ご飯を炊くときは、炊飯器を使うご家庭が比較的多いでしょうか。
炊飯のスイッチを押すだけで、美味しいご飯が炊きあがり、便利ですよね。
しかし、炊飯器から出る蒸気で天井が結露してしまったり、食器棚の天面が傷んでしまったりと、お困りの方もいらっしゃることでしょう。
今回は、蒸気で天井や家具が傷まない解決策と、蒸気を抑えた炊飯器をご紹介します。
天井に付くと困る蒸気はいつ出てるの?
食器棚や天井に、炊飯器から出てくる蒸気が付いてしまうのは困ってしまいますよね。
では、蒸気はどのタイミングで出るのでしょうか。
炊飯器の構造や機能とあわせて、お話していきます。
炊飯器は、IHジャー炊飯器を元に記述していきますね。
【構造】
加熱コイルに電流を流し、磁力線の発生によって、内釜の底で「うず電流」が発生します。
表皮抵抗からジュール熱が生まれ、内釜自体が発熱することによって、ガスと同じくらいの火力で、ご飯を炊き上げることができます。
炊飯器は、ご飯を炊くのに適した温度を細かく調整し、連続して安定した温度で加熱しているのですね。
【機能】
炊飯器の機能は、大きく分けて4つあります。
☆浸し
40℃ぐらいの水温に温度を上げて、お米を浸す工程を自動で行ってくれます。
これにより、20分程度の短い時間で、お米を浸すことができます。
☆炊飯
適切な温度に調整しながら、ご飯を炊いていきます。
このときに蒸気を出しながら炊飯し、水がなくなった状態になると、蒸らしに入ります。
☆蒸らし
炊きむらができないように、緩やかに温度を下げ、蒸らしていきます。
☆保温
蓋や側面の保温ヒーターによって、炊き上がった後も、ご飯を70℃前後に保つことができます。
天井に蒸気が付かないようにするためには
ご飯を炊くのに便利な炊飯器ですが、炊飯をするときに放たれる蒸気は、天井や食器棚を結露させ、傷めてしまうのではないかと心配になりますよね。
何か、対策はないのでしょうか。
【スチーム汚れ防止シート】」
食器棚は、すでにあるご家庭で試していただきたいのが、スチーム汚れ防止シートです。
蒸気を通さないシートなので、食器棚などの天井を保護してくれます。
汚れたりしても、貼ったり剥がしたりできるので、簡単に貼り替えられるメリットがありますよ。
価格はメーカーによって異なりますが、600~3,000円ほどで購入ができます。
デメリットを挙げるとすると、定期的にシートを貼り替える必要があることです。
【スライド式の棚】
新しく食器棚の購入をお考えなら、棚が引き出せるタイプのものを選ぶことをオススメします。
炊飯器を使うときに引き出せば、炊飯時に出る蒸気を気にせずに、ご飯が炊けますよ。
また、今お使いの食器棚でも、スライドできる棚を後付けできるものもありますので、ホームセンターや家具屋さんで探してみましょう。
食器棚に、蒸気を付けなくて済むメリットがあります。
デメリットは、炊飯時に棚をスライドさせておく必要があるので、キッチンのスペースが限られます。
蒸気は気を付けないと火傷する
天井や食器棚に蒸気が付いてしまわないように、炊飯器を床に直置きにしている方も、中にはいらっしゃるかもしれません。
しかし、小さな子供やペットと一緒に住んでいる方は、注意が必要です。
なぜなら、炊飯器から出る蒸気の温度は100℃近くあり、ほんの数秒でも火傷してしまうのです。
高温スチームで炊く炊飯器は、200℃のスチームが出ることもありますので、大人でも注意してください。
子供の火傷は重症になりやすく、皮膚移植手術が必要になることもあります。
炊飯をしている蒸気だけでなく、炊飯器の蓋を開けたときに発生する、熱い蒸気にも気を付けてください。
特に、小さい子供は、好奇心から蓋を開けて遊ぶなどしてしまいます。
炊飯器での火傷を防ぐには、子供やペットが届かないところ、近付けない場所に設置し、十分に気を付けてください。
火傷をしたら、すぐに流水で冷やし、医師に診てもらい、病院で手当てを受けましょう。
天井に付く心配なし!蒸気が出ない炊飯器
蒸気が天井や食器棚に付かない提案のひとつに、炊飯器自体を買い換える方法があります。
【三菱 蒸気レスIH炊飯器】
三菱の蒸気レス炊飯器は、これまで考えられなかった「蒸気を発生させずに炊飯する」ことを実現させた炊飯器です。
蒸気カット率は約95%で、微量の気体が炊飯器から出ますが、結露したり、高温になることはありません。
蒸気が出ない構造は、炊飯器の中にある水タンクの水冷システムで、炊飯時に発生する蒸気を集めるといった仕組みでできています。
一般的な炊飯器は外に蒸気を放っていましたが、この独自のシステムによって、蒸気をなくしたのです。
蒸気自体が出なければ、炊飯器を置く場所も限られないですし、蒸気による火傷の心配もありませんね。
見た目も、スタイリッシュなデザインです。
蒸気の排出口がなく、天面がフラットなので、日々のお手入れも簡単ですよ。
そして嬉しいことに、蒸気を水タンクで集めることで、炊飯時に吹きこぼれることもありません。
さらに、余分な湿気が出ないので、お米本来の甘み・ツヤ・旨みを感じるご飯が炊きあがります。
蒸気カットの炊飯器
蒸気レスの炊飯器は、先ほどご紹介した三菱の特許ですが、蒸気を抑えた炊飯器は、各メーカーで販売されています。
【日立 ふっくら御膳シリーズ】
蒸気レスではないものの、蒸気が目に見えないほどまで、カットされています。
炊飯時に出る蒸気を、給水レスオートスチーマーに溜めて、保温時に必要な水分を送り込んで、再利用してくれます。
この機能により、驚きの40時間、ご飯をしっとりと長時間保温することができるのです。
【象印 極め羽釜】
こちらの炊飯器は「蒸気セーブモード」といった機能が備わっているので、この機能を選択すると、通常で炊くよりも、約80%の蒸気をカットすることができます。
蒸気セーブモード機能ですが、お米の旨みが増えるわけではなく、やや固めの炊き上がりになります。
蒸気を極力抑えたい場合や、固めでしっかりとした食感のご飯が好みの方には、問題なく使用できる蒸気カット炊飯器と言えます。
【日立 圧力IH炊飯器】
蒸気レスや蒸気カットの炊飯器は、少々お値段が張りますが、日立の圧力IH炊飯器はコスパが高い炊飯器です。
常に蒸気セーブをしていて、蒸気自体も、ほとんど目に見えないほどです。
蒸気を集める仕組みはないので、ご飯は固めでハリを感じる炊き上がりになります。
こうした蒸気が抑えられる炊飯器ですと、天井や食器棚に結露しにくくなりますね。
蒸気を抑える炊飯器のメリットとデメリット
最後に、これまでご紹介した炊飯器のメリットと、デメリットについて見ていきましょう。
【蒸気レス炊飯器】
☆メリット
スタイリッシュなデザインで、天井や家具を汚しません。
蒸気が出ないので、キッチンやリビングに、ご飯を炊く香りを充満させずに済みます。
熱を逃さずに高温の状態をキープできるので、お米本来の甘さや、旨みのあるご飯が炊けるのです。
☆デメリット
炊飯時に水タンクにお水を入れて炊くので、この水タンクの掃除をする必要があります。
内部の構造が複雑になっているので、慣れるまでは大変かもしれません。
一般的な炊飯器と異なり手順も違うので、ご高齢の方には難しいと感じる可能性もあります。
【蒸気カット炊飯器】
☆メリット
蒸気を再利用する炊飯器ですと、ご飯を炊く際や保温時に優れています。
ご飯を美味しく炊く、保温してもパサパサになりにくい点でいうと、蒸気レス炊飯器と同等の機能が備わっていると言えます。
しかし、このメリットは蒸気を再利用する機能の備わった炊飯器に言えることで、蒸気をカット・セーブする機能だけの炊飯器は、炊き上がりはやや劣ってしまいます。
☆デメリット
蒸気を集める機能の付いた炊飯器は、やはり構造が複雑です。
内釜が洗いにくいといった、お手入れ面がデメリットになります。
天井や家具に蒸気が付くのを避けたく、蒸気レス・蒸気カットの炊飯器をお考えの方は、これらの特徴をご自身のライフスタイルに合わせて、検討してみてくださいね。
蒸気対策をしよう
炊飯器から出る蒸気が、天井や家具にあたっているとしたら、放水シートやスライド式の家具で対策をしましょう。
放置したまま炊飯器を使っていると、蒸気があたっている部分が結露し、天井や家具が傷む原因になります。
また、蒸気自体を減らしたい方は、今回ご紹介した炊飯器のメリットとデメリットを参考に選んでみてくださいね。