ダイエットをしている人が食事で一番制限しているのが、糖質と脂肪ではないでしょうか?
ただやみくもに制限するだけで、果たして良いのでしょうか?
実際にダイエットに活かすためにも、糖質や脂質の代謝に関わる時間などのメカニズムをしっかりと理解していきましょう。
脂肪とは?
それぞれの代謝にかかる時間の仕組みを知る前に、糖質とは何かをお話します。
脂質とはズバリ油のことで、肉や魚、その他には野菜にも含まれ、幅広い食材から摂取できます。
そして、身体全体にある脂肪細胞に蓄えられています。
脂質は、膨大なエネルギーを持っていて、糖質の2倍以上である、1g当たり9kcalもあります。
中性脂肪は1kgあたり7200kcalという、膨大なエネルギーの集まりです。
例えば、体重60kgで体脂肪率20%の人は、12kgもの脂肪を蓄えています。
つまり、12kg×9kcal=108000kcalもの膨大なエネルギーを、いつも蓄えていることになります。
では、なぜ、そんなに必要なのでしょうか?
人間は考えるときに脳を使う、寒い暑いで体温を保つように調整する、内臓を動かすといった生命を維持するための「基礎代謝」をしています。
脳のみ糖質を使いますが、それ以外、ほぼ中性脂肪をエネルギー源として使っています。
基礎代謝は、性別や年齢、体重で違いが出ますが、約1500~2000kcalです。
脳の消費量は約30%なので、残り70%のエネルギーが中性脂肪から出ています。
つまり、基礎代謝だけで、約1000kcal以上も毎日、中性脂肪から出ていることになります。
これだけ膨大なエネルギーが必要になると、身体は貯めようと働きます。
糖質と違い、中性脂肪は際限なく貯めることができるので、摂取を増やせば太り、制限すれば痩せます。
糖質とは?
脂質の次は、糖質をみていきましょう。
糖質とは、炭水化物から食物繊維を除いたもので、穀類や芋類、砂糖などから摂取できます。
糖質は、「単糖を構成成分とする有機化合物の総称である」と定義されています。
体内では、糖質を摂取すると胃で吸収されてブドウ糖になり、次に小腸で吸収される流れになっています。
さらに脂肪細胞に送られ、最終的に脂肪が蓄積されるので、糖質を過剰に摂取してしまうと、脂肪を蓄積してしまう結果になります。
逆に、糖質の摂取量を制限すると、脂肪を燃焼する効果も出てきます。
その理由は、糖質が足りないと脂肪を分解するメカニズムがあるためです。
したがって、糖質とは、脂肪を貯める要因でありながら、脂肪を燃焼する要因にもなり得るということです。
ちなみに、小腸で吸収されて血中に入ってきたブドウ糖の濃度を「血糖値」と言います。
血糖値を測ると、食品が吸収された時間がわかります。
糖質が脂肪に変わる仕組み
脂質や糖質の説明をしてきました。
ここでは、糖質が脂肪に変わる仕組みを説明します。
糖質がなぜ脂肪に変わるのかと言うと、血糖値が増えるからです。
糖質を摂取すると、血中のブドウ糖が増えます。
この状態を「血糖値が上がる」と言います。
血糖値が増えると、ブドウ糖が詰まって血管を傷つけ、血栓になることがあります。
そこで、インスリンという物質を膵臓(すいぞう)から分泌し、血中のブドウ糖を減らします。
インスリンには、血中のブドウ糖を筋肉や肝臓に運び、血糖値を下げる働きがあります。
肝臓や筋肉はブドウ糖を貯める「貯蔵庫」の役割があり、筋肉中に運ばれたブドウ糖は、運動エネルギーとなります。
インスリンは、糖質を過剰摂取しても多量に分泌されます。
そうなると、ブドウ糖も多量に肝臓や筋肉の貯蔵庫に運ばれてから貯められ、満タンになり、貯蔵庫からブドウ糖があふれ出ます。
あふれ出たブドウ糖は脂肪細胞に運ばれて、時間をかけて徐々に脂肪が蓄積されていきます。
筋肉内に運ばれたブドウ糖は、筋トレなどをすることで、運動エネルギーとして消費されます。
しかし、運動不足だったり筋肉量が少ない場合は、肝臓や筋肉の貯蔵庫は満タンになり、あふれ出てしまう原因になってしまいます。
これが、糖質が脂肪に変わる仕組みです。
ダイエットに効果的な糖質摂取の時間やタイミング
ここまでは、糖質や脂肪の代謝に関するメカニズムなどを説明しました。
筋トレ併用での、糖質摂取の時間やタイミングをみていきましょう。
①糖質摂取を筋トレ開始30分~1時間前にする
この時間に糖質を摂取すると、筋トレに使う運動エネルギーになり、効率的に燃焼します。
糖質を摂取していない状態と、筋肉の力を最大限に出せず、運動エネルギーになりません。
また、筋トレの途中で糖質が足りないと、筋肉を分解して糖を作るので、筋肉が合成されなくなります。
②糖質摂取を筋トレ終了30分以内にする。
この時間に糖質を摂取すれば、筋肉がつきやすくなります。
糖質を摂取すると、エネルギー不足で筋肉の分解を止めることができるからです。
筋トレをすると、筋肉中のエネルギーが使われて、不足状態に陥ると、筋肉を分解し糖を作ります。
この状態が続くと、筋肉の合成よりも筋肉の分解の方が多くなり、筋肉が付きにくい身体になります。
以上の2つのタイミングで、糖質を摂取するメリットは以下の通りです。
・筋トレの効果がアップ
・筋肉のつきやすい身体になる
・基礎代謝が上がり、痩せやすくリバウンドしにくい身体になる
また、このときに摂取する食品は、糖質がなるべく早く吸収される飴やあんぱん、バナナなどがおすすめです。
筋肉の合成をより効果的にするためには、タンパク質を約20~30g摂取することを推奨します。
糖質や脂質の消化時間は?脂肪に変わる時間はどのくらい?
糖質や脂質を含む食事をすると、まず最初に胃で消化されます。
消化が最も早いのは半熟卵で、1時間半で胃を通ります。
ご飯やうどんは約2~3時間で、バターは消化が遅く、半日です。
空腹ではないのに食事を摂取すると、ブドウ糖が血中へ溢れ出て、脂肪組織が全て貯め込みます。
食事を摂取すると、約6時間で空腹になります。
栄養の吸収は長くても約4時間で終わり、その後は、血糖値が徐々に下がるので、空腹になり始めます。
栄養の吸収が約4時間で終わるので、だいたいの人は1日3回、空腹になります。
その反対に、食事が終わって、約20~30分経ったころが、血糖値が一番高くなります。
また、脂肪は徐々に減って、血糖値を安定させようとします。
したがって、急激な運動をして糖質を使わない、もしくは脳をたくさん働かせない限り、血糖値はほぼ安定した数値を保つことになります。
脂肪になる前と脂肪になってから消費するのでは、効率的には、ほぼ違いはありません。
ただし、全て同じ時間で脂肪に変わるのではなく、食べたものが脂肪になるまでの時間は、摂取したものによって変わります。
糖質と脂質はどちらが脂肪になる時間が早い?
結論から言うと、脂質の方が先に脂肪になります。
脂質が脂肪に変わるのは約12時間で、糖質は約1~2日かかると言われています。
例えば、食べ過ぎた日から数えて3日以内に食事で調節行えば、脂肪がつくことを防げることになります。
また、タンパク質はダイエットに大切な栄養素です。
ただ、頭に入れておきたいのは、タンパク質と一緒に、脂質も多く含まれている食品が多いということです。
例えば、肉を食べるときは、脂質の多い肉の代わりに赤身の多い肉を選ぶようにすれば、ダイエットに有効です。
また、炭水化物は多くの糖質を含んでいます。
脂質よりは脂肪になる時間はかかりますが、脂肪に変わりやすいものをたくさん含んでいるので、ダイエットの食事としては気を付けてください。
「炭水化物抜きダイエット」も、脂肪に変わる糖質を制限することから流行っていますが、ただ摂取しないだけなら、基礎代謝量を落とすだけです。
玄米などの雑穀類には食物繊維がたくさん含まれているので、咀嚼回数が増えて満腹感が出て、便秘対策にもなりますので、極端に制限せずに適度に減らしましょう。
摂取したものが脂肪に変わるまでの時間は、脂質が多いのか糖質が多いのかで変わってきます。
そのため、脂肪に変わらないように、摂取したものによって、自分で調整することが必要になってきます。
欠かせない栄養素
ダイエットをするうえで、糖質と脂質の摂取を制限している人が多いと思います。
しかし、糖質も脂質も身体にとって、とても大切な栄養素です。
ただ制限するのではなく、食事が脂肪に変わるメカニズムを参考に、質の良いダイエットを目指しましょう。