夏が過ぎ秋になると、あっという間に寒さが堪える季節になります。
寒い時にはやはり、温かいうどんが良いですね。
特に熱々味噌仕立ての鍋焼きうどんなんて、最高だと思いませんか?
鍋焼きうどんには家庭によってお袋の味がありますが、地方によっても色々と違う点があります。
お店によっても、具や味噌の種類などの違いがあります。
今回は味噌仕立ての鍋焼きうどんと、美味しいレシピについてのご紹介です。
鍋焼きうどんのルーツは味噌仕立て
寒くなると食べたくなる鍋焼きうどんですが、いったいいつ頃から食べられていたのでしょうか。
鍋焼きうどんは、煮込みうどんのことで、地方やお店・具によって「うどんすき」「煮込みうどん」「味噌煮込みうどん」「ほうとう」と呼ばれています。
関東にあるうどん店の「鍋焼きうどん」は、土鍋やアルミ鍋に、醤油とみりんをだし汁で割った「麺つゆ」とうどんを入れ、蒲鉾・しいたけ・油揚げ・エビの天ぷら・生卵・長ネギなどの具を乗せて煮込んだものをいいます。
レシピによっては具には、豚肉や鶏肉・つくね・青菜・にんじんなどを入れるものもあります。
焼きという言葉が入りますが、焼きうどんはまた別のものになりますね。
鍋焼きうどんは手間がかかるということで、そばやうどんのお店でも、時間との勝負の立ち食いのお店ではメニューにありません。
また、冬限定にしているお店もあるようです。
汁も醤油をだし汁で割る麺つゆのものと、味噌の鍋焼きうどんとがあります。
味噌仕立てのものを一般的には味噌煮込みうどんといいます。
名古屋でよく食べられていますが、起源は武田信玄の陣中食で「ほうとう」から来たものだといわれています。
ほうとうも味噌煮込みうどんの一つですが、ほうとうの麺は、うどんと違い周りに打ち粉がついたまま、鍋で一緒に煮込むのが特徴です。
他の鍋焼きうどんと違い、ほうとうは打ち粉が汁に溶けてトロッとするところが独特で、身体が温まりとても美味しいです。
同じ鍋焼きうどんと言っても、汁や具・麺の種類などによってレシピも異なり、それによっても呼び名が違い面白いですね。
味噌煮込みの鍋焼きうどんレシピ
前項でご紹介した通り、鍋焼きうどんには醤油仕立てと味噌仕立てがあります。
味噌仕立ての鍋焼きうどんといえば、名古屋の味噌煮込みうどんですね。
名前は味噌煮込みうどんですが、土鍋の中で味噌仕立てのうどんを煮込む、名古屋の味噌煮込みうどんは、まさに味噌仕立ての鍋焼きうどんです。
それでは、名古屋の人が昔から食べている、お馴染みの味噌煮込みうどんのレシピをご紹介しましょう。
【材料】(2人分)
・茹でうどん 2玉
・豚肉薄切り 100g
・白菜 2~3枚
・にんじん 中1/4個
・生しいたけ 4個
・長ネギ 2本
・八丁味噌 35g
・酒 45ml
・卵 2個
・一味唐辛子 少々
<だし汁>
・水 500ml
・鰹節 50g
【作り方】
①鰹節と水で濃い目のだし汁を作ります。
②にんじんは皮をむき薄い短冊切りに、しいたけはいしづきを取り笠の部分を飾り切りにします。
長ネギは1cmくらいの斜め切りに、白菜は2~3cmのざく切りにします。
③豚肉は食べやすい大きさに切ります。
④土鍋にだし汁と八丁味噌、酒を入れて煮立たせて、味噌が溶けたら豚肉を加えます。
⑤豚肉に火が通ったら、うどんと白菜、にんじん、しいたけを入れて、ひと煮立ちしたら長ネギと卵を加え、火を止めて蓋をします。
⑦卵が半熟になったら、器に分けて一味唐辛子を振ります。
八丁味噌がない場合は、赤味噌でも良いです。
味噌の鍋焼きうどんのルーツ!ほうとうのレシピ
熱々のほうとうは、寒い季節にはもってこいの美味しい鍋焼きうどんです。
太めのうどんと、かぼちゃの甘さ、そしてトロッとした味噌仕立ての汁はくせになる美味しさです。
それでは、ほうとう麺を使った家庭でも作れる美味しいレシピのご紹介です。
【材料】(1人前)
・ほうとう麺 1玉
・豚肉小間 80g
・しいたけ 1枚
・大根 50g
・かぼちゃ 50g
・にんじん 25g
・だし汁 400ml
・味噌 大さじ1
【作り方】
①大根とにんじんはいちょう切り、しいたけ、かぼちゃは食べやすい大きさに切ります。
②1人分の土鍋にだし汁を入れて火にかけ、沸騰したら大根とにんじん、かぼちゃを入れて蓋をし、中火で10分煮ます。
③10分経ったら、麺としいたけを入れてさらに15分煮ます。
④最後に豚肉と味噌を溶き入れて、5分煮ます。
⑤豚肉に火が通ったら出来上がりです。
ほうとう用の茹で麺もありますが、ほうとう独特のとろみを楽しむなら、ほうとう用の生麺をお勧めします。
ほうとうと味噌煮込みうどんは、麺の他に具が違います。
ほうとうには大根やかぼちゃが入りますが、長ネギや白菜・卵は入っていませんね。
しかし、ほうとうに長ネギを入れている家庭もあります。
家庭で食べるなら、本格的なものにこだわらずに、好きな具を合わせてもいいかもしれません。
味噌仕立ての鍋焼きうどん「おっきりこみ」のレシピ
山梨県を中心に奥秩父や群馬県でもほうとうに似た郷土料理が食べられています。
奥秩父では煮ぼうとう、群馬ではおっきりこみといいます。
おっきりこみは、醤油仕立てと味噌仕立ての両方があります。
今回はせっかく味噌のお話なので、味噌仕立てのおっきりこみのレシピをご紹介しましょう。
しかも、麺からの作り方です。
【材料】(2人分)
・薄力粉 130g
・強力粉 70g
・ぬるま湯 90ml
・塩 10g
・だし汁 630ml
・味噌 55g
・しいたけ 4個
・油揚げ 1枚
・長ネギ 1/4本
【作り方】
①薄力粉と強力粉・塩をボウルに入れて、菜箸でよく混ぜながら、ぬるま湯を加えていきます。
②ぬるま湯をすべて加えて、全体が良く混ざったら、手で捏ねます。
③手のひらを使って、力強く捏ねていきます。
製麺機があるなら使っても良いです。
④10分以上捏ねたら、ひとまとめにして、濡らした布巾やさらしに包んで30分寝かせます。
⑤また、生地を捏ねます。
再度まとめて寝かせます。
この作業を2回行います。
⑥寝かせている間に具を切ります。
油揚げは油抜きをして1~2cmの短冊切り、しいたけは1/4、長ネギは小口切りにします。
⑦まな板に、分量外の薄力粉を振って、生地をのせ麺棒で伸ばします。
5cmほどの厚さになるように伸ばします。
⑧伸ばした生地を三つ折りにし、包丁で1~1.5cm幅に切ります。
切った麺にさらに薄力粉の打ち粉を振ります。
⑨たっぷりの湯を沸かし、麺を茹でます。
⑩土鍋にだし汁・油揚げ・しいたけを入れてひと煮立ちさせます。
⑪味噌で味を整えたら、うどんを入れます。
⑫最後に小口切にした長ネギをのせます。
おっきりこみは家庭によっては大根やにんじんを入れることもあります。
麺から作ってみたい人は参考にして下さい。
太いコシのある手作り麺は、色々な鍋焼きうどんに最適です。
味噌仕立ての変わり味の鍋焼きうどんレシピ
味噌仕立ての鍋焼きうどんというと、ほぼ同じような味が定番ですが、ここでちょっと変わった味噌仕立ての鍋焼きうどんをご紹介しましょう。
鍋焼きうどんの変わった味のものでは、トマトソースを使ったブイヤベース風のもの、キムチ鍋風のもの、すき焼きの割り下で味わう「うどんすき」などがあります。
他にもうどんの汁に牛乳や豆乳、バターを使ったものもあります。
その中で味噌にさらに豆乳を加えたまろやかな味が楽しめる、鍋焼きうどんのレシピのご紹介です。
豆乳だけのうどんもありますが、豆乳と味噌は同じ大豆から作られているだけあり、とても味が合います。
【材料】(2人分)
・茹でうどん 1玉
・豆乳 400ml
・味噌 25g
・油揚げ 1/4枚
・ちくわ1本
・長ネギ 1/4本
・水菜 60g
・だし汁 200ml
【作り方】
①油揚げは油抜きをしないまま、5mm幅の短冊切りにします。
②ちくわは斜めに薄切り、長ネギは小口切り、水菜は3cmの長さに切ります。
③土鍋にだし汁・油揚げ・豆乳・味噌を入れ、火にかけて混ぜます。
④茹でうどんをほぐしながら入れます。
⑤切ったちくわを入れます。
⑥最後に、長ネギと水菜を散らします。
豆乳と味噌が身体をポカポカに温める鍋焼きうどんです。
味噌は赤味噌でもいいですが、八丁味噌があればさらに美味しい鍋焼きうどんになります。
全国の美味しい鍋焼きうどん
うどんというと関西、関東は蕎麦という人もいますが、関東にもたくさんの美味しいうどんレシピがあります。
ほうとうやおっきりこみのような鍋焼きうどんのルーツにもつながるうどんもたくさんあります。
麺の種類も様々で、細い麺から太い麺、幅広い麺まであります。
味も醤油仕立てと味噌仕立てがあり、うどんが好きな人は、どちらも選べないくらい美味しいですね。
東北から関東、関西にかけての定番の鍋焼きうどんは、醤油仕立てのものが多くあります。
具には、海老の天ぷらと伊達巻・かまぼこ・卵・ほうれん草・長ネギが入ります。
店や地方、家庭によって長ネギを煮込んだり生のまま薄く切って入れたり、油揚げが入っているものもあります。
そこから地方によって、海老の天ぷらの代わりに、鶏肉やモツが入ります。
信州では味噌仕立ての鍋焼きうどんに、海老の天ぷらが入ったものもあります。
愛知県は八丁味噌の本場ということもあり、醤油仕立てよりも味噌仕立ての鍋焼きうどんが多くあります。
どんなところに行っても、美味しい鍋焼きうどんが食べられる日本。
全国の美味しい鍋焼きうどんを食べつくしてみたいですね。
今年の冬は味噌仕立ての鍋焼きうどんで
このように味噌仕立ての鍋焼きうどんは色々なレシピがあります。
それぞれ具が違ったり、具の使い方が違ったりしますが、いずれも味噌をベースにした昔ながらの素朴なうどんです。
地方によって、その地域でとれた野菜や肉を入れて美味しく仕上げますが、どのレシピにも素晴らしいものばかりです。
秋になるとあっという間に寒い冬が来ます。
寒い季節にピッタリの美味しい熱々の味噌仕立ての鍋焼きうどんで、身体の中から温まりましょう。