家庭菜園を行っている方も多いのではないのでしょうか?
今回は、夏の風物詩「スイカ」についてです。
確実に実をつけるためには、「雌しべ」への受粉が欠かせません。
受粉を成功させ、無事、収穫に至るまでの過程についてみていきましょう。
家庭菜園でスイカが実らない原因
夏に向け、家庭菜園でせっかくスイカを育てていても、実がならないといったことはありませんか?
苦労したのに、お目当ての甘くて大きいスイカが実らなかったら、がっかりしますね。
実がならない原因について、みていきましょう。
まずは、花が咲いていない場合は、実がなりません。
この状態を「つるボケ」と言います。
だいぶ、つるも伸び、葉も茂っているのに、雄花も雌花も咲かない状態のことです。
この「つるボケ」の原因は、肥料が効きすぎていることが、一番の要因です。
スイカに与える肥料は、栽培の前半の時期は元肥のみで問題ないのです。
花が咲き始め、着果しだしたら、追肥を開始するようにしましょう。
次に、花が咲いているが雌花がないという場合も、当然ながら実がなりませんね。
これには、原因がいくつかあります。
気温が低い日があり、スイカがストレスを受けている、肥料のやり過ぎなどですが、他にもあります。
気温が低い日が多いのであれば、気候が温暖になれば、実を結ぶことはあります。
実がならない原因として、最後は受粉不良という場合です。
受粉しないと、実はできないですよね。
今回は、この受粉についてフォーカスしていきます。
家庭菜園ではスイカの人工受粉をしっかりと①
スイカなど、植物に実をつけるために、必要なことが受粉です。
自然界では、虫の力を借りて受粉するので、運の要素も含まれています。
しかし、家庭菜園では、確実に受粉させたいのが本音です。
ですから、家庭菜園をしている場所が重要になってきます。
都会や高層マンションのベランダなどで栽培している場合は、受粉のための虫が来ないことも考えられます。
そこで、人工的に受粉させる必要性がでてきます。
では、スイカの受粉方法を見ていきましょう。
まずは、雌花の状態をチェックします。
スイカの子づるが成長してくると、まずは最初の雌花がつきます。
それよりも前の時点で、スイカの花は咲きますが、それは雄花であることがほとんどでしょう。
この雄花と雌花の見分ける方法は、蕾の下に膨らみの有無で判断します。
この膨らみが、受粉後に実となる場所なので、この膨らみがあるのが雌花ということになります。
しかし、最初についた雌花は未熟なため、うまく受粉できないことが多く、想像するような実の大きさにならないことがあります。
なので、最初の花は摘み、2番目以降に咲いた雌花に対して、受粉させるようにしましょう。
スイカの受粉期間はとても短いので、開花のタイミングを逃さないように、毎日確認しましょう。
家庭菜園ではスイカの人工受粉をしっかりと②
では、目当ての雌花が開花したら肝心の受粉作業です。
まず、注意するのは、その時間です。
スイカの人工受粉の作業は、遅い時間ですと、雄花の花粉の出が悪くなることがあります。
なので、早朝~朝10時までには、受粉作業を終わらせましょう。
受粉作業の内容に進みます。
受粉の方法で最も確実で楽にできるのが、雄花と雌花を直接こすりつける方法です。
方法は、その日に開花した雄花を茎から摘み、花粉を落とさないように、雌しべにつけるだけです。
そのままでは、こすりつけにくいので、雄花の花びらを取ってしまいましょう。
このとき、勢いよく取ってしまうと、花粉が落ちる可能性があるので、慎重に取ります。
そして、雄しべだけにしたら、雌しべに優しくこすりつけます。
雌しべが傷ついてしまわないように、優しく作業しましょう。
これが、最も確実で楽にできる、スイカの人工受粉方法です。
受粉作業を終えたら、作業した日を分かるように、受粉させた雌花の近くにつけておくのも忘れずに。
スイカの収穫時期を測るのに、とても便利です。
せっかくの家庭菜園なので、ベストなタイミングで収穫したいですね。
こんな場合は受粉失敗かも
スイカを家庭菜園で栽培しているときに、以下のようなことになったら、受粉に失敗しています。
・スイカが大きくならず、枯れてしまう
・少し生長したが、小さいうちにしぼんでしまう
その理由・原因について、みてみましょう。
まずは、自然受粉に頼りすぎてしまった場合です。
スイカを畑で栽培しても、虫などによる自然受粉は確実ではありません。
なので、受粉を確実に成功させるために、先述の人工受粉をしてみましょう。
しかし、人工受粉しても失敗することはあります。
それは、雨が降っていた場合です。
雨の日は、花粉が流れてしまうのです。
花粉が流れてしまえば、雌しべは受粉することができず、実がなりません。
待ちに待った目当ての雌花が開花した日が雨だった場合は、雨が雌花にかからないように、保護しながら作業しましょう。
それもで雨の状態によっては、花粉が流される可能性もありますが、何もしないよりは、成功の可能性は上がります。
また、受粉する時間帯が悪かったときも、失敗することがあります。
この理由は先述した通りです。
スイカが受粉してからの注意点
人工受粉の際に注意したい点が、もうひとつあります。
それは、なるだけ多くの花粉を雌しべにつけようとして、雌しべを傷つけてしまった場合です。
雌しべが折れてしまうと、着果はうまくいかないので、先述した通り、ソフトタッチで行いましょう。
雄しべから花粉が出ていれば、やさしくつけるだけで、雌しべにはちゃんと花粉はつきます。
そして、家庭菜園でスイカが受粉してからも、気をつけるべきことがあります。
まず、スイカは温暖な気候を好む植物なので、気温が低いときは生長しないことがあります。
特に注意したいのは、受粉して実が大きくなり始めた時期です。
失敗しないように、気温の低いときは、30℃~35℃を目安に温度管理をするようにしましょう。
そのほかにも、実が落ちてしまうこともあります。
この現象は、スイカ自身が実をつけすぎたと感じて、自ら実を減らしています。
これは全部の雌花に人工受粉したときに、起きやすい現象なので、欲張りすぎには注意しましょう。
この現象は、育っている実が残っていれば、大丈夫です。
家庭菜園スイカの収穫時期
受粉も成功し、収穫を待つ時期となってきました。
では、スイカの収穫日数の目安とは、いつくらいなのでしょうか?
スイカは受粉した日から35日~40日、植え付けから考えると85~90日くらいほど経った時期が、適正な収穫時期と言われています。
しかし、この日数は、あくまで目安です。
品種や栽培環境によって変わってくるので、注意しましょう。
大抵の場合、購入したスイカの種の袋や苗などに品種と収穫日数が記載されているでしょうから、忘れずに確認しましょう。
また、授粉日を記した札も用意するのも忘れずに。
プロの人なら日数だけでなく、スイカの状態などを総合的に判断し収穫できますが、家庭菜園であれば、そこまでのタイミングの測り方は難しいと思います。
日数だけは、平等な判断基準なので、大切ですね。
熟しているかを判断するやり方は、スイカを叩いた音で判断するというものがあります。
この叩いたときの音が、高い音だと、熟しきっていない状態で収穫には早いです。
また、濁ったようなボンボンという音がしたときは、熟しすぎです。
ポンポンと澄んだ音が鳴ったら、収穫のベストタイミングとのことですが、実際に試してみると、とても難しい判断方法です。
そろそろ収穫かなと思ったら、毎日叩いてみて、その音の違いを細かに聞いていくしかないので、慣れが必要ですね。
スイカを収穫できると嬉しい
スイカの栽培、受粉を中心にご紹介してきました。
スイカに限らず、実野菜や実果物は受粉が欠かせない作業です。
スイカみたいな大きい果物を収穫したとき、とても達成感が得られると思います。
1年を通して収穫できる作物よりも、栽培の季節が限られている作物の方が、栽培は難しいと思いますが、その喜びはひとしおでしょう。
スイカの他にも、色々と育ててみてはいかかでしょうか?