米ぬかはコイン精米所などで、無料で手に入りますね。
ぬか床などのイメージが強いぬかですが、肥料として園芸にも使えることをご存知でしょうか。
では、どのようにしたら、ぬかを肥料として使えるのでしょうか?
もし、虫がわいてしまったら、どうしたらよいのでしょうか?
今回は、米ぬかで作れる肥料にまつわる疑問にお答えしたいと思います。
米ぬかは肥料として使える?
米ぬかとは、玄米を白米に精米するときに取れる、米の外皮や外胚乳などの粉のことです。
食用として、ぬか漬けなどの活用法以外に炒って食べたり、大根などのアクとりに使ったりと、様々な使い道があります。
また、布袋に入れてお風呂に浮かべてみたり、パックにしたりと、美容にも良いそうです。
では、米ぬかは、園芸には使えるのでしょうか。
米ぬかは、リン酸を多く含み、窒素やカリなども含む有機質肥料となります。
また、糖分やタンパク質も含んでいるため、土壌生物の活動を活発にさせる効果があります。
とても良い肥料に変化しますので、捨ててしまってはもったいないですね。
今回は、米ぬかを使った肥料の作り方をご紹介します。
家庭菜園をされている方は、ぜひ活用していただきたいと思います。
まず、米ぬかをそのまま肥料として使えるのか、虫がわかないために何に注意したらよいのか、ご説明します。
米ぬかはただ土に混ぜれば良い?虫をわかせないためには?
発酵していない米ぬかは、生の状態でまいてしまうと、アンモニアガスが発生してしまいます。
そうすると、植物の根を傷めることになりかねません。
生のまま、米ぬかをまいたりしないようにしましょう。
米ぬかを発酵させず、ただ土の表面に置いておくと、腐敗していき、匂いが発生してしまいます。
虫が産卵する時期にこれをしてしまうと、虫の温床になってしまいますので、注意しましょう。
うじ虫などがわいてしまい、大変なことになる可能性があります。
晩秋に、作物を育てていないところで、米ぬかを土と混ぜて埋めておきましょう。
そうすると、発酵して肥料として使えるようになります。
このように、シンプルに発酵させるだけでも良いのですが、一番のおすすめはビニール袋を使って、ぼかし肥料を作ることです。
さて、ぼかし肥料とは何でしょうか?
次の項で、ご説明します。
ぼかし肥料とは?米ぬかで肥料を作る方法
ぼかし肥料とは、米ぬかなどの有機肥料に、もみ殻や土を混ぜて発酵させて作る肥料のことです。
なぜこのような名前かと言いますと、土に肥料分を混ぜこんでぼかす、つまり薄めるからです。
有機肥料は微生物によって分解させることで効果が出てきますので、効果が出るまで時間が掛かります。
その点、ぼかし肥料はすでに発酵しているため、土の中の微生物が多く、植物に対しすぐ効果が表れるという利点があります。
また、有機質が原料であるため、効果がある程度持続するというメリットもあります。
では、米ぬかでぼかし肥料を作ってみましょう。
【材料】
・米ぬか 15kg
・油粕 5kg
・石灰 4kg
・発酵促進剤 300g
・水 7ℓ
【作り方】
①ビニールシートなどを広げ、その上で、すべての材料をしっかり混ぜてください。
水はジョウロでかけつつ、手でしっかり混ぜてください。
水は、多すぎてはいけません。
腐ってしまう原因となってしまいます。
水の量の目安としては、混ぜた材料を手で握ると固まり、指で触ると砕ける程度の硬さに調節します。
②ゴミ袋などのしっかりした袋に①を入れます。
空気を抜いて、しっかり密封し、常温で日陰に放置します。
冬なら2~3ヶ月は掛かりますが、それ以外の時期なら、1ヶ月ほどで発酵が終わります。
ヨーグルトのような甘酸っぱい香りがしたら、出来上がりです。
発酵が済んだ後は、乾燥させると発酵が止まります。
そのため、空気にさらしても大丈夫です。
その後、土嚢袋などに入れて、きっちり密封して保管します。
混ぜて放置するだけなので、簡単ですね。
次項に、肥料を作る過程で、虫がわいてしまった場合のことを考えていきましょう。
米ぬかの肥料に虫がわいた!もう使えないの?
米ぬかは、虫の大好物です。
そのため、虫がわくことは、大いにありうることです。
ただ、虫がわいても、肥料の効果には変わりはありません。
しかし、住宅地で虫がわいてしまうと、ご近所に迷惑が掛かりますよね。
虫が付いたままの肥料をまくのは抵抗があります。
そんなときは、虫がわいた肥料をビニールに入れて、日に当ててください。
日当たりの良い場所を選びましょう。
放置する時間は数日、は必要です。
虫は40~50℃で死んでしまいますので、これで退治できます。
退治方法はわかりましたね。
しかし、虫がわくことはごく自然なことです。
虫にあまり敏感にならなくても良いと思いますよ。
虫を退治することよりも、虫が来るのを防ぐことを考えておくことも大切です。
何かできることはあるでしょうか?
一番簡単なのは、肥料作りの際に表面をきっちりビニールで覆っておくこと、もしくはしっかり土で覆っておくことです。
虫がわいたときに、熱湯をかけて虫を退治する方もいるかもしれませんが、肥料の中の菌も死んでしまいますので、それはやめましょう。
では、虫がわきにくい米ぬか肥料の作り方はあるのでしょうか?
虫がわかないように『EM』ぼかし肥料を米ぬかで作る方法
『EM』とは、Effective Microorganismsの略です。
意味は、『共存する有用な微生物の集まり』となります。
自然界に生息している微生物の中から、有用なものを培養した、複合微生物集団を培養液としたものです。
環境保全型の農業資材として開発されました。
EMは各県のEM販売店で購入できます。
主な製品に、EM1号がありますが、EM1号:糖蜜:水を、1:1:50で混ぜるとEM活性液が作れます。
これを、ぼかし作りのときに使います。
EMを有機物である米ぬかなどと混ぜて、発酵・乾燥させたものがEMぼかしです。
EMぼかしは、熟成していれば、うじ虫などの虫が発生しません。
作り方は、米ぬか10kgとEM活性液2ℓと大きめのタライ、ジョウロと密封できるバケツと新聞紙です。
まず、米ぬかをタライに、EM活性液をジョウロに入れます。
そして、活性液を、上からかけて混ぜます。
ぎゅっと握ると固まるけれど、指で触れるとほろっと崩れるほどの硬さに、EM活性液の量を調整します。
密封できるバケツに入れ、軽く空気を抜いた後、新聞紙を表面で覆い、蓋をします。
夏場なら1ヶ月、冬場なら3ヶ月以上、直射日光の当たらない場所に置いて発酵させましょう。
甘酸っぱい匂いがしたら、出来上がりです。
天気の良い日に、薄く広げて乾燥させましょう。
これを生ごみと混ぜて発酵させると、肥料の出来上がりです。
このときも、土をかぶせて虫の発生を防ぎます。
米ぬかで作ったぼかし肥料の使い方
虫の発生おさえながら、米ぬかのぼかし肥料を作りたいですね。
それでは、米ぬかで作ったぼかし肥料を使った畑づくりの方法をご紹介します。
この肥料は、効果がじわじわと長続きするので、元肥としても利用できます。
元肥として使う場合は、畝(うね)の表層10cmくらいに堆肥とともに、すきこみましょう。
また、効き目が早いので、追肥にも向いています。
追肥として使う場合は、まず、作物の列の片側に溝を掘り、少しの米ぬか肥料を薄くまきます。
その上に土をかぶせ、水をかけて肥料を溶かします。
ぼかし肥料は、即効性で窒素含量も高いため、少量ですぐに効果が出ます。
効果が強く出すぎないために、使い始めは、少量ずつ使うのがコツです。
ぼかし肥料は、かなり早く窒素を放出します。
この窒素は、植物がすぐに吸収利用できるので、量を少なめに使うようにしてください。
やりすぎてしまうと、窒素過多になってしまいます。
効果が見られないようであれば、量が足りなかったということです。
様子を見ながら追肥してください。
肥料作りの際、虫はわかないように対処できる
いかがでしたか?
肥料作りの際、土をかけることなど、虫よけのためにできることをしっかりしておくことで、虫の発生を防げることがわかりましたね。
元肥にも追肥にも使える、即効性のある、ぼかし肥料を作る方法を今回はお伝えしました。
ぜひ活用してみてください。
そして、より家庭菜園や庭づくりを楽しんでください。