1日3食に必要な栄養をとるため、「一汁三菜」という言葉があります。
この言葉は、人がバランスの良い栄養をとるための、わかりやすい目安となります。
この一汁が味噌汁や、澄まし汁、スープになります。
味噌汁が好きな人であれば、朝・昼・夕飯と欠かせないという人もいることでしょう。
では、1日に5杯もの味噌汁を飲んでしまったら、それは飲み過ぎなのでしょうか。
一汁三菜で味噌汁5杯でも血圧は大丈夫
バランスの良い食事とは、どんな食材を摂り入れれば良いのでしょうか。
また、摂取できる栄養素も見ていきましょう。
・米の炭水化物
・主菜の肉や魚のたんぱく
・質副菜の野菜や海藻
・大豆食品のビタミンやミネラル
味噌汁からは、たんぱく質と水分、塩分とほかのミネラルやビタミンを摂ることができます。
おかずを作るときに、調味料で塩分を摂ってしまうのに、さらに味噌汁で塩分を摂るのは摂りすぎになるのではないかと心配になりますよね。
しかし、実際にこの塩分の摂り過ぎが問題になるのは、塩分に含まれるナトリウムとカリウムのバランスが悪くなることです。
ナトリウムとカリウムは、細胞膜の内側と外側の㏗を調整する働きがあるため、両方のバランスが大切になってきます。
味噌は大豆の発酵食品で、ナトリウムとカリウムが両方含まれています。
さらに、味噌汁の具になるワカメやほうれん草・キャベツ・小松菜・大根には多くのカリウムが含まれているため、味噌汁はバランスが良いのが特徴です。
1日5杯くらいの味噌汁を飲んでも、急激に血圧が高くなるというわけではありません。
味噌汁を5杯飲んで栄養満点
味噌汁の味噌は、大豆の発酵食品です。
良質なたんぱく質はもちろん、カルシウム・鉄・リンや葉酸、パントテン酸と豊富な栄養素を含みます。
さらに、味噌はナトリウムと対になって細胞膜の内側と外側の㏗を調整するカリウムも豊富に含んでいます。
それでは、味噌汁にはどんな栄養素が含まれているでしょうか。
【大根の味噌汁1杯分】
・約48キロカロリーのエネルギー量
・たんぱく質
・ビタミンK
・ビタミンB12
・葉酸
・ナトリウム
・カリウム
・鉄
・カルシウム
・リン
・マグネシウム
【ワカメの味噌汁1杯分】
・約20キロカロリーのエネルギー量
・ビタミンK
・ナトリウム
・カリウム
・マグネシウム
・モリブデン
1日に5杯のお味噌汁を摂ると、味噌の大豆からたんぱく質やわずかですが、カルシウム・リン・マグネシウムを摂ることにより、骨粗鬆症の予防にもなります。
鉄や葉酸も含まれていますから、貧血予防にも。
1日5杯の味噌汁で1日に必要なカルシウムの3分の1を摂ることができるのです。
味噌汁5杯の具で栄養バランスをとろう
ご飯だけでは摂れないビタミンやミネラルを摂ることができるのが、味噌汁の良い点ですが、そのために具のバランスも大切です。
いくら味噌汁が大好きだとしいたも、朝・昼・夜と全て豆腐では野菜が不足してしまいます。
ワカメばかりでは、ヨウ素を摂りすぎてしまいます。
朝や夜も味噌汁をおかわりし、「1日5杯は飲みます」という人ならせめて3回分は違う具を用意しましょう。
そうすると、栄養が偏りません。
毎回使っても栄養素的に摂りすぎにならず、飽きがこないのが、大根やキャベツ・玉ねぎです。
例えば、朝は大根と豆腐で2杯、昼は大根と大根の葉、夜は大根と絹さやと加える具を変えることで、摂れる栄養素も違ってきます。
大根の葉や絹さやには、カロテンやビタミンCや葉酸を多く含みます。
これらは、老化予防・認知症予防のほかに、貧血予防効果があります。
豆腐は牛乳以上にカルシウム・リン・マグネシウのバランスが良いため、こちらも骨粗鬆症予防になります。
味噌汁の具で栄養の不足分を補おう!
具の無い味噌汁や、毎回同じ具材を入れた味噌汁を好んで飲んでいる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、色々な具を入れた味噌汁を飲むだけでプチおかずになります。
1日30品目の食材を摂ることはなかなか難しいですが、主菜や副菜の不足分を全て味噌汁の具にしてしまえば簡単です。
仕事などで忙しく、自宅に帰ってから食事を作る人は、副菜を作ることは大変なことです。
そんなときこそ、味噌汁の具で工夫しましょう。
5杯とまでいかなくても、朝・昼・夜と具だくさんの味噌汁を1杯ずつ飲めば、それだけでバランスの摂れる食事になります。
味噌汁の献立の例です。
☆朝食
ワカメと豆腐の味噌汁
☆昼食
外食でしじみとアサツキの味噌汁
☆夕食
冷凍庫に入っていた小松菜と油揚げとネギ、なめこの味噌汁
味噌汁だけで、1日8品目摂ることができます。
味噌と出汁をカウントすれば、1日で10品目になり、1日の3分の1の食品を摂ったことになります。
日頃の家事を楽にしたい方は、小松菜やネギなどの具を刻んで冷凍しておけば、包丁もまな板も使わず、食材を追加することができますよ。
具だくさん味噌汁は5杯飲んでも飽きない
子どもから大人まで、冬の町内会の大掃除や運動会など、お祭りなど寒い時に出されると嬉しいのが、豚汁やさつま汁といった具だくさんの味噌汁です。
育ち盛りの子どもの中には、何杯でもおかわりをする子がいるくらいです。
5杯くらいならあっという間ですね。
町内会の催し物では人気のメニューです。
運動会やお祭りの中には、味噌汁を食べることを目的にした催し物がある地域もあるくらいです。
鹿児島県の呉汁や福岡県のだご汁、福島県のどぶ汁など、郷土料理にもたくさんの味噌汁があります。
こういった具だくさん味噌汁を、外で大きなお鍋で作り、大勢で食べるのは本当に美味しいものです。
ご家庭でも、家族や親せきが集まったときに具だくさんの味噌汁を作れば、後はどんなご馳走もいりません。
それだけでご飯が進みます。
食事を囲んでいるみんなが、ホカホカとあたたかい気持ちにもなります。
日本にはたくさんの郷土料理がありますが、その中で味噌汁が多くあるのも、こういった理由かもしれませんね。
間食代わりに味噌汁を1日5杯飲む
3食の食事のほかのも、間食をしている人もいらっしゃることでしょう。
この間食では、何を食べていますか?
男性は成人で1日2,500キロカロリー、女性で2,000キロカロリーが必要です。
しかし、忙しい毎日では、朝ご飯を抜いたり、昼はおにぎりで済ませてしまうこともあることでしょう。
そのため、つい間食に菓子パンなどを食べてしまいます。
菓子パンは意外とカロリーが高く、ジャムやあんこが入ったコッペパンやデニッシュパン、メロンパンは1個あたり400~500キロカロリーほどです。
ですが、2~3個はペロっと菓子パンは食べれてしまいます。
菓子パンはご飯に比べると、腹持ちはいま一つですがカロリーは高くなります。
そこで、間食の代わりに、フリーズドライやインスタントの味噌汁を飲んでみてはいかがでしょうか。
味噌汁は1杯あたり、20~30キロカロリーほどです。
あたたかい味噌汁を飲むことで、体が芯から温まり、新陳代謝も良くなります。
1日5杯飲んでも、わずか100~150キロカロリーです。
菓子パンの3分の1ですね。
職場においておけば、給湯室でマグカップに入れてお湯を入れるだけで、簡単で美味しく体も温まる間食になります。
高血圧予防に味噌汁を
実際に1日2杯以上の味噌汁を飲む人は、1杯以下の人よりも高血圧になりにくいという実験結果が出ているそうです。
血圧が高い人は減塩味噌汁の方がいいという認識がありますが、それは昔の考え方です。
出汁の摂りかたや具の組み合わせを変えて、具だくさんの味噌汁を飲みましょう。