、通気性もあり湿気によるカビの心配はありません。
しかし、口がしっかりと閉じないため、保存する時の温度によって虫がわいてしまいます。
栄養価の高い玄米は、虫にとっても美味しいお米です。
虫がわいた、と思ったらすぐに虫干しと掃除、そしてビニール袋に小分けにして冷蔵庫保存をしましょう。