「飲む点滴」とも言われるほど、栄養が高い甘酒。
甘酒には、米麹と酒粕、2種類があります。
米麹の甘酒には、麹菌が作り出した栄養がたっぷりと詰まっています。
この栄養を余すことなく吸収する方法があります。
それは、酵素が生きてるうちに飲むのです。
温め方や飲む時間などに気を配れば、生きてる酵素を摂れます。
効率的にとる方法を、ご紹介します。
甘酒は麹の発酵によって生きてる酵素が変わる?
甘酒は、米と水と麹で作ります。
ここまでは、米麹も酒粕も同じです。
これを発酵させたものが、米麹の甘酒です。
酒粕の甘酒は、米麹をさらに酵母で発酵させて作ります。
つまり、米麹は1回の発酵(麹)、酒粕は2回の発酵(麹・酵母)で甘酒を作ります。
米麹のものは、麹の働きによる生きてる酵素が甘酒に含まれています。
酒粕のものは、酵母の働きによる生きてる酵素が含まれます。
そして、それぞれ含まれる栄養のバランスが大きく違うのです。
どちらも同じ米と水と麹で作るので同じ栄養ですが、バランスが違います。
欲しい栄養価によって、それぞれの生きてる酵素の飲み分けができます。
ちなみに酵素とは、栄養の吸収や消化のスピードを速める分子です。
加齢とともに体が疲れやすくなるのは、体内の酵素が少なくなってきているからです。
米麹は麹の発酵で生きてる酵素が生成
米麹と酒粕、それぞれの甘酒を麹による発酵から見ていきましょう。
米麹の甘酒は、麹の発酵で作られます。
蒸した米に麹をつけて、米麹を作ります。
米麹を発酵すると、生きてる酵素(アミラーゼ)がデンプンを分解してブドウ糖が生まれます。
このブドウ糖が、麹による発酵によるものです。
米麹の甘酒の特長は、まさにブドウ糖と言えます。
ブドウ糖には、ふたつの特長があります。
・糖化による甘み
・エネルギー源
甘酒と言えば、砂糖をたっぷりと入れたような甘みです。
これは、生きてる酵素(アミラーゼ)がブドウ糖の糖化を促しているからです。
通常、米麹の甘酒は砂糖を入れません。
米麹の甘酒はブドウ糖100%の甘みです。
そして、ブドウ糖と言えば、エネルギーの素です。
生きてる酵素が、ブドウ糖のほとんどをエネルギーに変えます。
そのため、同じ糖分でもブドウ糖は太りにくいのです。
エネルギーの素、つまり、疲労回復に効果があります。
酒粕は麹と酵母で生きてる酵素が生成
そして酒粕の甘酒は、麹と酵母、2種類の発酵で作られます。
・蒸した米に麹をつけて米麹を作ります。
・発酵させた米麹に酵母をつけて諸味を作ります。
・もろみを搾って日本酒を作り、搾ったあとのカス(酒粕)を溶いて甘酒を作ります。
米麹を発酵させるということは、ブドウ糖が生まれます。
しかしその後、米麹に酵母をつけて発酵させています。
酵母によってアルコールやビタミン、タンパク質、食物繊維が生成されます。
そしてブドウ糖は、酵母の発酵の後は、ほとんど残っていません。
つまり、麹による生きてる酵素はほぼありません。
逆に酵母による生きてる酵素を含んでいます。
酒粕の甘酒は、ダイエットによいと言えます。
タンパク質の一種、レジスタントプロテインを含んでいます。
しかもレジスタントプロテインは、限られた食物にしか含まれていません。
レジスタントプロテインは、食事に含まれる油分を吸収します。
甘酒には消化酵素リパーゼも含まれていて、脂肪の燃焼を促進します。
食物繊維と合わせて、生きてる酵素はさらにダイエット効果があります。
生きてる酵素を最大限引き出す温度
「米麹の甘酒=エネルギー摂取」「酒粕の甘酒=ダイエット効果」という、代表的な効果が分かりました。
さらに、もうひとつ、甘酒を効率的に飲む方法があります。
それは、温度です。
甘酒の温度に気を配れば、なるべく酵素が生きてる状態で飲めます。
甘酒は発酵食品なので、いかに生きてる麹が由来の酵素を多くとるかがカギになります。
ここで、甘酒の栄養を最も効率よく摂るという目的では、米麹の甘酒をおすすめします。
もちろん、米麹、酒粕どちらの甘酒も説明の通り、栄養たっぷりです。
それでも、米麹をおすすめするのは、麹が由来の酵素が100種類以上も含まれているからです。
麹由来の酵素がほぼなくなっている酒粕よりも、米麹の甘酒の方が多いのです。
そして、50℃~60℃が、麹の生きてる酵素をたっぷり摂れる適温です。
米麹の甘酒は、発酵温度の60℃前後、作りたてが一番です。
作りたての生きてる酵素を壊さないように、なるべく70℃以上に加熱しないように注意してくださいね。
手作りの甘酒で麹の生きてる酵素を引き出す
米麹の甘酒は作りたてが一番ということが分かりました。
ということは、手作りして飲めば生きてる酵素をたくさん摂れますね。
とても簡単なので、ぜひ自宅で甘酒を手作りしましょう。
麹の働きによる生きてる状態の酵素をつくのには、炊飯器が最適です。
炊飯器でおかゆを作って、米麹を入れて、8時間保温をするだけで作れます。
寝ている間に作れば、朝には麹由来の生きてる酵素がたっぷり詰まった、作りたて甘酒が飲めます。
多く作った場合は、冷蔵庫に入れて3日以内に飲み切りましょう。
ただし、甘酒は温度が低すぎると、味が酸っぱくなるので、作ったらすぐに飲む!のがベストです。
1ヶ月なら冷凍保存もできますよ。
1回分ずつ、ジッパー付きの袋に小分けしておくと便利です。
冷たい甘酒もおいしいですが、既述の通り、温めた方が生きてる酵素をより多く摂れます。
温めるときは、70℃以上にならないように気を付けましょう。
作りたての方が麹由来の生きてる酵素の量が多いですが、麹の働きはなくならないのでご安心を。
しかし時間が経つと、発酵が進みすぎて味が落ちるおそれがあります。
味が落ちたらスムージーなどにアレンジして使うのも、甘酒生活を長く続けるコツです。
最近ではアレンジをして、玄米や黒米で甘酒を作る人もいます。
白米よりも甘さ控えめで作れます。
また玄米は、白米よりも食物繊維やビタミンB1を多く含んでいます。
玄米の味が好きな人は、日替わりで飲めば、飽きることなく甘酒を飲めますね。
甘酒以外の麹の生きてる酵素を摂る方法
最後に、米麹の甘酒を甘味料として使う方法を紹介します。
米麹の甘酒は、説明の通り、甘みがしっかりとしています。
麹の働きによる生きてる酵素を存分にとるために、調味料として使う人もいます。
スイーツや料理に使えば、毎日の習慣として自然に取り入れられますね。
米麹から炊飯器で手作りする場合、時間がかかるのがデメリットです。
しかし、砂糖代わりに使うことを考えれば、手作りの価値は十分にあります。
毎日飲むスムージーや煮物料理まで、砂糖を使うものなら何にでも甘酒を入れてみてください。
生きてる酵素を、毎日の3食すべてに取り入れられます。
麹は発酵品なので、味に深みが出ておいしくなりますよ。
近年、精製した白砂糖を使わないなど、自然の持つ作用をそのまま食べるマクロビオティックという食習慣も人気です。
麹の作用による生きてる酵素を摂ることは、マクロビオティックの理念にも適っていますね。
甘酒で生きてる酵素を毎日摂りましょう
同じ麹から作る甘酒でも、発酵によって違うことが分かりました。
共通しているのは、生きてる酵素が含まれていることです。
元気で健康な体をキープするために、生きてる酵素を摂り続けるのは必須です。
それなら、無理のない方法で習慣にしたいですよね。
最後にご紹介した甘酒以外のアレンジも、ぜひ取り入れてみて下さい。
少しの量でも、飲んだり料理に入れたりして、自然に摂取しましょう。