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トランス脂肪酸って何?禁止されている国とその理由とは?

      2018/09/04

トランス脂肪酸って何?禁止されている国とその理由とは?

「アメリカでトランス脂肪酸の食品への添加を禁止」というニュースが、2018年に流れました。

トランス脂肪酸という名称は、健康に気を使っている方ならご存知だと思います。

生活習慣病や心疾患のリスクを高めるとされ、世界各国では規制の対象になっています。

でも、そもそもトランス脂肪酸とはどういったものなのでしょうか。

日本ではなぜ禁止されないのでしょうか。

疑問を解消するため、ひとつひとつ調べてみました。

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食品に含まれるトランス脂肪酸とは一体何?

液体の油と固体の脂をまとめて油脂と呼びます。

この油脂は脂肪酸とグリセリンという分子から構成されています。

脂肪酸は炭素の鎖型の原子がつながった分子で、炭素が二重結合していないものを飽和脂肪酸、炭素の二重結合があるものが不飽和脂肪酸と2種類あります。

不飽和脂肪酸はさらに分類され、「シス(cis)型」と呼ばれる原子の結合型と「トランス(trans)型」と呼ばれる原子の結合型があります。

このトランス型の方をまとめて「トランス脂肪酸」と呼びます。

トランス脂肪酸は自然界にも存在しますので、天然のものと人工のものがあります。

牛肉や牛乳などに含まれているものは天然のものです。

一方、マーガリンやファットスプレッド、ショートニング、サラダ油などに含まれるトランス脂肪酸は油脂の加工や精製でできる人工のものです。

これらを使って作られたパンやケーキ、ドーナツ、揚げ物などにもトランス脂肪酸は含まれます。

様々な国で規制されているトランス脂肪酸は、こちらの人工のものを指定しています。

アメリカでは、2018年6月に、食品に添加されるトランス脂肪酸を全面禁止にする法律ができました。

トランス脂肪酸が禁止の国、制限の国

トランス脂肪酸は体に悪い、ということから、全面禁止になったアメリカ以外にも、規制や表示の義務付けをしている国は多数あります。

食品中のトランス脂肪酸含有量を規制している国と地域はこちらになります。

・デンマーク
・スイス
・オーストリア
・カナダ
・シンガポール

食品のトランス脂肪酸含有量を表示することを義務付けている国と地域はこちらです。

・韓国
・中国
・台湾
・香港

また、自主的な低減を推奨している国と地域はこちらです。

・EU
・イギリス
・フランス
・オーストラリア
・ニュージーランド

アメリカほど厳しくはなくても、世界各国で規制や表示が義務付けられているので、世界全体として摂取の低減を目指した取り組みをしていることになります。

デンマークなどでは油脂100gあたり2gまでにトランス脂肪酸を抑えるという決まりがあります。

スイス、オーストリアでも100g中2gという規制は変わりません。

カナダは包装されている食品すべてのトランス脂肪酸含有量の表示を最初に義務付けた国で、2018年9月15日からは、トランス脂肪酸だけではなく、「部分水素添加油脂」と呼ばれる脂の食品への添加を禁止する法案が可決されました。

各国がトランス脂肪酸を禁止する理由

トランス脂肪酸は大雑把に言ってしまうと「脂質」なわけですが、脂質のなかでもコレステロールを高め、生活習慣病や心疾患のリスクになるという認識が広まっています。

脂質は三大栄養素のひとつであり、少なすぎても健康リスクを高めることがありますが、炭水化物やたんぱく質と比べて、肥満になりやすいというデメリットが存在します。

トランス脂肪酸を摂取する量が多いと、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が増え、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が減少するという報告がされています。

そのため、脂質の中でもトランス脂肪酸を制限する国が多いのです。

全面的に禁止にしたアメリカと、これから禁止するカナダだけでなく、この取り組みは全世界に広がっていくものだと思われます。

国際機関が開催した専門家会合では、食品から摂取するトランス脂肪酸は総エネルギー摂取量の1%未満に抑えるように勧告されています。

成人が一日に摂取するエネルギーは平均で約1900kcalで、この場合一日あたり約2gが目標です。

トランス脂肪酸を禁止したアメリカとカナダは、国民の肥満率が高く、問題となっています。

せめて健康に被害を及ぼさないよう、トランス脂肪酸を禁止するという考えに至ったものだと思われます。

規制や制限をしている国では、だいたい100g中2gという量が目安になっています。

韓国や中国など表示を義務付けている国では、もともと欧米と比べてトランス脂肪酸の摂取量が少なく、規制には至らなかったという理由があります。

それでも表示するということは、国民に選択する権利を与えているのですね。

世界各国で禁止されているけど日本ではどうなの?

日本では、トランス脂肪酸は規制も禁止もされておらず、食品への表示義務も存在しません。

これは、日本人がトランス脂肪酸を摂取する量が少ないので、ただちに問題はないとされているからです。

アメリカではトランス脂肪酸を使用した食品が多く、人々に好まれてきたため、2000~2002年におけるひとりあたりの摂取量は5.6gと、総エネルギーの2.2%を占めていました。

そのためWHOは2003年に一日あたりの摂取量を1%未満に抑える勧告をしたわけですが、日本では2006年の段階で一日の摂取量が平均0.7gと少なく、ガイドラインを大きく下回る結果となりました。

今後食文化の欧米化がさらに進んだ場合は規制や禁止を決定するかもしれませんが、現代の日本人の食生活においては、トランス脂肪酸は規制するような対象ではないのです。

それでも油脂の取りすぎは体に悪いことがわかっていますので、各メーカーは開発をすすめ、トランス脂肪酸が少ないマーガリンやマヨネーズなどを販売しています。

国によって健康への取り組みが違うことは理解できますが、そもそもの食文化が大きく違うため、まだまだ日本でトランス脂肪酸が禁止されることはなさそうです。

健康に敏感な方はトランス脂肪酸を避けていると思いますが、外食や加工食品などから全てを取り除くのは不可能なので、気になる場合は自宅で揚げ物やマーガリンの摂取を控えると良いでしょう。

トランス脂肪酸フリーのマーガリンは存在するの?

「トランス脂肪酸が多い」と槍玉に上げられがちな食品がマーガリンです。

人工の油脂のため、どうしても不飽和脂肪酸が発生してしまうので、なかなか「含有量ゼロ」のものはみつかりません。

トランス脂肪酸を気にする場合、表示を義務付けていたり規制している国から輸入するという手があります。

アメリカやカナダではトランス脂肪酸の食品への添加が禁止されたので、これらの国でこれから作ったものは、トランス脂肪酸ゼロのものになるでしょう。

また、オーストラリア製のトランス脂肪酸フリーのマーガリンや、ファットスプレッドは、現在でも通販サイトから購入することができますが、海外製のものを口に入れるのは不安だという方もいるかもしれません。

国内生産のマーガリンでなるべくトランス脂肪酸を少なくしたい…という方にオススメなのが、小岩井乳業から発売されている「小岩井 マーガリン ヘルシータイプ」です。

紅花油を使用したマーガリンで、トランス脂肪酸は100g中0.34gとかなり低めに抑えられています。

300円ちょっとする少々お高めのマーガリンですが、トランス脂肪酸含有量としては国内生産マーガリンの中でトップクラスで値が低いです。

健康に配慮している方は、ぜひ試してみてくださいね。

今後日本でも禁止されるの?世界の動き

さて、日本でも今後トランス脂肪酸は禁止されるのでしょうか?

現在は「ただちに健康に影響はない」として規制も表示義務もありませんが、今後世界各国がトランス脂肪酸の規制に動き出せば、日本にもその余波がくることはじゅうぶんに想像できます。

全世界に先駆けてトランス脂肪酸を規制したアメリカ、カナダだけでなく、今世界は「肥満」が深刻な問題になっています。

欧米各国はもともと肉食文化です。

たんぱく質を動物から摂取することが多く、日本のように豆腐などの植物性たんぱく質を摂取する文化がありませんでした。

人口が増加するにあたって、ファストフードが安く提供されるようになり、質の悪い脂質を摂取する機会が増大し、そのため肥満が深刻化したのです。

動物性たんぱく質は植物性たんぱく質と違い、どうしても脂質を同時に摂取することが多いです。

そのため、たんぱく質を摂取しようとするとどうしてもエネルギー中の何%かが脂質になってしまうのですね。

日本の食事も現在は欧米化が進み、「日本の食事はヘルシーだから健康にいい」とは言い切れなくなってきました。

外食産業では油脂を使うものが多く、忙しい現代人にはトランス脂肪酸を避けることはほぼ不可能です。

数年後には日本でも、肥満率が増大すればトランス脂肪酸が禁止されるかもしれません。

トランス脂肪酸は必要悪なのかも?

世界各国のトランス脂肪酸に関する取り組みを書いてきましたが、意外にも全面禁止なのはアメリカとカナダだけでした。

現在はヘルシーブームで、オーガニック野菜や玄米などが見直されています。

その反面、どうしても体に必要な栄養素の脂質も摂取しなければならず、ジレンマに悩んでいる方も多いかと思います。

そういった食品に対するストレスやもやもやをぶつける相手として、トランス脂肪酸はちょうどいい相手なのかもしれません。

健康に影響がない程度に、上手に脂質を摂取しましょう。

 - 食文化・食生活