冬が終わり、春の気配がすると食べたくなるのが、うどやふきのとうなどの山菜料理です。
普段食べている野菜にはない、山菜独特の風味をいただくと、春の訪れを実感できます。
酢味噌で和えたり、油で炒めたり、天ぷらなどでもおいしくいただけます。
最近ではスーパーや道の駅でも手に入るようになり、より身近な食材となっている山菜ですが、下処理をきちんとしなければならないことを知っていますか?
季節限定の食材なので、正しい下処理法をしっかりと覚えておいしく料理したいものです。
ここでは代表的な山菜の紹介と下処理法、レシピを紹介していきます。
ふきのとうやうどがスーパーで買える!
山菜といえば、冬の終わりから春先にかけ、野山へ行って採ってきて食べるものでした。
独特の風味、苦みがあり、味噌で和えたり油で炒めるなど様々な調理法で楽しむことができます。
そんな山菜も、今では道の駅やスーパーで見かけるようになりました。
天然ものが店頭に並ぶことはほとんどなく、多くのものは栽培された山菜です。
栽培といっても、普通の野菜と違って収穫までにとても時間がかかります。
植え付けてから1年もしくは2年以上たってからようやく収穫するものもあります。
栽培され店頭に並んでいるのはおおよそ20種ほどで、うどやふきのとうなどのメジャーなものが中心ですが栽培技術が進み、山でしか見なかったような種類も目にするようになりました。
どのようなものがあるのか、次の項目で見ていきましょう。
うどやふきの他にも!山菜の種類と特徴を知っておこう
スーパーでも手に入る、身近な山菜をいくつか紹介します。
・山うど
店頭に並ぶものは軟化栽培(光を当てずに栽培したもの)した後に光を当てて葉や茎を緑色にしたものです。
天然ものよりもクセは弱いですが香りや風味の強い山菜です。
生のまま味噌をつけたり、油で炒めて調理します。
・生ふき
ふきは全国の野山に自生していますが店頭に並ぶのは愛知県で栽培されたものが多いです。
少し繊維を感じる歯ざわりや、苦みのある独特の味が特徴です。
出汁と醤油で柔らかく煮ると風味よくいただけます。
・ふきのとう
ふきのつぼみの部分です。
より苦みが強く感じられるので、苦みを抑える調理をする必要があります。
・タラの芽
タラという木の新芽のことで新芽ならではの香りとほろ苦さがあります。
山菜の王様とも呼ばれるメジャーな山菜です。
・こごみ
クサソテツというシダ植物の若芽で、各地で自生しますが栽培も進んでおり、旬になると店頭でも見かけるようになりました。
アクやクセがなく、扱いやすい山菜です。
・うるい
オオバギボウシの若芽で、「山かんぴょう」「ギンボ」などと呼ばれます。
サクッとした歯ごたえでクセがなく、山菜の中でも食べやすい種類だといえます。
味噌和えに油炒め!調理の前に忘れずアク抜きをしよう
どの山菜も「苦味」「渋み」「エグ味」を持っています。
これは新芽や若芽であるが故のもので、総じて「アク」と呼びます。
普段使う葉野菜などにも「アク」のあるものがありますが、改良されているため水に浸したり湯通しすることで簡単に取り除くことができます。
しかし山菜は、たとえ栽培されたものでも天然の植物に近いため、「アク」が強く、必ずそれぞれの種類に合わせたアク抜きをしなければなりません。
春先の旬を逃さず楽しむためにも、このアク抜きをマスターしておきましょう。
アク抜きには、塩茹でする、水にさらす、重曹をつかうなど、いくつかパターンがあります。
アクの強さによって方法が違うので山菜ごとにまとめてみましょう。
●こごみ、セリ、うるい、タラの芽など
これらは比較的アクの少ない山菜なので、塩茹でにしてアク抜きをします。
鍋にたっぷりのお湯を沸かし、塩をひとつかみ加えてから山菜を投入し、手早く茹で上げます。
お湯に通す時間は1~2分ほどです。
山菜の色どりが鮮やかになったところで引き揚げましょう。
冷水で洗い、水気を切って次の調理に入ります。
●うど、ふき、よもぎなど
少しアクの強い山菜になると塩茹でするだけでなく、その後、一定時間水にさらしておく必要があります。
種類によりますが10分ほどでよいものから1時間以上さらしておくものもあります。
スーパーなどで購入できる山菜はそれほどアクが強いものは少ないので、塩茹でのあと少し口に入れてみて、苦みやエグ味を感じるようなら水にさらす時間を長めにしてみるといいでしょう。
●ワラビ、ゼンマイ、ふきのとう
特にアクの強い山菜には、重曹を使ってアク抜きをします。
鍋に沸かしたお湯2リットルに重曹小さじ1~2杯を加え山菜を投入して火を止めて落し蓋をします。
半日から一日、冷ましながら重曹液につけてアクを抜きます。
アク抜きが必要なのは手に入れた山菜を炒めたり和え物にしたりして、その日、もしくは2、3日のうちに食べる場合です。
天ぷらなどの高温で調理する場合や味噌や塩、醤油などの調味料で漬け込むときは自然にアクが抜けていくのでアク抜きは不要です。
山菜を味わう…炒めてもおいしいうどの酢味噌和えとこごみのフライ
ここからはスーパーでも手に入る山菜を使ったレシピを紹介していきます。
和え物にしたり油でさっと炒めると山菜の風味が味わえる一品になります。
まずはアク抜きが簡単な、うど・こごみから見ていきましょう。
●うどの酢味噌和え
【材料】
うど 1本
味噌 大さじ1
酢 大さじ1/2
砂糖 大さじ1/2
【作り方】
①アク抜きしたうどを短冊切りにして水にさらしておきます。
②味噌、酢、砂糖を混ぜておきます。
③うどの水気を切り、器に盛りつけて②の酢味噌ダレをかけます。
●こごみのフライ
【材料】
こごみ 6~8本
薄力粉 適量
卵 適量
パン粉 適量
【作り方】
①アク抜きの済んだこごみの水気を取っておきます。
②①のこごみに、薄力粉、卵、パン粉の順に衣をつけていきます。
③②を170℃の油で揚げて器に盛り、マヨネーズを添えます。
山菜を味わう…タラの芽の天ぷらとうるいの炒め物
うるいやタラの芽も、うどやこごみのように比較的アクの少ない山菜です。
タラの芽は天ぷらやゴマ和え、うるいはお浸しや油炒め、味噌汁にもよく合います。
●タラの芽の天ぷら
【材料】
タラの芽 6本
薄力粉 100g
水 1カップ
日本酒 30㏄
【作り方】
①タラの芽をよく洗い、袴を取り除きます。
②薄力粉と水を、衣を作るボールと一緒に冷蔵庫で冷やします。
③冷蔵庫から取り出したボールに水と日本酒、氷を2かけ入れ、薄力粉を加えてざっくりと混ぜます。
④分量外の薄力粉をタラの芽にまぶし、余分な粉を落としてから③の生地にくぐらせます。
⑤熱した油に根元の方から入れて揚げていきます。
揚げ油の中の空気が小さくなってきたら引き揚げます。
●うるいとベーコンの炒め物
【材料】
うるい 2株
ベーコン 3枚
醤油 適量
【作り方】
①うるいを洗って一口サイズに切ります。
②ベーコンを短冊切りにします。
③フライパンに油をひき、熱したところにベーコンを入れて焼き目がつくまで炒めます。
ベーコンに火が通ったらうるいを加え、ざっくりと混ぜて炒めます。
④うるいの色が鮮やかになったら醤油を回しかけて火を止めます。
山菜を味わう…わらびの煮物とふきのとう味噌
わらびやふきのとうは、うるいやうどよりもアクの強い山菜なので、調理の前にしっかりとアク抜きをします。
また、わらびについては鮮度が落ちやすいため生のままでの保存は避け、なるべく早くアク抜きをすることをおすすめします。
アク抜きが済んでいれば、冷蔵・冷凍保存が可能です。
歯触りがいいためお浸しや炊き込みご飯の具に向きます。
ゴマ油で炒めてもおいしくいただけます。
●わらびの田舎煮
【材料】
わらび 200g
人参 1/3本
こんにゃく 250g
厚揚げ 200g
麺つゆ 大さじ2~3
みりん 大さじ1
水 200㏄
【作り方】
①アク抜きしたわらびと人参、こんにゃくを長さをそろえて切ります。
厚揚げは、すこし大きめに切っておきます。
②鍋でこんにゃくを乾煎りしてから油を加えわらび、人参を入れてさっと炒めます。
全体に火が通ったら麺つゆ、みりん、水を加えて中火で煮ます。
③煮汁が半分くらいまで煮詰まったら厚揚げを加えて5分ほど煮ます。
全体に味がしみ込んだら完成です。
ふきのとう味噌
【材料】
ふきのとう 100g
味噌 大さじ4
みりん 大さじ2
砂糖 小さじ1~2
【作り方】
①味噌とみりんを合わせて混ぜておきます。
②鍋、または小さめで深さのあるフライパンに油をひき温めておきます。
③ふきのとうを5㎜角くらいの大きさに刻みます。
刻み終わったらすぐに炒め始めましょう。
ふきのとう全体に油がまわるとアクが少し和らぎます。
全体に火が通ったら①の合わせ味噌を加えふきのとうとよく混ぜます。
水分をとばし、火を止める直前に砂糖を加えます。
ふきのとうはアクが回りやすいので切ってから火にかけるまでに時間がかかると風味がなくなり、ただ苦いだけになってしまいます。
ふきのとう味噌を作るときは食材を混ぜる順番とタイミングを守りましょう。
アク抜きをしっかりしておいしく山菜を食べよう
今では山菜は、野山に行かなくても手に入る食材となりました。
近頃では山菜の種や苗を購入して自宅で作る人もいるようです。
自家製にしろ、栽培ものにしろ、天然の山菜に劣る部分もありますが、栽培物の山菜は軟らかめでアクが抑えられ、食べやすいのが特徴です。
調理するときには適切なアク抜きをし、よりおいしい山菜料理に仕上げましょう。