自宅で味噌作りに挑戦!容器や保存方法を教えます

味噌は、日本の食卓には欠かせない食材です。

朝に晩に味噌汁を飲み、料理の調味料、おつまみにひとすくい…と毎日のように口にしている方も多いのではないでしょうか。

最近ではこの味噌を自分で手作りする人が増えてきています。

自家製の味噌は大きな容器を用意する必要もなく、また、塩分や味を自分好みに作ることができます。

そして味噌は環境ごとに味の変わる食材なので、それぞれの家庭の味に仕上がるもの魅力のひとつです。

そんな我が家だけの味噌を作ってみてはいかがでしょうか。

自宅でできる!?味噌作り基本の手順

味噌を仕込む時期は1月~3月です。

この時期に仕込みをすることを「寒仕込み」といいます。

寒い時期に仕込むには理由があります。

ひとつには材料となる大豆や、麹のもととなる米の収穫時期が秋のため、冬に仕込むことで新鮮で質の良い材料を使うことができます。

ふたつめには、発酵期間と気温です。

寒い冬に仕込み、春から夏へと気温が上がりゆっくりと味噌の発酵が進みます。

秋になり気温が下がることで、味噌の発酵が落ち着き食べごろを迎えます。

準備に約2日、熟成に10ヶ月~1年かける味噌ですが、作り方はそれほど難しいものではありません。

それぞれの工程をひとつずつ丁寧にこなしていけば、失敗無く美味しい味噌を作ることができます。

【材料 約5kg分】
・大豆 1kg
・麹 1~2kg
・食塩 500g

【道具】
・保存容器
・内ふた
・重石
・ラップ
・大きな鍋
・ザルすり鉢
・すりこぎボウル

【作り方】味噌を仕込む主な工程は以下のようになります。

①戻す…生の硬い大豆を洗い、水につけて吸水させます。

大豆をよく洗い、大豆のおよそ3倍の量の水に一晩以上(10~15時間)浸します。

一晩経つと大豆が2倍以上の大きさになっています。

②煮る…吸水させた大豆を煮ていきます。

大豆を指で潰せるくらいの柔らかさになるまで煮て冷ましておきます。

③潰す…煮て柔らかくなった大豆を潰します。

すり鉢などを使って大豆を潰します。

丈夫なビニール袋に入れて綿棒や空き瓶でたたいて潰すこともできます。

④混ぜる…潰した大豆と麹を混ぜます。

塩と麹を軽く混ぜてから、潰した大豆を加えてよく混ぜ合わせます。

⑤発酵…④で混ぜた味噌を保存容器に移して発酵・熟成させます。

混ぜた味噌を空気を抜きながら丸め、容器に詰めていきます。

投げるように入れると中の空気が良く抜けます。

味噌が空気に触れることがないように、ビニールやラップをしっかりしてから内ふたをし、重石を乗せます。

容器の中に何も入らないよう、新聞紙などで容器の外から覆い紐で縛っておきます。

覚えておけば失敗なし!味噌作りのコツ

せっかく自分で作るのだから、美味しい味噌が作りたいですよね。

味噌作りの工程はご紹介した通りで、それほど難しいことはないのですが、失敗せず、美味しく作るためにはいくつか注意することがあります。

●材料の配合分量をきちんと計りましょう。

味噌づくりで最も多い失敗は、塩分率が下がり酸っぱい味噌になってしまうことです。

材料の配合、特に塩の量に注意し、正確に計るようにしましょう。

●大豆の取り扱い方を正しく知っておきましょう。

潰した大豆は、人肌以下になるまで冷ましてから麹と混ぜます。

良く冷まさずに麹と混ぜてしまうと麹菌が死んでしまい、うまく発酵しません。

●とにかくしっかりと、よく混ぜます。

塩と麹が全体に行き渡るようにしっかり混ぜます。

特に塩の混ざり方にムラがあると酸っぱい味噌になってしまいます。

●カビ対策をしましょう。

豆と塩と麹のみで作った味噌には、しっかりと密封してもカビが付いてしまいます。

カビが付くということは、無添加である証で失敗しているわけではないのですが、あまり放置しておくと全体に回ってしまう恐れがあります。

時々容器の中を確認して、少量の塩や焼酎をまぶしておくことで防ぐことができます。

初めての味噌作り自分にあった容器を選ぼう!

味噌作りに欠かせないのが丈夫な容器です。

一度仕込むと、一年以上味噌を入れておくことになるので、容器選びから悩んでしまう方も多いでしょう。

味噌を熟成・保存する容器として挙げられるのは、プラスチック容器、陶器、琺瑯、木桶などがあります。

どの材質の容器もメリット・デメリットがあるので、よく比べてみて、作る量や家庭に合ったものを選びましょう。

●プラスチック容器

メリット

・軽くて扱いやすく丈夫
・安く手に入る

デメリット

・塩分で容器が劣化する可能性がある

プラスチック容器は何より軽いことがメリットです。

一度にたくさん仕込むのであれば、軽くて丈夫なのでおすすめです。

塩分による劣化は、食品用のビニール袋を容器に被せ、その中で味噌を作るようにすれば解決できます。

●陶製の容器

メリット

・外気温に影響されにくい
・容器の劣化がない

デメリット

・重い
・衝撃に弱く割れてしまうこともある

陶製の味噌づくり用の瓶は、口が広くなっていて味噌を楽に扱うことができます。

温度の変化を受けにくいので味噌作りに向いた容器と言えます。

ただ、陶器は重い素材なので持ち運びには注意が必要です。

●琺瑯容器

メリット

・色や匂いが付きにくい
・味噌の成分が変化しにくい
・雑菌が付きにくく塩分に強い

デメリット

・陶製ほどではないが重みがある
・傷が付くとそこから錆びついてしまう

さまざまな種類がある琺瑯の容器ですが、中にはバルブのついたものがあり、簡単に空気に触れずに保管することができます。

ただし、仕込む味噌の量によっては重さが出てしまい、持ち運ぶのに支障が出るかもしれません。

●木製の樽・木枠

メリット

・使うほどに菌が住み着き深みのある味噌ができる
・木の香りのする味噌ができる

デメリット

・温度・湿度により収縮して容器が変形するため味噌が漏れてしまうことがある

木製の容器は今でも、味噌蔵などで使われています。

香りの良い味噌ができるため使ってみたいところですが、慣れないと管理が難しいのが難点です。

味噌作りを初めてするときには、軽くて扱いやすいプラスチック容器か、臭いの付きにくい琺瑯容器を選ぶのがベターでしょう。

味噌の容器はどこに置く?熟成期間にやっておくべきこと

仕込みができた味噌は、約10ヶ月ほど熟成させると食べごろになります。

熟成期間中の味噌の保存容器は、直射日光を避け、風通しの良い冷暗所に保管しましょう。

味噌は夏場の28℃~32℃くらいが一番熟成が進みます。

この温度の範囲内を保つことが大切です。

低すぎると熟成が進まず、高すぎると酸敗してしまいます。

このことを忘れず、家庭の中の熟成に向いた良い場所を探してみましょう。

仕込んでから4ヶ月ほど経つと(1月に仕込んだとすると5月の頃)味噌の表面に水分が出てきます。

これは「たまり」といい、味噌の旨味エキスなので捨てたりせず味噌に混ぜておきます。

醤油のように調味料としても使えますが、あまり取りすぎると旨味が減ってしまうので、ほどほどにしましょう。

さらに2~3ヶ月経ったころに、味噌の上下を入れ替えるようにかき混ぜます。

これを「天地返し」といいます。

混ぜた味噌は仕込んだときと同様に表面をならし、しっかりと密封しておきます。

夏場は気温が上がるため、カビが発生しやすくなります。

週に1度は味噌の様子を確認してカビの処理をしましょう。

冬に仕込めばその年の秋ごろが食べごろです。

美味しくいただける目安は食べ始めてから1年ほどです。

食べ始めたら冷暗所に保管しましょう。

使う分だけ取り分けて冷蔵庫で保存するのも良い方法です。

とはいえ、味噌を常温保存すると熟成はさらに進み色や風味が変わっていきます。

時間とともに味が変化していくのを楽しめるのも手作り味噌の魅力のひとつです。

せっかくの手作り味噌だけど…気になる塩分は?

味噌は日本特有の発酵食品です。

仕込みから、容器の中で熟成されるまで長い時間を費やし、美味しく仕上がった手作り味噌の味は格別です。

旨味成分を豊富に含む味噌ですが、同時に塩分も多く含んでいます。

これは、発酵させて作る味噌を腐らせない知恵によるものなのですが、口に入れる食品となると、やはり塩分の摂りすぎにならないか気になるところです。

味噌を作るときの塩の割合は1割ほど。

たとえば5キロの味噌には500gの塩が含まれているということになります。

500gと聞くと、とても多いように感じますが、味噌は調味料なので使う量は少量ずつ、味噌汁を例にとると、お椀一杯で約1.4gと食品の中では少ない方なのです。

それでも塩分が気になる場合には、体内の塩分を排泄する性質を持つカリウムを多く含む食材を一緒に摂るようにしましょう。

味噌汁にするなら豆腐、ホウレンソウなどを具にすると良いでしょう。

健康のことを考えると塩分に目が行きがちですが、味噌が持つ栄養面にも注目しましょう。

原料である大豆は、畑の肉とも呼ばれ良質なタンパク質を豊富に含んだ食品です。

その大豆を発酵させることによって、アミノ酸やビタミンなどが生成され栄養的優れた味噌になります。

この他にも味噌には炭水化物、脂質、カリウム、マグネシウム、繊維質などたくさんの栄養が含まれます。

ひとつの食品でこれほど多くの栄養を含むものは、あまり例がありません。

容器の中の味噌が黒い!熟成が進んだ味噌の利用法

食べごろの、できたての味噌の味は本当に美味しいものです。

味噌汁や野菜スティックに付けたりと使い道はいろいろです。

自分で作っているので安心してどんな料理にも使えます。

ただ、保存料を加えず無添加で作っているがゆえに、食べ始めてから保存容器の中の味噌の発酵の進みは早く、色が濃くなっていきます。

濃い色の部分も、腐敗したわけではないので十分食べられるのですが、空気に長く触れているため風味が変わってしまっているかもしれません。

そんなときには、他の調味料を合わせて付けダレを作り、豆腐や田楽に付けて使うようにしましょう。

みりんや酒などを加え、薬味や柚子などで香りを付ければ、まだまだ美味しくいただけます。

それでも気になるようでしたら加熱して使うようにしましょう。

残り少なくて色の濃くなった味噌は、新しいものと合わせて使うのもひとつの方法です。

色が濃くなり、ダメになったのではと不安に思うかもしれませんが、発酵が進んだことでアミノ酸の量が増え旨味が増した味噌になっているのです。

あきらめてしまう前に、味噌に合った使い方を探せば、あらたな美味しさに出会えるかもしれません。

作る・待つ楽しみを味わう

「味噌を手作り」と聞くとハードルが高いように思うかもしれませんが、仕込みを丁寧にしてさえおけば、あとは大豆と麹菌、そして時間の力で自然と美味しくなっていきます。

味噌は生きものです。

熟成期間中、絶え間なく発酵し続けています。

心を込めて仕込めば、美味しい味噌ができるのを待つ楽しみも増えるでしょう。

ただ美味しいだけではなく、いろいろな楽しみが手作り味噌にはたくさん詰まっています。

出来上がった味噌は、きっと毎日の食卓で活躍してくれるはずです。