正しい食生活ならサラダ油のトランス脂肪酸含有量も怖くない

サラダ油は、どんな油が入っているかをご存知ですか?

サラダ油という名称で販売されているものは、混合油といわれ、複数の油を混ぜたものが使われています。

その中には、トランス脂肪酸が含まれているのではないか、トランス脂肪酸の含有量はどれくらいなのか、気になっている人もたくさんいます。

しかし最近は、サラダ油の中にも単体の油のみを使っているものもあります。

その場合でもトランス脂肪酸が含まれているのか迷うことがありますね。

それでは、サラダ油のトランス脂肪酸と、食品に含まれる他の脂肪酸のお話をしましょう。

市販されているサラダ油のトランス脂肪酸含有量

まずは、皆さんのお宅にあるサラダ油の原材料をご覧ください。

サラダ油は混合油というお話をしましたが、最近は混合油ではないものも増えています。

我が家のサラダ油は「味の素さらさらキャノーラ油」ですが、こちらは菜種油100%で、原材料や成分にトランス脂肪酸の含有量は明記してありません。

この場合は、トランス脂肪酸の含有量は0と考えて良いのでしょうか?

マーガリンやショートニングではないのだから、大丈夫なのでは、と考えたくなります。

しかし実は、この油を作る過程で大豆や菜種油を搾って、さらに搾りかすから油を抽出する時に、トランス脂肪酸が作られてしまいます。

そのため、市販されているサラダ油のほとんどにトランス脂肪酸が含まれてしまいます。

サラダ油には、食用油に分類されていることもありますが、サラダ油という名称で販売されている油には、色々なものがあります。

サラダ油の原料は大豆油と菜種油で、この2つの油を混ぜたものを混合油、サラダ油と言われています。

しかし、最近は健康志向の人が増え、キャノーラ油といわれる菜種油100%のものが増えています。

この菜種油100%のキャノーラ油にもトランス脂肪酸が含まれているんです。

そこで、日清オイリオでは、こういったサラダ油と呼ばれる油のトランス脂肪酸含有量をしっかりと公式しています。

公式では100g中のトランス脂肪酸含有量は、「日清サラダ油」1.5g、「日清キャノーラ油」1.5g「日清べに花油」0.3g「日清ヘルシーライト」1.0g「ヘルシーリセッタ」1.5g「ヘルシーコレステ」1.0g「日清ヘルシーベジオイル」1.3gとなっています。

しかし、皆さんはサラダ油を1日に100gも摂取することがありますか?

和食中心なら、まずないですね。

大豆油を原料にしたサラダ油のトランス脂肪酸含有量

世界で使われているサラダ油の原料の第1位はパーム油で、こちらは飽和脂肪酸が多く、コレステロール値を上げる特徴があります。

第2位は大豆油ですが、大豆油は簡単に搾取することができないため「ヘキサン」という溶剤を使って油を取ります。

このヘキサンという溶剤を使うことが、トランス脂肪酸の発生になると言われています。

ところで、ヘキサンとは何でしょうか。

ヘキサンは、大豆の脱脂加工法の一つである溶媒抽出法の時に使います。

大豆を破砕した後にヘキサンを溶剤として使い、大豆油を抽出します。

ヘキサンは消防法により危険物第四類(第一石油類 危険等級3 非水溶性)に指定されている有機溶剤です。

慢性的な毒性としては、末梢神経を侵すために歩行困難などの多発性神経症が発症することがあると言われています。

これは大豆だけでなく、米ぬか油も同じです。

しかし、私たちが実際に油を使用する時には、油の精製生成過程で蒸留によって完全に取り除かれていますので、食用の場合は危険性はないと言われています。

大豆油はリノール酸も多く含まれていますが、リノール酸は必須脂肪酸で、絶対に必要な脂肪酸です。

リノール酸はごま油にも含まれていますが、摂りすぎるとアレルギー体質の人は悪化することもありますので、注意をしましょう。

大豆油を原料にしたサラダ油は、100%大豆というものはなく、ほとんどが菜種油との混合油となります。

日清オイリオでは、「日清サラダ油」のみ大豆油を使っていますが、他の健康オイルなどはすべて菜種油やこめ油、アマニオイルなどになります。

日清サラダ油のトランス脂肪酸の含有量は、1.5gになります。

味の素のjオイルミルズでは、「大豆たっぷりサラダ油」「こくの旨味大豆油」で大豆を原料にしていますが、トランス脂肪酸の含有量の公式での発表はありません。

味の素では、この2商品以外は菜種油・コーン油も使っていますが、大豆油は使われていません。

同じサラダ油でも、大豆油よりも菜種油やべに花油、コーン油の方がトランス脂肪酸の含有量が少ないので、購入の時に原料を見るのも大切です。

トランス脂肪酸含有量が少ないサラダ油

日清オイリオの発表から、べに花油が最もトランス脂肪酸の含有量が少ないのがわかります。

べに花油は、他の油と比較してトランス脂肪酸の含有量が少なくなるため、マーガリンでも利用されています。

健康オイルと呼ばれるサラダ油には、べに花油の他にオリーブ油、アマニ油、えごま油などを使っているものが多いです。

中にはぶどう油や大豆油を使っているものもあります。

大豆油は危険というお話もありますが、味の素のjオイルミルズでは、健康サララは大豆油を使っています。

味の素では、健康サララのページでトランス脂肪酸の問題には触れていません。

大豆油に多く含まれる、不飽和脂肪酸がコレステロール値を下げる働きがあることに注目をしています。

しかし、市販されているサラダ油は、植物性の油脂を原料としています。

植物性油脂は、パーム油やココナッツ油以外は、ほとんどが不飽和脂肪酸です。

大豆油以外にも、日本で使われている油のほとんどは不飽和脂肪酸で、大豆油と同じようにコレステロール値を下げる働きはあります。

その中でもトランス脂肪酸の含有量が少ない油を選ぶことが、大切になっています。

べに花油を原料にしたサラダ油は、トランス脂肪酸の含有量が100g中0.3gで、大豆油を使ったサラダ油の5分の1になります。

グレープシードオイルと呼ばれるぶどう油、低温で搾取するオリーブオイルには、トランス脂肪酸がほとんど含まれないため、含有量は「0」と表示されているものもあります。

サラダ油はトランス脂肪酸が多いから危険、という人もいますが、原料によって違いがありますので、しっかりと見てから選ぶと良いでしょう。

 

トランス脂肪酸含有量がゼロのサラダ油

市販されている菜種100%のサラダ油の中にも、トランス脂肪酸の含有量がゼロのものもあります。

大手が大量生産をしている大豆油や菜種油は、搾りかすまで一気に搾取するために、ヘキサンを用いて高温で搾取し、トランス脂肪酸を発生させてしまいます。

しかし、手作りの菜種油を製造しているメーカーでは、低温での圧搾法でのみ搾取します。

そのため、サラダ油のトランス脂肪酸の含有量がゼロになります。

この場合は混合油ではないので、サラダ油の概念から外してもいいのかもしれませんが、調理の時は同じように利用するので、部類は一緒ということで良いですね。

手作り油で菜種油を原料としているものは、トランス脂肪酸の含有量がゼロです。

その分手間もかかっていますので、普通のサラダ油の5倍ほどの価格です。

さんわ油脂というメーカーで取り扱うこめ油もトランス脂肪酸が0です。

ゼロは無理でもより少ない油を選ぶなら、べに花油、オリーブオイル、グレープシードオイルを選びましょう。

ごま油もゼロではありませんが、かなり少ないと考えて良いと思います。

ただし、ごま油はn-6系と呼ばれる大豆油と同じ、アレルギー症状を悪化させる脂肪酸を含みますので、使い過ぎには気を付けましょう。

えごま油やシソ油はトランス脂肪酸の含有量が少なく、アレルギーの人でも安心なn-3系の脂肪酸を含みます。

えごま油やシソ油は加熱には不向きですが、生で使えますので、ドレッシングとして使う時はお勧めです。

n-6系とn-3系は、どちらも必須脂肪酸を含みますので、4対1の割合で摂取することが理想になります。

家庭で油を搾ることができる、圧搾機も販売されていますが、1台6万円以上になります。

時間もかかりますので、圧搾機を購入するよりも、トランス脂肪酸の含有量が少ないものを選ぶ方が良いかもしれません。

トランス脂肪酸以外の脂肪酸含有量は気にならないの?

私たちが日常の食生活で摂る油脂には脂肪酸というものが含まれます。

油脂以外でも、豚肉や牛肉、マグロやサンマにも脂肪酸は含まれています。

マーガリンやサラダ油のトランス脂肪酸が危険と言われていますが、自然の脂肪にもトランス脂肪酸が含まれています。

牛肉やバター、乳製品にはトランス脂肪酸が含まれています。

自然だから大丈夫、人工的だから危険と、誰が決めつけたのでしょうか?

たしかに、ヘキサンといった溶剤を使って搾取しているということを知ってしまうと、トランス脂肪酸の含有量以前に、怖いという感じがします。

しかし、トランス脂肪酸はトランス脂肪酸、自然も人工も身体に及ぼす影響は、化学的に同じです。

中には、トランス脂肪酸が危険だからバターにします、という人もいますが、バターはトランス脂肪酸だけでなく飽和脂肪酸を多く含み、コレステロール値を上げます。

コレステロール値を上げるというと、そこでまた危険と過剰に反応をする人がいますが、コレステロールは私たちの骨を作る骨芽細胞やビタミンDの原料になる、必要な物質です。

ありすぎても困りますが、不足すると成長を阻害します。

異常に神経質な家庭で育った子どもの中に、身体が小さく弱くて抵抗力が少ない子が多いです。

大人と子どもは必要な栄養も違いますので、高齢者基準で食を考えるのは危険です。

不飽和脂肪酸も、身体の成長には絶対に必要で、特に多価不飽和脂肪酸は、コレステロール値を下げたり、体温を保ち基礎代謝を上げる働きもあります。

マグロやサンマはトランス脂肪酸も含みますが、多価不飽和脂肪酸のDHAもたくさん含み、血液をサラサラにする効果があると有名ですね。

そのため飽和脂肪酸と一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸は毎日3対4対3の割合で摂ると、理想的といわれています。

皆さんは、トランス脂肪酸を問題視していますが、こういった他の脂肪酸の含有量は気にならないのでしょうか?

トランス脂肪酸の存在が問題になっているのは、このバランスで摂らない人が多くなっているからです。

食事の欧米型はどうしても、飽和脂肪酸に偏りが出てしまいます。

バターだけでなく、パーム油やココナッツ油にも飽和脂肪酸がたくさん入っています。

そして、なぜマグロやサンマが身体に良いのかというと、魚は飽和脂肪酸と一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸の含有量がほぼ3対4対3で、理想に近いからです。

トランス脂肪酸を気にする前に、まずはバターや乳製品、パーム油やココナッツ油を大量に摂ってしまう、欧米型の食生活を見直しましょう。

トランス脂肪酸の含有量を気にするのは誰のため?

皆さんは、いったいどの世代の人に向けて、トランス脂肪酸の危険性を訴えていますか?

昔の人間は、冷蔵庫や保存料がなく、食中毒や寄生虫で病気になったり命を落とす人が大勢いました。

脚気や溶血性貧血など、栄養不足や偏りで命を落とす病気もありました。

食べるものが不足して、飢餓で命を落とす子どももいました。

今でも、世界中にこういった国はたくさんあります。

戦後の日本では、砂糖が手に入らず「チクロ」「サッカリン」といった人口甘味料が普通に使われていたのをご存知ですか?

どんな方法で作られたのかわからない、どんな危険な添加物が入っているかわからない、お菓子や加工食品もありました。

サラダ油も、今よりも危険なものがたくさんあり、トランス脂肪酸の含有量はおそらく現代の倍以上だと思われます。

2000年代に入り、人工着色料やトランス脂肪酸の危険性が発表され、マスコミやネットの情報があふれて、誰でもその危険性を知ることができるようになりました。

しかし、戦後に育った人たちは今どうしていますか?

70代、80代になっても戦前の人よりも、若く健康な人が多いと思いませんか?

トランス脂肪酸テンコ盛りのマーガリンやショートニング、サラダ油を食べていた世代の人の中にも認知症になることなく、元気な人はたくさんいます。

トランス脂肪酸の危険性があるから代用品を、と作っても代用品にも危険性はあります。

安全なものばかりを選んで食べているという人たちの中にも、癌や高血圧、心筋梗塞になる人もいます。

危険、危険と何でも取り上げて、自分たちで選択をするということを、子どもたちから奪っても新しい危険は生まれます。

もちろん、100%安全なものができればいいですが、現段階ではそんなものはありませんよね。

高校生世代に、トランス脂肪酸の危険性の話をすると、「食べるものが何もなくなる」「大人が決めることではない、自分たちで考える」「これから自分たちが研究をして、安全なものを作ればいい」と言っています。

ちゃんと理解して考えることができる人もいます。

しかし、親がなんでも取り上げるだけの世代の子どもの中には「ダメだと言われたから」「危険と親が言うから」と自分で考えようとしていません。

泥遊びは菌の感染が心配と、外遊びをさせない大人がいます。

太るから、大人になったら生活習慣病が心配だからと、子どものうちから乳製品を控えたり、お菓子を食べさせないという親もいます。

中には、バランスが良いからと、健康食品の摂りすぎで肥満になったり、スポーツドリンクを飲ませすぎて脚気で命を落とした子もいましたね。

人間は小さいころから、色々な危険なものをちょっとずつ経験し、体験して免疫や抵抗力を育てています。

そうやって細胞が学習をし、健康な大人の身体と心を作り上げていきます。

子どもたちには、危険なものをただ危険というのではなく、それさえも打ち消してしまう、乗り越えてしまうような、丈夫で健康な体を作ることの方が大切なのではないでしょうか。

未来につながる脂肪酸への考え方

サラダ油やマーガリンに含まれるトランス脂肪酸の含有量が問題になっています。

それは国やメーカーの責任だけではありません。

使う私たち消費者にも責任はあります。

米離れ、欧米化の食生活はどうしても油脂が多くなります。

しかし和食なら、余分な油脂を使うことはありません。

みなさんの子ども達が健やかに成長していけるように、バランスの摂れた食生活がとれる環境を作ってあげましょう。