トウモロコシは鮮度が落ちやすいため、収穫したてを食べるのが、一番おいしい野菜です。
もぎたてをすぐに食べるには、家庭菜園が良いですよね。
トウモロコシを家庭菜園で栽培するのは少し難しいのですが、受粉のコツをつかめばできると思いますよ。
挑戦してみませんか。
トウモロコシ栽培は受粉があるので上級者向け
夏になると店頭に並ぶ野菜、トウモロコシ。
茹でて食べれば甘くてみずみずしく、焼けば香ばしく、サラダのトッピングにもなる人気の野菜ですね。
甘いので、子どもにも食べやすい野菜のひとつかと思います。
トウモロコシの栽培は上級者向けで、家庭菜園にはあまりおすすめできません。
反対にいうと、上級者であれば、挑戦してみても良いと思います。
本来、広い畑で大量に育てるのに向いている植物なので、プランター栽培は難しいと思いますが、できないことはありません。
我こそはと思う人は、挑戦してみてください。
トウモロコシが上級者向けというのには、わけがあります。
トウモロコシは風媒花です。
風媒花とは、風を使って花粉を雌しべまで運ばせる植物のことです。
トウモロコシは、株のてっぺんから出る雄花から花粉を飛ばし、雌花に受粉させます。
しかし、家庭菜園では、風任せにしておいても、受粉できる確率は低いでしょう。
広大な畑で何万株と植えているのであれば、風任せでも勝手に受粉してくれますが、何株かしかない家庭菜園では無理な話です。
ですので、人工受粉が必要なのです。
トウモロコシ栽培の注意点
トウモロコシの栽培が難しいのは、人工受粉があるからというだけではありません。
トウモロコシは、病害虫が多いことでも知られています。
アワノメイガ・アブラムシ・オオタバコガ・ネキリムシ・アワヨトウなどの害虫被害に遭いやすいですし、苗立枯病・モザイク病などの病気もあります。
特にアワノメイガは、トウモロコシの天敵と言われています。
5mm~2cmほどの体長で、黄白色のイモムシ状の幼虫です。
茎や果実に潜り込んで、実などを食害します。
幼虫が茎や果実に入ってしまうと駆除するのは難しく、幼虫を確認したら、すぐにその部分ごと切り取ります。
農薬を使わずに栽培するのは、大変難しい野菜と言えます。
しかし、農薬のタイミングや受粉などの世話ができれば、家庭菜園でも十分に収穫はできます。
それから、トウモロコシはイネ科の植物なので、花粉症を発症する可能性があります。
家族の中に反応する人がいないか、アレルギー検査をしておいた方が良いかもしれません。
トウモロコシ栽培の流れ
トウモロコシの栽培は、以下のような流れで行います。
◆種まき
トウモロコシの種をポットに撒きます。
ポットに3粒ずつ、1cmの深さに押し込んで撒いていきます。
上から軽く土をかけ、水やりをします。
そのまま、暖かい場所で育苗します。
十分に日光に当てる必要がありますが、風通しを良くし、高温になりすぎないように注意してください。
◆畑づくり
日がたっぷり当たるように、畝を立てましょう。
しっかり肥料を施して、深く耕します。
2列で、株間30cm、畝幅90cmで畝を立てます。
配合肥料を使うのがおすすめですよ。
◆植え付け
種まきから3~4週間で、草丈15cm程度になります。
そうなったら、ポットを外し、1本ずつ株間30cmで植え付けていきます。
そして、たっぷりと、水やりをしてください。
トウモロコシは他の株との受粉が必要なので、2列植えにしてください。
1列ですと、受粉しにくくなります。
◆土寄せと追肥
地上部の節から枝根が発生したら、土寄せします。
雌花が出てきたら、水を吸い上げる力が上がりますので、肥料を与えましょう。
化成肥料を中心に、有機肥料が入ると、味の良いトウモロコシに育ちます。
追肥をしたら、しっかり株元に土寄せをしましょう。
トウモロコシは受粉が要
続いて、トウモロコシ栽培の要、受粉です。
◆受粉
トウモロコシの雌花は、飛散した雄花の花粉によって、受粉するとお話しましたね。
同じ株の間では、受粉しにくいという特徴がありますので、家庭菜園など株数が少ない場合は、人工受粉が必要になります。
雄花から花粉が出てから、雌花からヒゲが生えて来ます。
雄花を切り取り、雌花のヒゲにこすりつけて花粉を付けます。
そうすると、ヒゲが変色してきます。
これで、受粉ができたということになります。
トウモロコシの天敵アワノメイガは、雄花に引き寄せられて産卵し、雌花に幼虫がついて食害の被害に遭います。
アワノメイガの被害を防ぐために、受粉に必要な雄花だけを残して、大半の雄花を取り除いておきましょう。
そして、受粉が終わったら、雄花を切り落とします。
受粉した後は、しっかり水やりを行い、収穫までは土を乾かさないようにしてください。
◆摘果
実を大きく育てるために、1株にひとつの雌穂を残して、摘果します。
◆収穫
ヒゲが茶色く縮れてきたら、トウモロコシの収穫です。
開花から20~25日くらいです。
実を手で押して、中身の手ごたえをしっかり感じること、外皮を少しむいて、実がしっかり黄色いのを確認できたらOKです。
収穫の際は、実の根本を切るか、根本をねじって切り取ります。
収穫後は、数時間で甘みが落ちてしまいますので、茹でて冷凍しておくと良いですよ。
うまく受粉ができないときは
受粉がうまくできなかった場合、実の先の方に粒が付いていなかったり、実が歯抜けのような状態になってしまいます。
また、大きさも不揃いになります。
トウモロコシはヒゲ=粒です。
ヒゲ1本が粒ひとつということですので、しっかりとヒゲに受粉させることが大切です。
受粉がうまくいかないのは、雄花と雌花の開花時期が、ずれてしまうことが原因として考えられます。
雄花が先に開花し、その数日後に雌花のヒゲが生えてきます。
ヒゲは内側に生えますので、風による受粉は、ほとんど期待できません。
ですので、トウモロコシは複数列で栽培し、開花時期のずれを考慮に入れて、株をおいまきするなど工夫して、受粉の機会を増やすようにしましょう。
トウモロコシの受粉の注意点は、もうひとつあります。
トウモロコシは、違う品種を一緒に植えると交雑します。
白いトウモロコシと黄色いトウモロコシを一緒に植えてしまうと、白いトウモロコシができるはずなのに、黄色いトウモロコシが実ってしまったりするのです。
違う品種を同時に育てるときは、花粉が届かない距離で育てるか(200m程度)、開花時期がずれるように種まきの時期を調整するなどして、交雑しないように栽培しましょう。
トウモロコシをよりおいしくする茹で方
トウモロコシの栽培は、受粉が欠かせないのですね。
さて、トウモロコシの栽培方法がわかったところで、トウモロコシをよりおいしくする茹で方も知っておきましょう。
トウモロコシは数時間で甘みが減ってしまうのですから、できるだけ早く茹でて冷凍しておけば、いつでもおいしいトウモロコシを食べることができますよ。
【材料】
・トウモロコシ お好きな量
・水 適量
・塩 水の2~2.5%の量
【作り方】
①トウモロコシの皮をむきます。
皮は、1~2枚だけ残しておき、茎は余分な部分を切り落とします。
②トウモロコシが浸かる大きさの、鍋やフライパンを用意します。
トウモロコシが、ひたひたに浸るくらいの水の量を量ります。
③その水の量に対して、2~2.5%の量の塩を用意します。
④水に塩を入れ、沸騰させます。
⑤沸騰したら、トウモロコシを入れ、落としぶたをして、常に煮立っている状態で10~12分茹でます。
⑥茹で上がったら、そのまま10分置いておきます。
10分経ったらザル揚げして、皮をむいて出来上がりです。
すぐに食べないときは、冷凍しておきましょう。
トウモロコシ栽培に挑戦!
受粉など、少し難しい部分もあるのですが、野菜は手をかけた分だけ収穫に結び付くので、達成感もありますよ。
収穫したてのトウモロコシは、スーパーで買ったものと、ひと味もふた味も違うはずです。
ぜひ、挑戦してみてくださいね。