スーパーの鮮魚コーナーで売られているエビ。
その中に、表記がなく『むきえび』とだけ書いてあるものを見たことがありませんか?
実は、あのエビのほとんどは「バナメイエビ」という品種のものです。
もちろん、あの有名なブラックタイガーとは別物です。
では、どこがどのように違うのでしょうか?
今回は、そんなバナメイエビとブラックタイガーの違いについて、ご説明していきます。
生育期間から見るバナメイエビとブラックタイガーの違い
バナメイエビとブラックタイガー。
どちらもスーパーなどで普通に買うことができる手軽なエビですが、生育期間や環境への適応能力には大きな違いがあります。
さて、ここで問題です。
丈夫で育てやすいのは、どちらのエビでしょうか?
答えは、バナメイエビです。
ブラックタイガーのほうが大きいので、なんだか強そうというイメージがありますよね。
実は、ブラックタイガーは非常に弱い品種です。
そのため、同じ池での養殖数に限りがあり、病気にもかかりやすいのです。
また、環境の変化があれば、すぐ弱ってしまいます。
30cmを越える個体も多い品種ですが、意外と繊細なんですね。
対して、バナメイエビは非常にタフです。
養殖され始めて間もないころは、原因不明の病気が流行ったりはしました。
その後、養殖環境が改善されてから、市場供給率はかなり安定しています。
また、バナメイエビの生育期間が3~4ヶ月であるのに対し、ブラックタイガーの生育期間は4~5ヶ月と、やや長めです。
成長に時間が掛かるぶん、身体は大きく身も引き締まっており、「プリッとしたエビらしさ」があります。
バナメイエビとブラックタイガーの味や食感の違い
わたしたち消費者にとって、味や食感というのは、エビの種類を選ぶ上で、とても重要なポイントですよね。
では、ブラックタイガーとバナメイエビでは、どのような違いがあるのでしょうか。
ブラックタイガーは、車エビ科の中でも大きな個体が多い品種です。
身に弾力があり、火を通してもプリプリ感がしっかりと残るため、エビチリやフライなど、どんな料理に使ってもおいしく仕上げることができます。
また、味はやや大振りで、エビのうまみや甘みよりは、食感が魅力の品種と言えるでしょう。
対してバナメイエビは、非常にソフトな口当たりのエビです。
どちらかといえば、食感よりも甘みが重視されているエビで、小さいながらも、しっかりした風味があります。
回転ずしの蒸しエビのほとんどは、このバナメイエビです。
同じエビでも、味や食感では、こんなにも違いがあるんですね。
ブラックタイガーと違い、バナメイエビが安い理由
一般的にバナメイエビはブラックタイガーよりも、安い値段で売られていることが多い品種です。
イセエビやサクラエビなど、有名で大々的にアピールされ、販売されている品種とは違い、ものによっては名前の表記がなく、ただ単に「むきエビ」とだけ書いてあることもあります。
なんだか、これだけ聞くと、バナメイエビの印象って、あまり良くありませんよね。
「他のエビより安いってことは美味しくないの?」
「名前を載せないってことは、なにかあるのかな?」
そう思っている方、安心してください。
バナメイエビが安いのには、ちゃんと理由があります。
バナメイエビの安さには、その生育環境が関係しています。
一般的にエビという生き物は、水中の奥深くや土の中を好み、多くの品種が地底を這って生活しています。
地底を這うということは、床面積が養殖数に関係するということですから、つまりは養殖できるエビの数に制限があるということですね。
しかし、バナメイエビは違います。
バナメイエビは、水の中を泳いで生活します。
そのため、床面積による数の制限がなく、他のエビよりも多くの数を養殖できるというわけです。
その数、ブラックタイガーの約3~5倍です。
一度に大量の養殖が可能なため、地底を這って生活する他のエビよりも、価格を安くして販売することができているのです。
バナメイエビやブラックタイガーは栄養たっぷり!
エビの種類には、バナメイエビやブラックタイガーだけでなく、車エビやイセエビなどもありますよね。
非常に種類が豊富な「エビ」ですが、栄養素に関して言えば、どの品種でも大きな違いはありません。
エビは高たんぱく&低カロリーな食材です。
メタボに大敵な「糖質」は、なんとゼロです!
こうした理由から、ダイエット中の食事にも最適な食材であるエビですが、体に嬉しい栄養素は、この他にもたくさんあります。
例えば、「タウリン」。
特に魚介類に多く含まれるこの成分は、交感神経の働きを静め、血圧の上昇を抑えてくれるのです。
さらに、動脈硬化予防・肝機能の強化にも効果的です。
エビはイカ・タコに次いで、タウリンの含有量が多い食材ですから、積極的に摂取することによって、生活習慣病の改善にも期待ができます。
また、エビやカニなどの甲殻類の殻には、食物繊維であるキチン質が、たくさん含まれています。
食物繊維をたくさん摂ると便通が良くなり、腸内環境が整います。
つまり、デトックス効果があるということですね。
身体の毒素を排出することは、免疫力アップにもつながりますから、積極的に摂りたいものです。
小さなエビなどは、できるだけ殻ごと食べるように心がけてみてくださいね。
おいしいバナメイエビなどの見分け方
エビの栄養とそれぞれの違いがわかったところで、次に知っておきたいのは、おいしいエビの見分け方ですよね。
鮮度の良いエビを見分けるコツは、なんといっても、その色にあります。
エビは古くなると、尾や足の付け根など、様々な部分が黒く、くすんできます。
売り場に並んでいるうちから黒ずんでいるものは、すでに鮮度が落ちている証拠です。
エビを購入する際には身体全体、特に頭が透明で、かつ、しっかりと身にハリがありそうなものを選ぶようにしましょう。
頭のついているものは、頭と胴体がしっかりついていることも確認してください。
また、3~6月がエビの旬です。
旬の時期のエビには、通常よりもたっぷりと栄養素が含まれています。
獲れる量も多く、比較的安い値段で売られています。
ブラックタイガーとバナメイエビ、どちらも見分けるポイント・旬は同じです。
覚えておいてくださいね。
バナメイエビやブラックタイガーなどの正しい保存方法
エビには、正しい保存方法があるのをご存知でしょうか。
じゃがいもを暗所に置いたり、きゅうりを立てて保存すると長持ちするのと同じように、エビにも適した保存方法があります。
せっかくおいしいエビを買ったとしても、保存の仕方によっては、鮮度の劣化を早めてしまうこともあります。
ですので、エビの正しい冷蔵&冷凍保存について説明していきます。
まず、覚えておかなければいけないのは、エビが「酸化」する食べ物だということです。
酸化とは、食材など様々なものが空気に触れることによって起こる科学反応のことです。
全ての食べ物は、酸化すると色や味・香りが悪くなります。
ブラックタイガーやバナメイエビであっても、違いはありません。
特にブラックタイガーのように、調理すると色が変わることが魅力とされているエビにとって、酸化はできるだけ避けたいものです。
そのため、エビを保存する際にはしっかりラップをして、空気に触れないようにします。
また、調理するまで日がある場合は、新鮮なうちに冷凍庫に保存すると良いでしょう。
そのままレンジにかけたりして解凍できるよう、フリーザーパックなどを使うと、後で便利です。
2~3日中に使う予定であれば、キッチンペーパーにくるんでから、ラップをして冷蔵庫に入れましょう。
そうすることで、エビから出た水分で、味がぼやけたり、傷んだりするのを防ぐことができます。
特別なことは一切なく、日常的にやっている人も多いかも知れないこの方法ですが、こうしたちょっとしたひと手間は、生ものを保存する際にはとても大切なことです。
習慣にして、今までよりもおいしいエビ料理を仕上げてみてくださいね。
明日から少し意識してみて
バナメイエビとブラックタイガー。
両方ともスーパーなどでよく見る品種ですが、似ているようで似ていないということが、お分かりいただけたと思います。
エビには、他にもたくさんの種類があります。
バナメイエビとブラックタイガーのように、見た目がそっくりでも、生態や産地、適した料理はそれぞれ違いがあるんですよ。
意外と奥が深いエビの世界。
これをきっかけに、もっと多くの「エビ知識」を身につけてみてはいかがでしょうか?