昔からお正月やお祝いの席など、おめでたい時に食べられてきたお餅を、皆さんは好きですか?
日本人はもちもち食感を好むと言われていて、パンやケーキにも「もちもち」と謳っているものが、多くあります。
でも、餅米はカロリーが高くて太るというイメージが強く、特にダイエット中の人は我慢しているかもしれません。
果たして本当にカロリーが高いのか?
ダイエットの敵なのか?
調べてみました。
餅米とうるち米の違いとは?
私たち日本人の食生活に欠かせないお米には、大きく分けて「うるち米」と「餅米」の2種類があります。
うるち米は普段、主食として食べているお米です。
餅米はうるち米のように炊くと、お赤飯やおこわに、蒸してつくと、粘りが出てお餅になります。
どちらも同じイネ科の植物で、育つ過程も収穫後のお米の形もほぼ同じですが、うるち米は半透明なのに対し、餅米は全体が白く透明感はありません。
万が一、どちらのお米か分からなくなった場合は、色で判断しましょう。
見た目以上に、食感には大きな違いがあります。
餅米の特徴はなんといっても、もちもちとした独特の粘りです。
今はうるち米にもいろいろな品種があり、もちもちとした食感が特徴のものもありますが、餅米の粘りには敵いません。
うるち米と餅米の食感の違いは、主成分のデンプンにあります。
お米に含まれるデンプンは、主に2種類で「アミロース」と「アミロペクチン」です。
加熱した時の粘りに関係しているのがアミロペクチンで、含まれる割合によって粘りの強さに差が出ます。
うるち米にはアミロースとアミロペクチンどちらも含まれていて、品種によって割合が異なり、食感や味わいの違いが生まれるのです。
一方の餅米は、ほぼ100%アミロペクチンで構成されていて、独特の粘りの元となっています。
日本以外のお米を食べる国では、粘り気の少ないパサパサしたお米が多いですが、これもデンプンの違いによるものです。
餅米とうるち米の見た目と成分の違いは、お分かりいただけましたか?
続いては、気になるカロリーの違いについて確認してみましょう。
餅米とうるち米のカロリーを比較
見た目も育ち方もほとんど同じ、餅米とうるち米ですが、カロリーに違いはあるのでしょうか?
実は調理前の餅米とうるち米には、ほとんどカロリーの差がありません。
なぜ『お餅=太る』と言われているのかというと、水分の吸収量の違いや食べ方に問題がありました。
餅米よりも、うるち米の方が水分を多く吸収します。
少しややこしい話ですが、
「より多くの水分を吸収する=食品中の水分の割合が高くなる=カロリーが低い」
ということです。
炊飯後の餅米とうるち米を比較すると、同じ100gでも、うるち米の方が水分の割合が高く米粒が少ないため、カロリーが低くなります。
具体的には、炊いた餅米100gは202kcal、うるち米100gは168kcalと、餅米の方が1.2倍も高いのです。
さらに、ついたお餅は100gあたり235kcalで、うるち米の約1.4倍のカロリーです。
白米(うるち米)茶碗1杯は110~160g程度で、平均的な1食分のカロリーは、約180~270kcalです。
切り餅1個のカロリーは117kcalと、一見低く感じますが、お餅を食べる時はつい2個…3個…と手が伸びてしまいますね。
なので、あっという間に、ご飯1膳分を超えてしまって、カロリーオーバーに繋がってしまいます。
さらに、お餅を食べる時には、きな粉・あんこ・お雑煮など、何かしらのトッピングや調理をプラスするので、その分のカロリーも上乗せされます。
お餅単体のカロリーはさほど高くなくても、食べ方次第ではダイエットの敵になってしまうので、気を付けたいですね。
餅米とパン・麺類のカロリーを比較
同じイネ科の餅米と、うるち米のカロリーの差は思ったほどありませんでした。
米以外に主食として食べているパンや麺なども、餅米のカロリーと比較してみましょう。
切り餅1個が約120kcalというのを頭に入れて、読み進めてみてください。
まずは、パンとお餅のカロリーを比べてみます。
オーソドックスな食パン1枚(6枚切り)あたりのカロリーは、約160kcalです。
メーカーやスライスの厚さによって多少前後しますが、食パンにはバターや砂糖が使われているので、カロリーは高めです。
パンの中でもカロリーが低めなのは、シンプルな配合のフランスパンです。
逆に高カロリーなのは、バターをたっぷり使ったクロワッサンで、1個200kcalを超えるものがほとんどなので、食べ過ぎには注意が必要です。
続いて、麺類のカロリーをチェックしましょう。
食べる機会の多い、ラーメン・そば・うどん・スパゲッティの麺のみのカロリーを比較しました。
カロリーが高い順に並べてみると、
①スパゲッティ 約360kcal
②ラーメン(中華麺) 約330kcal
③うどん 約260kcal
④そば 約200kcal
となります。
どれも麺だけ食べることはないので、ソースや具材の種類によって逆転する場合もありますが、ダイエットを意識している人には、『そば』がおすすめです。
ただし麺類はのど越しが良く、つい早食いになりがちで満腹感が得られにくいので、気を付けたいメニューでもあります。
主食となるパンや麺類と、お餅を単純に比較することはできませんが、いずれにしても、食べ過ぎには注意しましょう。
お餅は本当にダイエットの敵なのか?
イメージとは違い、意外とカロリーの低いお餅は、食べ合わせと食べ過ぎにさえ注意すれば、特別太りやすい食材ではありません。
太る原因は食材のカロリーだけではないため、単純に良いか悪いか判断するのは難しいですが、ダイエット中だからといって、かたくなに避けなくても大丈夫です。
では、なぜ『餅=太る』というイメージが、定着してしまったのでしょうか?
お餅はお正月に食べる機会が多い食材ですが、お正月はお餅以外にもごちそうを食べたり、暴飲暴食をしがちで、単純に太りやすい要素が重なっています。
しかし、昔から『お正月=餅』のイメージが強いのも事実で、正月太りの元凶として認識されてしまったのです。
さらに餅米は白米に比べて、効率良くカロリーを摂ることができるため、昔は産後のお母さんにお餅を食べさせると良いとされてきました。
今と昔では食料事情が違うので、現代のお母さん達には当てはまりませんが、栄養豊富なイメージも、ダイエットの敵として考えられる一因でしょう。
うるち米や他の主食とのカロリー比較でもわかるように、お餅は意外と低カロリーです。
お餅を食べて太ると感じる原因は、つい食べ過ぎてしまうことです。
また、おしるこなどの場合、大量の砂糖も一緒に摂っていることなどが挙げられます。
逆に言うと、食べ方さえ気を付けていれば、何も問題ありません。
さらに餅米は、体を温める作用がある食材に分類されています。
体温が下がると基礎代謝も落ち、結果的に痩せにくい体になってしまうだけでなく、免疫力が下がって風邪をひきやすくなるなどの弊害もあります。
体を温める食材を意識して食べることは、健康や美容にもプラスに働いてくれるでしょう。
お餅は太るという先入観を捨て、日々の食生活に上手く取り入れられると良いですね。
餅米をダイエットの味方にする方法
お餅がダイエットの敵になるのも味方になるのも、食べ方次第ということが分かりました。
では、具体的に、どのような食べ方をするのがよいのか、確認してみましょう。
一番大事なことは、美味しいからと食べ過ぎないことです。
切り餅1個は約120kcalで、2個食べるとお茶碗一膳分のカロリーと、ほぼ同じになります。
食事なのか、おやつなのか関係なく、あらかじめ個数を決めておくと良いですね。
栄養的な側面から見ると、餅米の主な栄養素は炭水化物(糖質)で、血糖値を上げやすい食材のため、合わせる食材を工夫すると良いでしょう。
タンパク質や食物繊維を含む食材と組み合わせると、血糖値の上昇をゆるやかにして、脂肪をつきにくくする効果が期待できるとされています。
そこでおすすめなのが、お正月の定番「お雑煮」です。
肉のタンパク質と野菜の食物繊維を一緒に摂れるので、食べ合わせ的にもバッチリですよ。
具だくさん&汁ごと食べるお雑煮は、カロリーも抑えられるうえに満足感が得られやすいので、手軽に済ませたい昼食にもぴったりです。
もうひとつおすすめしたいのが「納豆餅」です。
納豆は大豆製品なので良質なタンパク質が豊富なうえ、食物繊維も1パックあたり約3gと多く、他にも鉄分やカルシウムなど、栄養満点で優秀な食材です。
小腹が空いた時などに、ぜひお試しください。
納豆と同じ大豆からできているきな粉も、タンパク質や食物繊維が豊富で、実はおすすめの食材です。
おしるこに使う小豆も食物繊維が多く、デトックス効果が期待できるので、美容にも良さそうですね。
きな粉餅やおしるこなど、甘くして食べたいという人は、砂糖の入れ過ぎには注意しましょう。
余ったお餅でおやつ作り!カロリーオーバーに気を付けて
お正月用にと、まとめて準備したお餅が余ってしまった時、皆さんはどうしますか?
市販の個包装された切り餅は比較的賞味期限が長く、製造から1~2年に設定されているものが多いようです。
それ以外の、自宅でついたお餅や大袋に入った切り餅などは、空気に触れると数日~1週間ほどでカビが生えたり乾燥して、食べられなくなってしまいます。
長期間保存したい時には、冷凍がおすすめです。
お餅は1個ずつラップで包み、冷凍保存用の袋に入れて冷凍します。
1年程度は保存可能ですが、乾燥や冷凍やけで味が落ちてしまうので、なるべく早めに食べきる方が良いでしょう。
お餅が余って困っている時に、ぜひお試しいただきたいのが、子どもとも一緒に作れる簡単おやつです。
ワッフルメーカーをお持ちの方は、切り餅を挟んで焼くだけの「モッフル」がおすすめです。
焼き餅とは、また違う美味しさで、表面はサクッとしていて中はもっちりしている、新食感のおやつになります。
和風のあんこはもちろんのこと、チョコレートやアイスとの相性も抜群です。
トッピングによっては、カロリーオーバーに注意が必要ですが、手軽に作れて見た目も面白いので、ぜひ一度お試しください。
もうひとつのおすすめは、おかきです。
お餅を小さく切って乾燥させ、電子レンジやフライパンで加熱するだけで、美味しいおかきが作れます。
定番の塩味や醤油味のほか、カレー・青のり・黒胡椒など手作りならではのバリエーションが楽しめるのもおすすめポイントのひとつです。
子どものおやつだけでなく、お父さんのおつまみにもピッタリですよ。
ちなみに、おかきとせんべいの違いは原料で、おかきは餅米から、せんべいはうるち米から作られています。
せんべい作りは少々手間がかかりますが、おかきは簡単に作れるので、子どもと一緒に作ってみてはいかがでしょうか?
定番の食べ方に飽きてしまった時に、ぜひお試しくださいね。
縁起の良いハレの食材「餅」を日常でも楽しもう
『餅=太る』と間違ったイメージを持ち、好きだけど我慢していた人のお役に立てたでしょうか?
かつては、お正月やお祝いの席だけの特別なハレの食材でしたが、今では年中楽しむことができます。
食べ合わせや食べ過ぎに注意して、思う存分味わいましょう!