体の悩みでの上位に挙がってくるのが、おそらく便秘ではないでしょうか。
毎日気持ちよくあってほしい便通が滞ってしまうと、体が思うように活動してくれません。
便秘の原因は様々ありますが、その一つとして、食物繊維の不足が考えられます。
ここでは、便秘を解消するために食生活改善が必要である理由、そして、食物繊維の働きなどについてお伝えします。
便秘ってどんな状態?
毎日排便がないと、「便秘かもしれない」と悩む方がいらっしゃいますが、そうともいい切れません。
個人個人、快適な排便のリズムは違うはずですから、日数だけで単純にくくれるものではないでしょう。
また、毎日リズムよく出ているように見えても、残便感が残る方もいらっしゃるかもしれません。
便秘とは単に「毎日の排便がない」ということだけを指すのではないのです。
排便が4~5日以上ないこと、便が快適な周期で排泄されず、排便後に不快感が残る状態のことを便秘としています。
ご自身の排便を考えたとき、それは快便、または便秘といえるものでしょうか。
日数で便秘かどうかを判断してきた方は、ここで一度振り返ってみてください。
ご自身の排便の状態が快適かどうか、残っている感じがないかを再確認してみましょう。
もし、そういった不快な症状を感じているとしたら、それは便秘といえるのかもしれません。
便秘を自覚したときに取り組みたいことは、食事の見直し、つまり食生活改善です。
水分や食物繊維は十分摂れているかなどを、意識してみましょう。
食生活改善は自分の○○を知ることから
食生活改善のための第一歩として、普段あまり意識せずに排泄し、洗浄してしまうであろうご自身の便と一度向き合ってみましょう。
便の様子を知ることは、ご自身の腸の状態、また食事の様子を振り返るためにとても有効な方法なのです。
例えば、便の色から食事の内容、腸に便が留まった時間を推測できます。
便は本来、十二指腸から分泌される胆汁の影響で、やや黄色みがかった褐色をしています。
しかし、脂分の多い食事の後は、胆汁が多く分泌され、黒っぽい便になりがちです。
また、便が腸に長時間留まっていた場合、腐敗が進み、色が黒ずんできます。
反対に、食物繊維を多くとっている人の便は腸の中に善玉菌が増え、その影響で黄色寄りの色になります。
便が腸に留まる時間が適切であれば、便が腐敗することなく、本来の便の黄褐色の状態で排泄されます。
色のほかにも臭いがきつくないか、排便時にいきむ必要があるかないか、すっきりと出切った感があるかなど、自己チェックをしてみましょう。
便を知ることで、ご自身に不足しているものを見つけるきっかけになり、便秘解消のための第一歩となります。
食生活改善が便秘解消につながる?
先ほど、ご自身の便を観察することで、不足しているものを知ることができるとお伝えしました。
便は私たちが実際に食べたもので出来ており、本来体に必要であるものが不足していれば、状態のよくない便が出てくるということです。
便秘に悩む多くの方は、食事をするときに炭水化物や脂質、たんぱく質に偏りがち、そして食物繊維が不足気味の傾向があります。
また、水分摂取量が不足していることも多いです。
まず、ご自身の食事をある一定期間、メモ程度で構いませんので記録してみましょう。
同時に、排便の状態、便の様子もあわせて記録を取ってみましょう。
すると、おそらく食事において不足している部分が明らかになってくるはずです。
不足しているものを、食生活改善によって補うことを心掛けてみましょう。
食事に対する意識を変えることで、便秘が改善する可能性があるからです。
食物繊維の働きとは?
腸にとって良い働きをするといわれる食物繊維ですが、具体的にどのように働く物なのでしょうか。
食物繊維は、胃で消化されなかったもの、いわば残りかすです。
食物繊維は栄養にはならないものの、腸の中で腸内細菌を増やす手伝いをしたり、腸を刺激して便通を促したりしています。
腸内にあるコレステロールなどの有害な物質をからめとり、便と一緒に排出する働きもあるのです。
そのほか、食物繊維を摂ることで食物の腸内での移動を緩やかにし、結果として血糖値の急上昇を抑えるといった効果も期待できます。
食物繊維は、水に溶けるか溶けないかによって、水溶性食物繊維、不溶性食物繊維の2種類に分かれます。
水溶性食物繊維は、水分を保持してゲル状にするため、便を柔らかくする働きがあります。
主に、海藻類、果物類、こんにゃくなどに含まれていますよ。
不溶性食物繊維は水分を抱え込み、その容量を増やすため、便のかさを増やす働きがあります。
穀物、野菜、豆類などに多く含まれます。
日々の食事で、これらを十分摂ることが大切なのです。
不足していると感じた方は、便秘解消のためにも、食生活改善が必要かもしれません。
食物繊維を豊富に摂って食生活改善!
食物繊維には、体にとって喜ばしい効果が期待できることがわかりました。
この食物繊維ですが、一日あたり20gを摂取することが推奨されています。
しかし、日本人の食物繊維の摂取量は、戦後以降徐々に減ってきているのが現状です。
その理由として、食の変化、特に和食から洋食への変化が考えられます。
海藻や穀物、豆類など食物繊維を自然に摂れる和食よりも、肉類や油脂の多めな洋食が食の中心となってきた現代では、便秘は当然の症状なのかもしれません。
食物繊維=野菜をたくさん食べることと考えがちですが、固く考えすぎてしまうと、食生活改善はなかなかうまくいきません。
実は、ちょっとした工夫で手軽に食物繊維を補うことが可能なのです。
例えば、ご飯に市販の押し麦や雑穀を混ぜて炊いてみる、玄米を取り入れてみるといっただけでも変わります。
また、生の野菜以外にも、乾物やフリーズドライ、冷凍野菜など、便利な野菜類がたくさんありますよね。
野菜を十分に買い揃えられないときに備えて、それらもストックしておくと良いでしょう。
デザートに、寒天を使ったものを取り入れるのも、おすすめです。
便秘の人におすすめの食物繊維
便秘と一口にいっても、その原因によりいろいろなタイプがあります。
・ダイエットなどで食事量が減ったことによる便秘
・高齢で腸の動きが低下してきたことによる便秘
・便意を我慢し続けた結果の便秘
・排泄に必要な筋力の不足
など、様々でしょう。
一般的には、水溶性の食物繊維を心掛けて摂ることで、便秘解消のきっかけになることが多いようです。
このような場合は、水溶性食物繊維を多く含む食材を意識して摂るよう心掛けてみましょう。
しかし、食事量が少なく便秘になっている方には、それに加えて不溶性の食物繊維を摂ることをおすすめします。
便のかさを増やす不溶性食物繊維の性質で、便秘解消効果が高まるでしょう。
また、高齢の方の場合、食物繊維に加えて水分摂取を十分に行ってください。
のどの渇きを感じにくくなり、水分不足に陥りやすい傾向があるためです。
食生活改善、水分摂取、そして筋力をつけるための運動も忘れずに、便秘解消に努めてみてくださいね。
自分の体と向き合う時間を大切に!
便秘には、食物繊維の不足が考えられること、そして便秘解消の第一歩はご自身の便と向き合うことである、ということをお伝えしました。
とても大切なことなのですが、排便はどちらかといえば敬遠されがちな話題です。
しかし、ご自身の体の状態を知り、改善するためには、排便のチェックは欠かせないものになります。
忙しく済ませがちなトイレの時間ですが少し余裕を持ち、体と会話する時間にしましょう。
すると自然に、便に関する悩みが減っていくのではないでしょうか。