健康や美容に良い発酵食品・スーパーフードとして人気の甘酒。
販売している会社が多く、スーパーでよく目にするのは米麹の甘酒のため、原料を気にせずになんとなく買う方もいるのではないでしょうか?
実は酒粕のものと米麹のものでは、栄養価が大きく異なるのです。
甘酒は効果的に飲めば、お肌の美容にも良いし、毎日を元気に過ごせる栄養をしっかり摂れます。
酒粕と米麹、それぞれの甘酒の原料や作り方、栄養価の違いを紹介します。
甘酒は2種類、酒粕と米麹の原料の違いとは?
酒粕から作られる甘酒は、酒粕をお湯で溶いて加熱して、砂糖やショウガを入れて味をつけています。
耐熱カップに材料をセットして、レンジでチンするだけでカンタンに作ることができるのが、酒粕派の方に人気です。
このように酒粕の甘酒の良いところは、自宅で時間をかげずに手軽に手作りできるところです。
市販のものは、酒蔵が厳選した米で作った日本酒からできた酒粕を使っているので、お酒が好きな方にも、酒粕の甘酒はオススメです。
米麹から作られる甘酒の原料は、米麹と水とお米だけです。
50~60℃のお粥に、米麹を入れて8時間かけて発酵させて出来上がります。
米麹の甘酒の特長は、砂糖を入れないブドウ糖100%の甘味です。
お米の甘味をギュッと凝縮させたような、深い甘味があります。
米麹から作られる甘酒は、酒粕の甘酒と同じく、酒造メーカーからしょうゆや味噌など米麹を使う食品メーカーまで、幅広く取り扱われています。
そのため、スーパーでおなじみなのは、米麹の甘酒のほうですね。
酒粕と米麹の甘酒は発酵の回数が違います
甘酒の酒粕、米麹の違いは、原料だけではありません。
米麹は1度の発酵、酒粕は2度の発酵を経て甘酒が作られますが、この発酵の回数がまさに栄養価の違いが分かれる理由なのです。
米麹は、蒸したお米を麹菌で発酵させたものです。
この発酵の過程で分泌される酵素によって、お米に含まれるデンプンが分解されてブドウ糖ができます。
このブドウ糖が、米麹の甘酒の主な栄養素です。
一方で、酒粕はもろみから日本酒を作ったときにできる搾りカスです。
麹菌で発酵させた米麹を、さらに酵母を使って発酵させて日本酒の元になるもろみを作ります。
酒粕は(麹菌・酵母菌)の2度の発酵を経て作られているのです。
米麹の発酵過程でできたブドウ糖のほとんどは、酵母の作用によってアルコールに変化します。
そのため、米麹の甘酒のように、ブドウ糖の栄養価はほとんどありません。
しかし、米麹と酵母、2つの発酵作用によって特にビタミンB群、タンパク質が米麹の甘酒の2倍以上に増えるのです。
このように、酒粕・米麹それぞれの甘酒の効果に異なった特長があります。
米麹の甘酒、ブドウ糖の効果
米麹の甘酒の主な栄養素、ブドウ糖は疲労回復に効果があります。
ブドウ糖は腸に吸収されると、エネルギー源に代わります。
特に脳にエネルギーを供給しています。
脳は何もせずに過ごしていても、1日に120gもエネルギーを消費してしまいます。
仕事や家事に忙しい方は、さらに脳のエネルギー消費が激しく、常にエネルギー補給が必要になります。
そんな方に、水分補給やリラックスタイムの延長として気軽に飲める甘酒は、オススメの飲み物です。
米麹の甘酒の栄養価の2割はブドウ糖で、コップ1杯で1日分の必要量を摂れます。
そして甘酒と言えば、「飲む点滴」とも呼ばれます。
なぜなら、栄養補給の点滴はブドウ糖を主に配合されているからです。
また、、米麹の発酵の時に、100種類以上の酵素が作られます。
酵素を多く摂ると、代謝が良くなり身体の中の老廃物が排出され、疲れや怠さが解消されやすくなります。
甘酒は江戸時代から夏バテ予防に飲まれていましたが、この甘酒は米麹の方を指していると言われています。
酒粕の甘酒、ビタミンB群、タンパク質の効果
酒粕の甘酒は、米麹のものよりもビタミンB群が多く含まれています。
ビタミンB群は、8つのビタミンの集合体ですが、お肌の代謝をよくするビタミンB2や、肌の保水力を高めるアミノ酸がバランスよく含まれています。
ビタミンB群はまさに、「美肌ビタミン」と言えるでしょう。
ビタミンB2やアミノ酸はサプリメントや健康食品として販売されていて、美容マニアの方の必須アイテムになっています。
サプリメントを毎日摂るのは大変だけど、お肌に気を遣いたい、という方は甘酒であれば、気軽に習慣化できそうですね。
そして米麹のものと比べて、タンパク質が多く含まれています。
タンパク質の一種、レジスタントプロテインは、コレステロールの低下や肥満抑制の効果があります。
例えば、油ものを食べても、消化する前にレジスタントプロテインが油を吸収してくれるので悪玉コレステロールが減少します。
しかもレジスタントプロテインは食物繊維の効果を高めるために、お腹のお通じもよくなるのです。
酒粕と米麹、それぞれの甘酒の注意点
気軽にドリンクのように飲めて、栄養が豊富な甘酒ですが、健康上や、毎日続けるために知っておくべき注意点もあります。
酒粕は、日本酒をつくった搾りカスなので、アルコールが10%ほど含まれています。
その酒粕をお湯で溶いて作る甘酒に、酒粕の量にもよりますが、2%ほどのアルコールが残っています。
そのため、お子さまや妊娠中の方や、車を運転する予定がある方は飲めません。
また、酒粕にはほとんどブドウ糖が残っておらず、甘味がないので、砂糖を入れて味をつけています。
糖質制限をしている方は、酒粕に入れる砂糖を控えめにするか、米麹の甘酒を飲んだほうが良いでしょう。
米と米麹からつくる甘酒は、発酵させるために8時間必要です。
ご自宅でつくる場合、炊飯器に材料を入れて、長時間保温する必要があります。
手作りは生の酵素を摂れますが、手軽に作れるのは、酒粕の甘酒ですね。
また酒粕と比べて、米麹自体の値段が若干高めです。
お金も時間も、酒粕よりも余裕をみておくことが必要です。
酒粕と米麹、両方の甘酒を飲んでダブルの効果
ご紹介した通り、酒粕には酒粕の、米麹には米麹の良いところがあります。
そのため、それぞれの効果をご存知の方は1日に両方飲む、という方もいるのです。
朝は、トロっとしたお腹持ちを重視した米麹の甘酒を飲み、エネルギー補給をします。
そして夜は、就寝中の美容タイムに備えて、お酒の香りでリラックスできる酒粕の甘酒を飲む、というスタイルはオススメです。
または、酒粕と米麹を1杯のコップに混ぜて飲む、(ブレンド)も良いですね。
酒粕の甘酒は、砂糖を入れますが、市販の米麹の甘酒に、酒粕を少しちぎって入れれば、砂糖を入れなくてもおいしい甘酒を作ることができます。
時間をかけずに、ダブルの効果が期待できます。
酒粕の甘酒は砂糖を入れなければ、米麹のものよりもカロリーは低いです。
糖分を調整できることもブレンドタイプの良いところです。
最後に、米麹は60℃以上に加熱すると、酵素の働きがなくなってしまいます。
酒粕を混ぜるときも、加熱しすぎないように注意しましょう。
昔も今も、甘酒は1日1杯の「栄養ドリンク」
甘酒は江戸時代から、夏バテ予防や栄養補給用として日常的に飲まれていたものです。
酒粕と米麹、どちらの原料も変わらず、現代まで受け継がれているということは、飲んだ方が効果に満足している証拠ですね。
仕事や家事に毎日忙しい方も、酒粕と米麹の甘酒を飲み分けてバランス良く栄養がとることができる甘酒でエネルギーをチャージして、美容も健康もキープし続けましょう!