最近、自分で野菜を育てて収穫し食べるという、家庭菜園をしている人が増えてきているのを、ご存知でしょうか。
農薬などの心配もいらず、育てる喜びと食べる喜びを味わえて、若い人の間でも人気が出ているのです。
しかし、農業にあまり携わっていない人からしてみれば、わからないことだらけ。
畑の手入れは?
種や石灰を撒くタイミングは?
雨の前だと流れてしまうの?
そんな疑問にお答えします。
畑とプランター。どちらで栽培する?
まず、初心者が家庭菜園をするにあたって、準備が必要です。
一番最初に考えないといけないのは、どこで栽培するかということです。
畑をお持ちの人と、そうでない人でも分かれるところなのですが、どちらでも選べる人は、どちらのほうが栽培しやすいのでしょうか?
簡単にご説明すると、両者の違いは、広さ・コスト・肥料の種類です。
広さは、一目瞭然ですよね。
プランターより、畑の方が各段に広いことは明らかです。
そして、そのぶん、掛かるコストも変わってきます。
もちろん、石灰などの肥料の量も変わってきますが、プランターなら必要がないクワやスコップ、支柱などを揃えなくてはなりません。
水やりの範囲も、比較になりませんね。
雨がコンスタントに降ってくれるなら問題ありませんが、予想ができませんし、水道水で水やりをするとなると、水道代もかなり掛かりそうです。
そして、肥料の種類も変わってきます。
本来なら、畑で使用するたい肥などは、そのままプランターに使うこともできます。
ですが、少量で購入できない上に、残しておいても保存が効きません。
そのため、多くの肥料を無駄にしてしまい、コストが掛かってしまうのです。
プランターなら雨頼りにしなくても良いのでおすすめ
前述したように、畑栽培は、プランター栽培に必要ないものまで揃えなくてはいけないので、初心者向きとは言えません。
また、石灰などの肥料の面でも違いが出ると言いましたが、プランター栽培をするのであれば、肥料は液肥がおすすめです。
液肥であれば、少量でも購入できますし、キャップを占めて保存することもできます。
しかも、畑栽培をしている人でも、追肥用に使用することがあるほど即効性があり、重宝する代物だそうです。
そして、水やりです。
プランターであれば、ベランダなど限られたスペースでもできますし、水やりも少しの量で済みます。
雨が降れば良いようなものですが、こればっかりは神様の気分なので、操ることはできません。
水道代のことを考えると、プランターで少量で済ませられる方が良いですよね。
プランター栽培をしてみて、「もっと本格的に栽培したい」「もっといろいろな種類を栽培してみたい」「たくさん作って人にあげたい」などという気持ちが出てきたら、そのときは畑栽培を考えてみてはいかがでしょうか。
飽きっぽい人は本腰据えて貸畑という選択も
プランターは利点もありますが、欠点もあります。
それは、飽きやすいことです。
手軽に始められる上に、スペースもあまり要りませんので、菜園に割く時間も短時間で済みます。
そのため、水やりや石灰など肥料の撒き忘れなどに気付いても、「まあ、明日でいいか」「確か昨日雨が降ったから大丈夫」と思ってしまいがちです。
それが続くと、当然、作物は育ちませんよね。
それで、うんざりして「やーめた」となってしまいがちなのです。
そのため、畑をもっていない人でも本格的に始められる貸畑、シェア畑を利用する人も増えてきています。
その名の通り、畑の一角をお金を出して借りるのですが、必要なものはすべて揃っているので、自分で揃える必要がありません。
週に1~2回通えたら良いのですが、おすすめは、片道10~15分で通えるところに畑を借りることです。
そうでなければ、やはり面倒になって飽きてしまうことがあります。
気軽に短時間で通えて、準備もアドバイスもしてもらえるという利点がありますので、都会暮らしの若者にも大人気なのです。
畑の土づくりで石灰を撒くタイミング
畑であってもプランターであっても、大切なのは土づくりです。
一般的には、ホームセンターなどで培養土を購入してプランターに入れたり、畑の土を耕して土粒を細かくしたりして、石灰や肥料を混ぜます。
石灰を入れる前に、pH測定器などを使い、土の酸性度を測って必要量だけ入れると、より良い土づくりができます。
石灰は粒状のものを選ぶことと、たい肥を一緒に混ぜながら撒くと、石灰だけ撒くより固まりにくいのでおすすめです。
種を蒔くのは、石灰を混ぜ込んだ直後より、2週間~1ヶ月ほど置いて慣らした後のほうが、枯れにくいとされています。
例えば、雨降りの後だと、土が固まったりしていて混ぜにくいので、そのタイミングで石灰を混ぜるのはおすすめできません。
逆に、その状況でもしっかりと混和できるのであれば、撒いても構いません。
大切なのは「良く混ざる」ことです。
そもそも石灰はなぜ必要?雨との関係は?
そもそも、なぜ石灰を撒く必要があるのかということをご説明していきます。
全般的に作物が育つ土は、酸性とアルカリ性の間の中性の状態なのです。
作物によって、酸性を好むもの、アルカリ性を好むものに分かれます。
例えば、ブルーベリーやお茶、豆といったものは酸性の土を好みます。
逆に、ホウレンソウやアスパラガスなどは、アルカリ性の土を好みます。
しかし、畑の土は、放っておくと、酸性になっていることがほとんどです。
アルカリ性の土を好む作物を育てたい場合、土壌を改良してあげなければなりませんよね。
そのときに活躍するのが石灰で、酸性の土をアルカリ性に傾けてくれるのです。
しかし、たくさん撒けば良いというものではありません。
基準としては、15平方メートルあたり、ひしゃくに1杯が目安です。
アルカリ性を好む作物でも、アルカリ性に傾きすぎると、逆に育ちが悪くなってしまうので、注意が必要です。
ところで、どうして畑の土は酸性になりやすいのでしょうか。
それは、雨が関係しています。
そもそも畑の土には水素イオンがくっついている状態なのですが、石灰を撒いて雨や水やりをすることで、その水素イオンをはじき出すことができるのです。
そうやって、酸性に傾いた土を中性にもっていくことが、作物を育てる上では大切なことになります。
石灰を撒いた直後に雨が降ったら?
石灰を撒いて、少し置いた方が良いと前述しましたが、では、その間に雨が大量に降ったらどうしたらいいのでしょうか。
雨の直後の畑に石灰をしっかりと混ぜ込むのは難しいですが、では撒いた直後に大量の雨が降ったら、追加して撒く必要があるのでしょうか。
答えはNOです。
石灰を撒いて混和した後、雨が降っても1日や2日の雨で流れてしまうようなものではありませんので、ご安心ください。
もちろん、半年もそのまま放置してしまえば、その間に流れてしまうことはあるのでしょうが、そう簡単には流れてしまうことはありません。
ただ、一番注意したいのが、雨が降る前に石灰を撒いたタイミングのことです。
このとき、よく混和することが大事です。
そうでなければ、畑の中性化を図ることができないので、撒く意味がなくなってしまいます。
石灰を撒く労力と、石灰の代金を無駄にしないためにも、混和をしっかりと行いましょう。
畑やプランターで育てた作物を、我が家の食卓へ
土づくりをしっかりして、畑やプランターで自分の好きな作物を育てて、食卓に並ばせる。
その充実感は、やってみた人でないと分かりません。
少しでも興味を持ったら、家庭菜園について調べてみてくださいね。
本格的に始めたいなら、貸畑の利用もおすすめです。
家庭菜園、楽しんでチャレンジしてみましょう。