家庭菜園を始めるには、まず土づくりをすることになります。
土づくりでは堆肥を使うことになりますが、難しいのは、すき込む堆肥の量です。
プランター栽培・畑栽培では、堆肥の量が変わってきます。
今回は、家庭菜園での堆肥についてご紹介します。
家庭菜園の基本・土づくり
家庭菜園で野菜や花を育てることは、生長をこの目で見られることや成果が実り、野菜や果実を収穫できること、美しい花を愛でられることなど喜びがたくさんあります。
園芸店やホームセンターに行けば、手軽に種や苗を買うことができますし、家庭菜園を楽しんでいる人も増えています。
家庭菜園の初心者が、まず悩むのは、土づくりの部分です。
土づくりは、畑を作るうえで、大切な要素のひとつです。
家庭菜園を始めるために、土づくりや堆肥についてお話していきます。
植物は、土の中に根を這わせることで体を支え、その根から水分や養分を吸収して生長します。
植物によって、それぞれ合うタイプの土が違いますので、植物に合った土で育てることが大切です。
植物に合う土で育てれば、病気や害虫の被害にも合いにくくなります。
始めに、あなたが育てる植物に合う条件の土を知っておきましょう。
しかし、まだ初心者であれば、どのくらいの堆肥の量が必要かわかりませんよね。
まずは、基本の土づくりを学んでおきましょう。
家庭菜園で難しいのは堆肥の量
土づくりは、家庭菜園での野菜づくりには、とても大切な要素です。
野菜づくりをするために必要なのは、
・土づくり
・日光
・水やりと肥料
の3点です。
植え付け前には、熟成した堆肥を土にすきこみ、しっかりと耕しておきます。
基本的に、植物は根から酸素も取り込んでいます。
ですから、土にある程度の隙間がないと呼吸できなくなり、酸素不足になってしまいます。
土を充分に耕して土の中に空気を送り込み、腐葉土などを混ぜ込んで、土を粒の塊のような状態にしておくことが大切です。
同様に、植物に必要なのが肥料です。
土壌の水はけや保水性を良くし、養分を効果的に、長く効かせるために堆肥による土づくりがおすすめです。
バーク堆肥や牛糞堆肥は、有用微生物を多く含むので適しています。
堆肥を投入する量は、次の通りです。
▽畑
1㎡につき2kg
▽プランター
土の容量に対して20%程度
上記を目安として、投入してください。
家庭菜園で使う堆肥について
家庭菜園での土づくりに堆肥は欠かせないものですが、この堆肥についてお話します。
堆肥には2種類あります。
それぞれ施し方が違いますので、ご説明します。
▽植物性堆肥
わら・もみがら・おがくず・樹皮・落ち葉など、植物の繊維分を堆積または攪拌し、腐熟させて作ったものが植物性堆肥です。
腐熟を促進させるために、米糠・油粕・鶏糞・牛糞などが加えられることもあります。
窒素分が含まれていないため、肥料としての効果は見込めません。
ただ、土をフカフカにする効果は、とても高いことが特徴です。
動物性堆肥を含まない完熟植物性堆肥であれば、窒素分を含まないため、堆肥を施す量をあまり気にする必要はありません。
施す量は、1年に1度、1㎡につき2~3kg程度でOKです。
注意点としては、窒素分を含まないため、野菜を植え付ける際には、元肥として窒素肥料が必要になります。
また、完全な植物性堆肥であれば、石灰と混ぜてもアンモニアガスが発生しません。
▽動物性堆肥
動物性堆肥は牛糞や鶏糞、豚糞などの家畜糞から作られる堆肥です。
バーク・籾殻・おがくずなどを加えて腐熟させたものが主流ですが、100%家畜糞だけのものもあります。
動物性堆肥には、いくつか注意点があります。
・肥料効果が高いので、畑に大量に投入しすぎると、肥料やけなどになってしまうので注意してください。
・動物性堆肥は、窒素が豊富なので、石灰と一緒に畑にすき込むことはできません。
・窒素・カリを多く含むため、葉やつるばかりが茂ってしまう「つるぼけ」という状態になってしまいます。
・窒素・カリは雨に流されやすい成分なので、雨天時は避け、施したらすぐに耕しましょう。
・暑い時期になると、アンモニアガスや、有機酸などの有害物質が発生し、ガス障害などの被害を受けることがあります。
2種類の堆肥の特徴を知り、うまく使い分けられるようになるのが理想です。
プランターで栽培!堆肥の量が難しいときは培養土を使う
家庭菜園というと、プランター栽培か、庭で畑栽培かですよね。
最近では、貸し農園なども多く見かけるようになりましたので、たくさん育てたい場合は、貸し農園を借りるという手もあります。
しかし、一般的には自宅で育てる人がほとんどでしょう。
まずは、手を出しやすいプランター栽培についてご説明します。
プランターのサイズは、育てる野菜の大きさや、根を張る深さによって決めましょう。
自分で作った土を使って育てるのが理想ですが、堆肥の量などが難しいため、市販の野菜用培養土を使っても良いですよ。
市販の培養土を使う場合は、含まれている肥料に注意してください。
野菜によっては、多肥になりすぎてしまいます。
例えば、トマトは多肥になると、つるぼけになってしまいます。
こうなると、実が小さくなってしまうか、実らない可能性もあります。
野菜用培養土であれば、どんな野菜でも大丈夫というわけではありませんので、気を付けてください。
培養土を選ぶ際は、堆肥や発酵の進んだ有機質肥料を、多く含んだものを選ぶと良いですよ。
畑の土壌改良!堆肥をすき込む
自宅の庭に畑を作って家庭菜園をやる場合、土壌改良が必要になります。
普通の庭の硬く踏みしめられた土では、野菜は育ちません。
植え付ける前に、土壌改良と、耕して土をフカフカにしておくことが必要になります。
できるだけ有機質肥料や、堆肥を使って野菜を作り続けると、土中の菌が活性化して、土壌がどんどん改良されていきます。
初めて家庭菜園を作るのであれば、雑草や、小石などを取り除いておきます。
それが終わったら、次に天地返しという作業を行います。
天地返しとは、土の表層と深層を入れ替えることです。
スコップ・くわを使い、畑の土を30cmほど掘り起こして、地下にあった土を表に出します。
表に出すことで、地中の害虫、病原菌や雑草の根を寒さに晒して、退治することができます。
次に、堆肥のすき込みを行います。
野菜を植え付ける2~3週間前に、行いましょう。
量は、1㎡につき2~3kgです。
この堆肥の量は、植え付ける予定の野菜や、土の状態によって調節してください。
野菜を作る場合、初めて植え付ける土の場合は、多めにすき込みます。
畑の土壌改良!石灰を少量すき込む
家庭菜園の畑に、石灰の散布とすき込みを行う際には注意点があります。
日本では、酸性の雨が降るので、ほとんどの土は酸性に傾きがちです。
野菜によって違いはあるものの、多くの野菜は、アルカリ性の土を好みます。
そのため、土に石灰を施して、中性~アルカリ性に傾けておくことが大切です。
反応が強い消石灰や生石灰は使わず、穏やかな効き目の苦土石灰を使います。
1㎡あたり、100~120g程度の量の石灰を加えます。
石灰をすき込む際に気を付けなければいけないのが、アンモニアガスです。
石灰は、堆肥の窒素成分と反応して、アンモニアガスを発生させます。
アンモニアガスは、野菜に悪影響を及ぼしてしまいますし、せっかくの窒素成分が消滅してしまいます。
石灰を施す場合は、畑に先に石灰を混ぜ、1週間~10日ほど寝かして土になじんだら、堆肥を混ぜ込んでいきます。
最後に、うねを立てます。
植え付ける野菜の大きさによって、うねを作っていきます。
うねがなくても野菜は育ちますが、うねがあると根の周りに空気が入りやすくなるので、野菜の生育が良くなります。
くわを使って、うねを立てていきましょう。
これで、家庭菜園の畑づくりができました。
堆肥を使って土づくり
家庭菜園での土づくりは、最も大切な部分です。
フカフカになり、適した量の堆肥がすき込まれた土であれば、野菜は元気に育ちやすくなります。
少し注意しなければいけない部分もありますが、堆肥の性質を理解できれば、いろいろな野菜を育てていくうえで、役に立つことでしょう。