米ぬかから肥料を作る。発酵させてぼかし肥料にしよう

家庭菜園をしていると、だんだんと土に詳しくなってきたり、肥料にも詳しくなってきますよね。

肥料もイチから作ってみたいと思う人もいるでしょう。

肥料を作るなら、家庭にあるもので作れると、手が出しやすいですよね。

そこでおすすめなのが、ぼかし肥料です。

ご家庭でも手に入りやすい米ぬかを材料に、発酵させることで作れちゃうんです。
ぼかし肥料について、お話したいと思います。

ぼかし肥料は米ぬかなどを発酵させて作る

有機栽培をしている農家さんでも使用している、ぼかし肥料についてお話していきたいと思います。

ぼかし肥料とは、米ぬかや油かすなどの有機材料に、土やもみがらを混ぜて発酵させて作る肥料です。

有機肥料は微生物に分解されることで効果を発揮するので、効果が現れるまでに時間がかかります。

ぼかし肥料なら発酵しているので、微生物が多く、すぐに植物に効果が現れます。

有機物が原料なので、肥料効果も長続きします。

使い方は元肥としても、追肥としても使えます。

元肥として使う場合は、植え付け時に、必要量の半分のぼかし肥料を与えます。

しかし、ぼかし肥料は窒素をたくさん含んでいますので、過剰になって葉が茂りすぎて、実がならないことがあります。

また、病害虫にかかりやすいなどの影響が出ることもあります。

このあたりの加減は初心者には難しいので、初心者の人は植え付け時にぼかし肥料を使うのは避けた方がよいかも知れません。

追肥として使う場合は、追加で肥料を与えるときに少量を土にまきます。

このとき、土に混ぜるのではなく、上にばらまくようにしてください。

ぼかし肥料を与えすぎると、窒素が過多になってしまいますので、注意してください。

米ぬかなどの発酵する材料を選ぶ

次に、ぼかし肥料の材料についてお話します。

原材料は有機物であれば、何を使っても大丈夫です。
いくつか代表的な材料を見てみましょう。

・米ぬか

原材料の中で、量が多く使われるのが米ぬかです。
この米ぬかをメインの材料にして、他のいろいろな材料を混ぜて、肥料を作っていくことになります。
成分のバランスが優れており、ミネラル分が多く含まれています。

・油かす

有機質材料の中では、速く分解され、効果がすぐに出ます。
窒素が多く含まれています。

・魚粉

魚を煮て圧搾し、水分と脂を抜いて乾燥させたものです。
窒素とリン酸を多く含んでいます。
野菜の味を良くすると言われています。

・鶏糞

ニワトリのフンを発酵させたものです。
リン酸が豊富なので、果物類に使用すると実の付きが良くなります。

他には、おから・カニ殻・グアノ・コーヒーかす・ふすまなどを使っても良いですよ。

ただ、木くずなどの木を材料にすると、発酵に時間がかかりますので、ご注意ください。

ぼかし肥料の材料は、種類や組み合わせに決まりはありません。

どのような土にしたいのか、どのような植物を育てたいのかによって、成分含有量を調整できるのが、ぼかし肥料の魅力です。

米ぬかを主原料にしたぼかし肥料の作り方①

それでは、ぼかし肥料を作ってみましょう。

米ぬかを主原料にした、基本のぼかし肥料を作ります。

米ぬか:3
油かす:1
牡蠣殻石灰:1
水:材料の1/10

できれば発酵促進剤:少々(発酵材料の10/1程度)

米ぬかと水だけでも発酵はしますが、発酵促進剤を入れると発酵を早く進めることが出来ます。

発酵促進剤ではなく、土着菌を投入しても発酵が早まります。

雑木林などの落ち葉をめくってみると、白い物質が発生していることがあります。

これが菌の塊です。
この菌を材料に混ぜ込みます。

そのほかに、ぼかし肥料を毎年作っている人は、前回のぼかし肥料を少し残しておいて、次に作るときに加えるという手もあります。

①材料を混ぜる

材料を計量したら、ブルーシートの上に水・土着菌以外の材料を置き、しっかりと混ぜます。

ジョウロで水をまきながら、手で混ぜます。

ここで重要なのは、水分量です。
水分が多すぎると腐ってしまいます。

ちょうどいい水分量の目安は、手で握っても、指で押すとパラパラと砕けるくらいです。

しっかりしたおにぎりが作れてしまうと、水分が多すぎということです。

水の量は材料に含まれる水分量でも変わってきますので、手の感触で調節することが大切です。

土着菌を入れる場合は、ここで投入します。

米ぬかを主原料にしたぼかし肥料の作り方②

②袋に詰める

ナイロンの袋に詰めます。
ご家庭では、なかなか大きな袋はないと思いますが、丈夫なゴミ袋などを使いましょう。

袋に詰めたら、しっかりと密閉します。
酸素が入ってしまうと、肥料として発酵しません。

できるだけ空気を抜き、しっかりと密閉しましょう。

③日陰で保管する

袋を密閉したら、常温で日陰に保管します。
袋は途中で開けないでください。

切り返す必要はありません。

そうして、しばらく置くと、発酵が始まります。
雨と直射日光が当たらない場所に保管しておきましょう。

暖かい季節であれば、1ヶ月、寒い季節であれば、2~3ヶ月で肥料として使えるようになります。

袋を開けたときに、乳酸が発酵したような甘酸っぱい匂い(ヨーグルトのような匂い)がしたら、成功している証拠です。

発酵完了後は、空気に触れても大丈夫ですので、乾燥させて使いやすくしてもOKです。

以上が、米ぬかを使ったぼかし肥料の作り方でした。

ぼかし肥料作りの失敗は発酵の失敗

ぼかし肥料は発酵させて作りますので、失敗してしまうこともあります。

腐敗臭のような悪臭がしてしてしまったら、それは失敗と考えましょう。
多く考えられるのは、水分が多すぎた場合です。

もしくは、袋の密閉が緩かったため、空気が入り込んでしまった場合です。

肥料がぐっしょりと湿った状態になってしまいます。
水分が多く、塊になってしまっており、たくさんの箇所にカビが生えています。

復活させるには、ダメになった箇所を取り除き、乾燥した米ぬかを新たに加えます。

再び密閉して保存しておけば、発酵が始まり、うまくいく可能性はありますが、確実にとは言えません。

発酵は生きていますので、思ったよりも難しいものです。
少しバランスが崩れただけで、失敗してしまいます。

失敗したものも土に混ぜれば、肥料として使えるのではという意見もありますが、不安であれば、もったいないですが廃棄処分にしましょう。

ぼかし肥料の使い方と注意点

このようにして、米ぬかから作られたぼかし肥料は発酵分解されているので速攻性があり、窒素も多く含んでいます。

少量でも、すぐに効果が現れます。
ですので、元肥として使うよりも、追肥として使った方がよいでしょう。

追肥として使うときも、少しずつ使います。
土に撒いたかどうか、わからないくらいの量をまきます。

本当にこんな少しで良いのか、不安になるくらいの量です。
これで十分なのですが、不安になって、まきすぎてしまう人が多いです。

ぼかし肥料は少しずつ、こまめにまいていくと失敗しにくいですよ。
速攻性があるぼかし肥料ですが、暑い季節ですと、施用してから数日で効果が出始めます。

夏であれば2週間程度、春・秋だと3週間程度で、半分以上の窒素を放出します。
この窒素は、すぐに作物に吸収されます。

ですので、今まで使っていたような完熟堆肥と同じような気持ちで、ぼかし肥料を使ってしまうと、大変なことになってしまいます。

先ほど、ぼかし肥料は少しずつ、こまめに使うとお伝えしましたが、追肥の目安は作物の葉色です。

新緑のような鮮やかな緑色が健康な葉色です。

ぼかし肥料に含まれている窒素は、4割程度、分解しにくい有機物です。
ですので、ゆっくりと分解しながら窒素を放出します。

数ヶ月から半年程度かけて、ゆっくりと窒素を放出し続けます。

1度チャレンジしてみよう

ぼかし肥料作りは、思ったよりも難しいと書きましたが、材料が安価で済みますので、1度チャレンジする価値はあると思います。

始めは、あまり材料費をかけないで作ってみると、失敗した時のダメージが少なくて済みますよ。

1度成功すれば、なんとなくコツがつかめてくると思います。

ぜひ挑戦してみてください。