会社でお昼休みにランチを食べるとき、給湯室に置いてあるハンドルがついた1.8Lの醤油を使わせてもらう、なんて光景が、かつてはよくありました。
しかし、近頃自分で醤油を携帯して使う人が増えていると思いませんか?
醤油の携帯が増えた背景から、携帯醤油の種類までご紹介します。
需要にあわせて醤油を携帯サイズにシフト
どのように携帯できる商品の品揃えが増えたのでしょうか。
それは、醤油の消費スタイルの変化に沿って対応した、メーカーの企業努力によるものです。
1970年以降、販売量が減少に転じてからは、醤油メーカーは消費者の利便性を重視した商品作りを行っています。
まず、醤油のパッケージサイズです。
売れ筋のメインサイズが、従来の1Lから450mlへと半分の大きさに移行しています。
450ml以下の密封容器や注ぎ口の開発により、使いやすくなったためです。
もうスーパーではおなじみのサイズですね。
かつての醤油の保管場所は、シンク下のキャビネットで、1L以上の重いボトルをヨイショと持ち上げていたものです。
調理中に使うことを軸に、シンク下に収納していたためです。
そこでメーカーはパッケージサイズに注目して、シンク下でも冷蔵庫でも食卓でも、好きなところで使えるように携帯しやすいサイズやパッケージにしたのです。
この開発は、冷蔵庫からサッと取り出して調理や食卓へとスマートに扱う「携帯スタイル」に変化させました。
豊富な種類で様々なシーンに携帯する
小型パッケージの醤油がヒットしてから、さらにもうひとつ醤油を携帯するトレンドを後押ししたメーカーの工夫があります。
それは、種類の多さです。
現在の市販の売れ筋は、200~450mlサイズの濃口醤油で、スーパーの陳列棚の一番目立ち、手に取りやすい位置にあります。
この醤油の近くに、減塩醤油やだし醤油、薄口醤油など種類が豊富に取り揃えられています。
ズラリと棚に並ぶをみると、なんだかワクワクして選ぶ楽しみが掻き立てられます。
メーカー側にも「やっぱり調味料は醤油」と再認識してもらうメリットがあります。
そして、減塩志向の人なら会社に常備している醤油を使わずに、ご自身が携帯している塩分調整醤油を、お昼のお弁当に使うこともできます。
また、だし醤油であれば、調理時間も短縮できるため、活用している人も多いのではないでしょうか。
メーカーが種類を取り揃え消費者の選択肢が増えたことで、購買客層が広がりました。
シンク下が定位置だったのが、いろいろな場所にいろいろな場所に置けるようになったのです。
おなじみの携帯醤油「タレ瓶」
具体的に「携帯スタイル」というのは、どの商品をどのように使うのでしょうか。
これを知れば、好きなときに好きな味を楽しめる、携帯醤油をいくつかご紹介します。
定番の携帯型醤油といえば、魚の形や円筒型のプラスチック容器に赤いキャップのタイプ、その名も「タレ瓶」です。
お弁当に入っているおかずにかけて、ちょうど使い切るサイズです。
スーパーで販売されているお弁当でよくみかけます。
魚や動物の形は、おかずの隣に入れると盛り付けの飾りにもなります。
100円ショップには、キャラクターが印刷されたものやいろいろなデザインの醤油パックがあります。
子供がお弁当を開けたときに、喜ばれるお弁当を作れますね。
しかしこのタレ瓶は使いづらい注意点があります。
まず、使ったときに手がベタベタになり、食べる前に手を拭く手間があるかもしれません。
お弁当の中に一緒に入れると、入れ方によってはおかずの油分で手が汚れてしまいます。
お弁当カップをうまく利用して、おかずの油がつかないようにしましょう。
もうひとつは、醤油をタレ瓶に詰める手間があることです。
あらかじめ1週間分をまとめて用意しておくと、毎日のお弁当作りがスムーズになります。
子供に好きなタレ瓶を使ってもらって、お手伝いしてもらうのもいいですね。
減塩志向の人は醤油のミニパックを携帯
続いては、小袋型の醤油のミニパックです。
こちらもタレ瓶と同じく、使い切り用です。
タレ瓶と違うのは、醤油を容器に入れる手間がなく、弁当袋にポンと入れておくだけで準備ができ、携帯性のよいものです。
お弁当をもつ人が多い家庭なら、このタイプを携帯するのがおすすめです。
ネット通販であれば、まとめて買うサイトがたくさんありますので、簡単に手に入ります。
バランやキャラクターのイラストが入った、お弁当箱の仕切りとしても使えるおもしろいものもあります
このミニパックは、減塩やだし醤油など種類が豊富です。
その日の弁当のおかずや気分で変えて楽しめます。
そして塩分計算をしている人には、毎回分量を量らなくてもよい、お役立ちアイテムです。
減塩管理に便利なので、携帯用だけでなく夕食や、普段の自宅での食事でも使っている人も多いようです。
医療現場で取り入れられていて、病院の食事に減塩醤油のミニパックが添えられています。
1人でもみんなでも楽しむミニボトル醤油
そして、ボトルパッケージ型の携帯もできる醤油です。
コンビニの調味料コーナーでよく目にするミニボトル醤油です。
ペットボトル容器で手のひらサイズの100mlのものが売れ筋です。
1人暮らしの冷蔵庫に入っている醤油、というイメージですね。
家族でお住まいの人も、自宅の醤油を切らしてしまい、慌ててコンビニに醤油を買いにいったこのがあるかたも、いらっしゃるのではないでしょうか。
ほかにも、サイズが小さく注ぐ量が調整しやすい特徴があるので、食卓で醤油差し代わりに使う人も多いのです。
このミニボトル醤油は、大手メーカーだけでなく、小さな醤油蔵元が出しているご当地醤油もあります。
たまり醤油やだし醤油などの種類の詰め合わせで販売されていて、ご自宅用、ランチ用と使い分けできます。
一緒に食べる人にも分けて、味を共有するのも楽しい使い方です。
究極の携帯醤油!粉醤油とは
最後の携帯できる醤油は、醤油といえば普通は液体、という概念を覆す、粉醤油です。
粉末醤油や醤油パウダーともいいます。
それだけでなく、粉末化することで旨味が凝縮されるので、醤油の旨味をダイレクトに味わえます。
少量でも味が締まるので、減塩効果もありますよ。
ところで、お弁当のおかずによくあるのが、朝作ってから時間が経つと、水分が出てしまうことです。
粉醤油を使えば、水分を吸ってくれるので、作りたての食感を取り戻せます。
こちらも使いきり小袋タイプがあり、手を汚さずにふりかけ感覚で使えます。
ご紹介した中では、いちばん携帯性がよいものです。
粉醤油のもうひとつの特長は、ブレンドタイプの種類が多いことです。
魚のエキスやわさび味など、ほかの和の食材との組み合わせの味が楽しむことができます。
液体醤油では目にする機会がない、料亭が「老舗のこだわりの味」として販売しています。
ピクニックなど特別なイベントに持っていくお弁当に、料亭の粉醤油を携帯すれば、さらにイベント感が増しますね。
醤油を携帯して気軽に伝統食を楽しむ
携帯できる醤油は、どんどんと種類が豊富になりました。
醤油メーカーが消費量減少に対応するための企業努力は、消費者の食生活を楽しく豊かにしています。
子供から社会人までの幅広い世代が、これまで醤油を使ってきました。
これからも食事を楽しむ手助けをする醤油を、いつまでも使い続けたいものです。
液体、粉末など形状や、使う場面にこだわらないことが、伝統食を守る秘訣かもしれませんね。