味噌は材料があれば、誰でも製造をすることができます。
製造をするだけなら特別な許可はいりません。
ただし、これは家庭で食べるための味噌で、営業をする場合は別です。
例えば、古民家を借りて自家製の味噌を作って販売したい、ということになると資格と許可が必要になります。
では、どんな許可をとれば、自分で作った味噌を販売することができるのか、お話をしていきましょう。
味噌の製造には許可が必要か
お菓子作りや手芸を得意とする人が、ちょっとしたお店を始めることがありますね。
自然食品の販売店の片隅で、自家製の味噌を製造し販売したい、と思っている人はいませんか?
祖母の家を相続したけれど、外国人の人が好きそうな田舎の民家なので、そこで自家製の味噌を製造して、ちょっとした和食専門店にしたい、と思っている人がいますね。
また、今話題の民泊を始めるのだけれど、自家製の味噌で食事を提供してもいいのか、許可がいるのかと不安になっている人もいるのではないでしょうか。
「食品」を作るのは良いけれど、それを利用して「利益」を得るとなると、色々な規制があります。
しかし、自分で食べるだけのための製造なら、許可は必要ありません。
趣味として製造する、友人におすそ分けするということなら、全く許可や規制は必要がありません。
好きなだけ製造して、自分で楽しんで、その楽しみを周囲の人にも分けてあげてください。
民泊は営業を目的にしている、というよりも地方再生や、宿泊施設の不足を補うことが目的です。
自分で作った味噌を使って、味噌汁や料理を提供しても大丈夫です。
民泊の許可申請だけで、手作りの味噌を提供することができます。
どんな場合に味噌の製造許可が必要か
まず、すでに他の食品を製造販売している人は、何の許可もなく味噌を製造販売ができます。
食品の安全確保上問題がなければ、施設や設備の一部、他の「食品営業許可施設」等との「施設設備」の共用が認められています。
例えば、コロッケやサラダ、おにぎり、惣菜を作って販売している人は、同じ施設設備を利用すれば、いつでも製造販売ができます。
醬油製造業者が、味噌の製造も行っているところが多いのは、そういう理由です。
全くの初心者の場合は、製造許可をとる必要があります。
味噌製造業とは、麹製造業者、又はその他の人が、味噌製造業の施設を設けて、消費者の委託を受け、仕込み前までを賃加工することを言います。
麹製造業者、又はその他の人が、味噌製造業の施設を設けて、その施設を第三者に利用させる場合、使用料の徴収の有無に関係なく、味噌製造業の許可を必要としません。
しかし、その施設を利用する第三者が、自分で使う以外に、販売の目的をもって施設を利用する場合は、その利用者には味噌製造業の許可が必要になります。
味噌を調味料の主原料として、野菜、肉等のスープを使い、それに塩を加える、いわゆる「味噌ラーメンの素」「味噌ドレッシング」を製造して営業販売する場合は、許可は不必要になります。
このように、許可がなくても味噌を製造販売できる人と、許可が必要な人は異なります。
味噌の製造許可をとる方法
味噌を製造販売するには、「食品営業」の許可が必要になります。
食品を製造・販売したいということになれば、まず「食品営業許可・届け出」が必要になります。
「食品衛生法」及び製造する県の食品衛生条例により、製造する品目ごとの許可が必要になります。
これは、県の条例によって違いますので、役所などで確認しましょう。
許可を得るためには、住居とは完全に区別された、専用の製造施設が必要になります。
販売する場合も、専用の販売施設が必要です。
自宅の台所で作ったものでは、販売することはできませんね。
田舎の古民家のように広い自宅なら、改築し味噌の製造スペースと、自宅のスペースを分けて、許可を得ることができます。
施設は、地元の都道府県の「共通基準」「特定基準」に適した部屋が必要です。
改築前に、地元の保健所に相談し、確認しましょう。
許可業種ごとに、手数料もかかります。
そして、食品の製造販売許可の有効期間は5年間です。
味噌は専用の容器に入れて、販売をする場合、表示が義務付けられています。
製造年月日や原料、原料の産地などを表示します。
そして、食品の製造販売には、もう一つ「食品衛生責任者」の資格が必要になります。
大学の農学部や生命科学部・家政学部・人間科学部の学生は、卒業と同時に取得していることがあります。
薬科大でも取ることができます。
製造にかかわる人の中に、1人持っていれば大丈夫ですので、家族で当てはまる大学出身の人がいれば、確認してみましょう。
一般の人は、各都道府県で行っている講習に出席します。
東京都では受講料10,000円で、受けることができます。
全部で6時間、1日で取得することができます。
栄養士・管理栄養士・調理師・製菓衛生士の資格を持っている人は、食品衛生管理者を取る必要はありません。
味噌の製造許可を取るまで
それでは、いよいよ味噌の製造販売をするための流れをご説明しましょう。
まずは計画をします。
ただ味噌作りが好きだから、たくさん作って売ったらちょっとお金になるかな?くらいの気持ちでは、計画倒れになってしまいます。
何を目的にしているのか、どんな条件があるのかを考えて、必要なものを確認し、準備するものを調べて用意します。
施設は、従業員は、量はどれくらい、といったことを計画します。
改築工事を始める前に、保健所に相談をします。
施設設備の簡単な平面図を用意します。
食品衛生管理者を選定します。
いなければ講座を受講し、資格を取りましょう。
販売する時のパッケージに貼る、表示作成の準備をします。
申請手続きの方法を確認します。
いよいよ営業許可申請をします。
書類審査、食品衛生責任者養成講習会申込み、検査日程を調整します。
保健所の食品衛生監視員による検査が行われます。
施設基準が合格できれば、後日、食品営業許可書が交付されます。
営業許可書、食品衛生管理者のプレートを掲示します。
管理記録簿の記入をします。
いよいよ味噌の製造販売が可能になります。
直売所やインターネットで味噌の製造販売をする場合
製造した味噌を、道の駅や農協の直売所などで販売する時も同じです。
最近は、農家の人が農協などを通さずに、インターネットで米や野菜を販売する、ということがあります。
米や野菜などを販売する時に、許可は必要ありません。
しかし、これが味噌やジャム、ジュースと言った加工品として販売する時は、保健所の許可が必要になります。
食品を販売する時には、食中毒や異物混入といった事故を起こすことはできません。
そのため、自宅の台所など、許可の下りていない不明確な場所で製造したものを販売することはできません。
それは道の駅や直売所も同じで、自分で直接販売するのではなくても、製造販売と同じ手順を踏む必要があります。
基本的に味噌は「食中毒」になる危険性は、ほとんどありません。
しかし、絶対に大丈夫と言えるでしょうか。
特に異物の混入を防ぐのは、許可の下りた施設でも、事故の発生率は0ではないのです。
食品にはアレルギー表示が義務付けられています。
きちんと許可の下りた施設で製造すれば混入の危険性がなくても、台所で製造すれば、アレルゲンとなる食材が混入してしまうこともあります。
ソバ粉・小麦粉のアレルギーは、食べた食品に含まれなくても、同じ施設内で作っていると、アレルギー反応を起こしてしまいます。
そのためアレルゲンとなる食材は、食品に含まれていなくても表示義務がありますね。
こういった危険性を考えて、たとえ製造販売を一手に行わなくても、販売目的で製造される味噌は、全て許可が必要になります。
インターネットだから必要ないなど、軽く考えないで下さいね。
味噌の製造に必要な器具
味噌の製造は、圧力鍋や大豆を潰すための器具、味噌を熟成させるための樽が必要になります。
味噌を作るセットの中には、すでに茹でた大豆が入っています。
しかし、自分で大豆を蒸す、または茹でるのは時間がかかります。
普通に大豆を茹でると、3時間かかります。
圧力鍋を使えば20~30分と、時間をかなり短縮できます。
圧力鍋は味噌作り以外にも、カレーライスやシチュー、煮物などを作ることができます。
何度も作ってみよう、たくさん作ろう、と思った人は圧力鍋があるととても便利です。
大豆を潰すためには、ミンサーというひき肉を作る道具があると便利です。
手動式なら2,000円くらいで購入することができます。
製造した味噌を漬けるための、樽と重石も用意しましょう。
自分で使う味噌の製造は、なんの許可もいりません。
その代わり、食中毒や異物混入は自己責任になりますので、くれぐれも気をつけてくださいね。
自宅で使う味噌の製造許可はいらない
自宅で使用する味噌を製造する時は、許可はいりませんよ。
なんの資格も必要ありません。
簡単に取り組めます。
と言われても、やはり、味噌作りは大変で面倒です。
道具を買っても、勿体ないと取り組まない人もいます。
しかし、自分で作った味噌は格別です。
自分で作った味噌で、美味しい料理を作ってみましょう。