みなさん「バター」は、お好きですか?
そのままパンに塗ったり、料理の風味をアップさせてくれたり、お菓子作りにも…
バターには、たくさんの使い道があります。
そんなバターを家で手作りできたら嬉しいですね!
今回は、簡単にできるバターの作り方を紹介します。
使うものは、ノンホモ牛乳です。
「ノンホモ牛乳って何?」という方に、ホモ牛乳&ノンホモ牛乳についても解説しています。
ぜひ、ご参考にしてください。
バターの手作り方法の前に、牛乳にはどんな種類があるか知ろう!
バターは牛乳から作られますが、バターを手作りしようと考える人はあまりいないのではないでしょうか。
今回は牛乳についての詳しい知識とバターを手作りする方法を解説します。
実は、一般に牛乳として知られているものには7つも種類があるのです。
・牛乳
生乳を殺菌したもので、成分無調整のものです。
・成分調整牛乳
生乳から一部乳成分を除去したものです。
・低脂肪牛乳
生乳から一部乳脂肪分を除去したものです。
・無脂肪牛乳
生乳から乳脂肪分をほぼすべて除去したものです。
・特別牛乳
牛乳の中で「特別牛乳さく取処理業」の許可を得ている施設でのみさく取した牛乳です。
・加工乳
生乳にバター、クリーム、脱脂乳などの乳製品を加え、無脂乳固形分8.0%以上にしたものです。
・乳飲料
生乳にクリームなどの乳製品を加え、ビタミンやカルシウムなどの栄養素、果汁、コーヒーなどを入れたものです。
この他にもそれぞれ「無脂乳固形分」と「乳脂肪分」の含まれる割合も異なります。
「無脂乳固形分」とは牛乳の水分と乳脂肪分を除いた部分のことです。
「乳脂肪分」とは牛乳の脂肪分のことです。
牛乳には3種類の殺菌法がある
バターを手作りするための牛乳にはノンホモ牛乳が適しています。
ノンホモ牛乳については、次の項で詳しく解説しますので、ここではその前に行われる牛乳の殺菌方法を解説します。
生乳は殺菌しなければ牛乳として販売できませんが、その殺菌方法には大きく分けて「低温殺菌」と「高温殺菌」があります。
低温殺菌は低温保持殺菌法という方法で行われます。
・低温保持殺菌法
牛乳を63℃から65℃で30分かけて殺菌する方法です。
低温殺菌牛乳は栄養価が高く、本来の牛乳の味に近いのですが、殺菌に手間がかかるため価格が高くなります。
非耐熱細菌は死滅しますが、生き残る細菌もいるため賞味期限も5日ほどと短いです。
高温殺菌には2つの方法があります。
・高温短時間殺菌法
牛乳を72℃以上で15秒以上殺菌する方法で、欧米では一般的です。
病原性細菌は死滅しますが、耐熱性細菌や芽胞は生存出来てしまうため、日本では主流ではありません。
・超高温短時間殺菌法
牛乳を120℃以上150℃以内で1秒以上5秒以内殺菌する方法で、日本では現在この方法が主流です。
ホモ牛乳とノンホモ牛乳の違い
牛乳を殺菌する方法が分かったところで、次にホモ牛乳とノンホモ牛乳について解説します。
牛乳の乳脂肪分は分離しやすいので、放置しておくと水分より軽い乳脂肪分が上に浮いてきます。
それを圧力で加工して乳脂肪分を細かくすることで、脂肪が牛乳全体に均等に分散するようにしたのがホモ牛乳です。
ホモジナイズ、という「分散する」という意味の英語から来ています。
市販の牛乳のほとんどがホモ牛乳ですが、ホモジナイズするメリットは「脂肪分が均等に混ざる」「消化吸収が良くなる」「殺菌など製造中の各種処理がしやすくなる」といったものがありますが、乳脂肪分が細かくされているため風味が弱くなり、味が薄いという印象を受けるようです。
これに対してホモジナイズしないノンホモ牛乳は、乳脂肪分が細かく分散していないため、味が濃厚に感じるようです。
しかし、実際にはホモ牛乳もノンホモ牛乳も乳脂肪分の量は変わりませんし、ホモジナイズしても品質上の問題は現在のところ発見されていません。
ただ、ノンホモ牛乳は脂肪の固まりが一気に体内に入るので消化しづらくなり、ノンホモ牛乳を飲むと下痢をする人もいます。
手作りバターの原料にはこのノンホモ牛乳が適しています。
ノンホモ牛乳を使ってバターを手作りしてみよう!
先ほど述べた通り、ホモ牛乳は乳脂肪分を均等に分散させているホモジナイズを行っているので、放置しても乳脂肪分が浮いてくることはありませんが、ノンホモ牛乳は乳脂肪分が固まりのままなので、放置していると牛乳にクリーム状のものが浮いてきます。
このクリーム状のものが生クリームと同様のものです。
この生クリームに圧力をかけるとバターを取り出すことが出来ます。
そのため、ホモ牛乳からバターを作ることは困難ですが、ノンホモ牛乳からは比較的簡単にバターを作ることが出来ます。
以下にノンホモ牛乳からバターを手作りする方法を紹介します。
【材料】
・ノンホモ牛乳500ml
【用意するもの】
・2リットルのペットボトル
【作り方】
ノンホモ牛乳500mlを2リットルのペットボトルに入れて振ります。
15分から20分ほど振っているとペットボトルに粒々がついてきます。
さらに10分ほど振ると乳脂肪分の固まりがペットボトル全体に浮いてきます。
ふたを開けるとペットボトルの口のところに固まりが浮かんでいるので、これを濾し水分をしっかり絞ります。
500mlの牛乳から1切れ、約10g程度のバターが取り出せます。
牛乳から手作りバターを取り出した後、残った水分は?
バターを手作りする方法を紹介しましたが、バターを取り出した後の水分をホエーまたは乳清と言います。
ヨーグルトを静かに放置しておくと水分が分離しますが、これもホエーです。
このホエーはラクトフェリンやアミノ酸などを多く含んでいるので、継続して摂取することで様々な健康効果が期待できます。
年齢からくる乾燥やしわへの効果が証明されている「アンチエイジングの切り札」として注目の食品です。
高たんぱく、低脂肪で栄養価が高い点、消化が早く、たんぱく質の合成やインスリンの分泌を促進する点などでも優れた食品であるとの認識が高まってきています。
従来、チーズを作る際に固形物と分離された副産物として大量に作られて廃棄されていましたが、その栄養価の高さから食品として見直されつつあります。
粉状に加工してプロテインサプリメントの原材料として用いられるほか、生クリームの代替品として料理に用いればカロリーを大幅に抑えることも出来ます。
それではバターを取り出した後のホエーを使ってチーズを作る方法を簡単に説明します。
1)鍋にバターを取り出した後の牛乳、塩、レモンのしぼり汁を入れます。
2)よく混ぜて弱火にかけます。
3)液体と固形物に分離するので固形物をすくって、ざるにあげて水分を切ります。
出来上がったチーズは食感がボソボソしていますが、柔らかいクリーム状です。
まだある!牛乳から取り出したホエーの使い道
先ほど紹介したバターを手作りした後にできるホエーですが、他にも様々な使い道があります。
・果物や牛乳と合わせて飲み物に
ホエーには乳酸が多く含まれ、そのままでは飲みにくいので野菜や果物のスムージーを作るときに一緒にホエーを入れると、野菜や果物の栄養とホエーの栄養が同時に摂れます。
また、ホエーを牛乳で割ると乳酸菌飲料になります。
砂糖やはちみつ、メープルシロップを入れると飲みやすくなるでしょう。
・パンケーキやスコーンに入れて焼くとフワフワに
パンケーキやスコーンを焼く時に牛乳を減らし、ホエーを入れると重曹やベーキングパウダーが酸性のホエーと反応するためよりフワフワに仕上がります。
ただし、ホエーと重曹は混ぜるとすぐに反応するので、生地を混ぜたらすぐに焼くことが大切です。
・肉を漬け込むと柔らかくうま味もアップ
ヨーグルトに肉を漬け込むと柔らかくなるという裏技が知られていますが、ホエーを使っても肉が柔らかくなります。
これはホエーの乳酸が肉の繊維をほぐすためです。
約30分から1時間漬け込みますが、あまり長く漬け込むと柔らかくなりすぎたり、食感がなくなったりするので注意が必要です。
楽しみながらバター作り
500mlのノンホモ牛乳から作れるバターは、市販バターの1切れ程度です。
量は少ないですが、楽しさはいっぱいです。
シャカシャカとボトルを振って、バターが出来ていく様子を見ながら楽しんでくださいね。
ぜひ、手作りバターに挑戦してみてください。