そのまま食べても美味しいバナナ。
店頭に並んでいるバナナは、どれも黄色のバナナですよね。
でも、輸入される時のバナナの色は、緑色をしていることをご存知ですか?
今回はバナナにまつわるお話をしたいと思います。
バナナの種類
スーパーなどで売られているバナナでも、何種類かありますよね。
まずは、バナナの種類と、それらの特徴からみていきましょう。
★ジャイアント・キャベンディッシュ
フィリピンから輸入されているバナナで、一般的なバナナです。
★ラカタン
キャベンディッシュと似ていますが、ひと回りくらい小さめです。
ほのかな甘みで、口当たりが良いバナナです。
★台湾バナナ
主に台湾で作られていて、北蕉(ほくしょう)という品種です。
濃厚な味わいで、果肉が緻密なのが特徴でもあります。
★バナップル
2012年にスミフルが発売したブランドバナナです。
リンゴのような酸味が特徴です。
★モンキーバナナ(セニョリータバナナ)
長さ7~9cm、太さ2.5cmほどの小さなバナナです。
柔らかい果肉で、人気の高い品種です。
★島バナナ
沖縄では、家庭の庭などによく植えられている、一般的なバナナです。
熟してから収穫ができるので、輸入バナナより甘みが強く濃厚で、酸味とのバランスのとれたバナナです。
★三尺バナナ
こちらも沖縄などで栽培されているバナナで、キャベンディッシュの小さい品種です。
★モラード(レッドバナナ)
緑や黄色のバナナとは違い、赤みがかった色が特徴のバナナです。
果肉は黄白色で、食感はもっちり、あっさりとした甘さです。
★プランテイン
日本では、あまり見かけないですが、アフリカの主食でもある、甘味がない調理用のバナナです。
なぜ輸入バナナは緑色なの?
たくさんバナナの種類がありましたね。
でも、売られているバナナは全て黄色のバナナです。
海外で売られているバナナのように、緑色のまま販売されていない理由はあるのでしょうか。
日本に輸入されているバナナは、まだ緑色の時にバナナを収穫して、品質検査をして保冷船に積み込まれて出港しています。
フィリピン産のバナナだと、バナナの温度を常に13~14℃に保ちながら保管して、約5日間かけて日本に運ばれてきます。
この13~14℃の温度に保つことで、バナナの熟成が進まない緑色の状態のバナナが、日本にやって来るのです。
ちなみに、黄色い熟成が進んでいるバナナは、「植物防疫法」という法律によって輸入が禁止されています。
その理由のひとつとして、チチュウカイミバエという害虫が挙げられます。
このハエは、野菜や果物の実に卵を産み付け、生まれた幼虫が果肉を食べて、腐敗させてしまう害虫なのです。
ですので、この害虫対策でもあるのです。
こうして輸入されたバナナは、室(ムロ)と呼ばれる、温度や湿度などが管理されている場所で保管されます。
ここで、エチレン(植物の熟成ホルモン)を少量与えられ、数日間かけて熟成し、美味しいバナナが出荷されていくのです。
緑から茶色へと変わるバナナ
バナナは、緑→黄色→茶色へと変化していきますよね。
この変化から「バナナのカラーチャート」というもので、食べごろを判断できます。
通常、1~8段階に分けられています。
1.オールグリーン
名前通り、バナナ全体が緑色の状態で甘みもなく、固いです。
日本に輸入された直後のバナナを示します。
2.ライトグリーン
バナナが浅緑色へと変化してきて、ほんのりと黄色がかった状態です。
熟成過程に入ったことを示します。
3.ハーフグリーン
バナナ全体を見ると、緑色と黄色が半々の状態です。
一般的な長距離輸送は、このハーフグリーン時に行われます。
4.ハーフイエロー
まだ緑色の部分は残っていますが、黄色みが目立つ状態です。
近距離輸送は、このハーフイエロー時に行われます。
5.グリーンチップ
私たちが手にすることのできる、スーパーなどの店頭に並び始めたばかりのバナナです。
バナナの先が、まだ青いのが特徴です。
6.フルイエロー
完熟を表す、全体が黄色のバナナです。
十分な甘みがあります。
7.スター
茶色の斑点が少し出てきます。
この斑点は「シュガースポット」と呼ばれていて、芳醇な香りと、深い甘みが楽しめます。
8.ダップル
バナナの全体にシュガースポットができて、茶色へと濃さが増してきます。
熟し切った状態のバナナです。
バナナは常温保が適していますが、冷蔵庫に入れると、皮が黒く柔らかくなります。
これはバナナが追熟したのではなく、冷蔵庫による低温障害で色の変化が起きたので、このカラーチャートとは関係ありません。
緑がかったバナナは便秘解消に効果的?!
バナナの色によって完熟度が分かりますが、この完熟具合によって、バナナの栄養も変化することが研究によって明らかになっています。
★緑がかったバナナ
もともと、バナナは便秘解消になる食物繊維と、フラクトオリゴ糖が含まれています。
特に、端が緑がかった部分は、「難消化性デンプン」を多く含み、この成分は消化がされにくいデンプンです。
消化されにくいと腸まで届き、善玉菌のごはんとなるので、善玉菌が増えて整腸効果が期待できるのです。
熟していくにつれて、難消化性デンプンは少なくなるので、便秘解消には輸入されて店頭に並んだばかりの、少し緑がかったバナナがオススメです。
★黄色のバナナ
食べごろの熟したバナナは、ビタミンB3・B2・B6が豊富です。
これらの美容ビタミンは、代謝を上げて、肌の調子をよくする効果があります。
また、アンチエイジングに欠かせない抗酸化作用が高いので、女性にうれしい成分がバナナには含まれています。
★茶色のバナナ
シュガースポット(茶色の斑点)は「リン脂質」が含まれていて、胃の粘膜を保護、胃潰瘍の抑制効果も期待されています。
このリン脂質は、バナナ以外の果物では、ほとんど含まれないそうです。
輸入バナナは昔、高級バナナだった?
現在、日本で食べられている輸入バナナのほとんどが、キャベンディッシュですが、過去にさかのぼること1900年代半ばごろ。
この頃に食べられていたバナナの種類は「グロスミシェル」という品種でした。
当時、グロスミシェルは高級バナナで、現在のように手軽に食べられるバナナではなかったのです。
とても甘く、高級な果物だったグロスミシェルですが、今ではなかなか食べられないバナナとなってしまいました。
病気にかかり、絶滅状態なのです。
しかし、絶滅を奇跡的に免れたグロスミシェルがタイに存在し、名前を「ホムトンバナナ」として、現在でも生産されています。
日本では、ほんの一部ですが、ホムトンバナナが販売されている店舗もありますので、見かけたらぜひ絶滅を免れたバナナを味わってみてください。
濃厚な甘みがあり、サクッとした食感が特徴のようです。
ホムトンバナナは、甘みの目安になるシュガースポット(茶色の斑点)が出ません。
緑から黄色に変化するバナナのカラーチャートでいうと、グリーンチップからスターの間が食べごろです。
輸入バナナは徹底的に管理されている
絶滅状態のグロスミシェルがあるように、他のバナナも常に危機があります。
その理由として、バナナの栽培方法にあります。
バナナは種を取って増やすのではなく、接ぎ木で増やす栽培方法なのです。
ひとつのバナナが危険な病気にかかると、どんどん病気が広まり、世界中に広まってしまう可能性があるのです。
病気のひとつに「パナマ病」というのもがあります。
土の中に、パナマ病を引き起こすカビが生息していて、根から侵入し感染したバナナは萎れ、枯れてしまいます。
このカビが畑に侵入してこないように、徹底的な管理のもと、パナマ病に感染しないようにバナナを守っているのです。
緑のバナナが輸入されないのと一緒で、病気にかかったバナナも品質検査により、スーパーなどに並ぶことはありません。
病気にかかりやすいバナナを、しっかりと管理している人がいるからこそ、私たちがバナナを美味しく食べられるのです。
今でも貴重なバナナ
当たり前のようにスーパーなどで手に入るバナナですが、育ててくれている人が大切に管理してくれているから、私たちのもとに運ばれてくるのです。
バナナを食べる時は、そんな想いも感じながら、味わってみましょう。