夏と冬とで冷蔵庫の設定温度を変えたほうがいいの?

毎年やってくる夏は、年々暑くなっているのは気のせいでしょうか?

外の気温が高くなり、湿気の多い日は室内も蒸し風呂状態ですよね。

そんなときでも、毎日稼動してくれているのが冷蔵庫です。
その冷蔵庫は、気温が高くなる夏場は、温度調整する必要もあるのです。

冷蔵庫内の目安温度

冷蔵庫を製造するときは「室温が15~30℃において、冷蔵室内を0~10℃の範囲で調整ができること」とJIS規格で温度が決められています。

『夏の暑い日』『クーラーの効いた部屋』『冬の寒い日』『暖房が効いた部屋』などで室温が変わるときは、冷蔵庫内の温度も変わるので、冷蔵庫の温度を管理する必要があるのです。

温度管理は各メーカーにより異なりますので、お使いの冷蔵庫の説明書を確認して調整しましょう。

冷蔵庫内の場所によっても、温度は変わってきます。

冷蔵庫内の温度の目安は次の通りです。

☆冷蔵室は約3~6℃
すぐに食べる食品やデザート、お惣菜などの保存に適しています。

☆チルド室は約0~2℃
冷蔵室より低いチルド室は肉・魚・生クリーム・ヨーグルト・漬物など、冷凍には向かない食品の保存が適しています。

☆野菜室は約3~8℃
その名の通り野菜を保存する場所ですが、フルーツやドリンクも保存できます。

☆パーシャル室は約‐3~‐1℃
完全に凍らせるわけではないので、肉や魚などの保存に向いています。

☆ドアポケットは約6~9℃
外気に触れるドアポケットは、どうしても他のところと比べると温度は高めです。

☆冷凍室は約‐20~‐18℃
アイスクリームや冷凍された食品を保存しましょう。

☆製氷室は約-1℃
水が氷るのはー1℃なので、この温度になります。

夏と冬の室温で冷蔵庫の温度を調整しよう!

室内の温度が変わると冷蔵庫の温度の変わるとお伝えした通り、寒い冬場は室温も割と低くなるので、冷蔵庫は「弱」の設定にしてみましょう。

夏場は中に入っているものによって「中」あるいは「強」と、こまめに気を配ることが節電にもなりますし、食材を傷めない対策にもなります。

しかし、暑さを調整しにくい小さなお子様やお年寄りがいらっしゃったり、ペットを飼っていたり、暑いのが苦手な方などで、エアコンをずっと付けているご家庭もありますよね。

その場合は、室温もそれほど高くならないので「強」にする必要はありませんし、冷蔵庫の中に生の食材や、少量のものしか入っていない場合は「弱」の設定でも大丈夫ですよ。

生のものを入れたり、食材が増えた場合は「中」「強」と、冷蔵庫は室温や中に入っている食品や量によって変わっていきますので、その都度、適した温度にすることが大切です。

感覚では、なかなか分かりずらい冷蔵庫の適温を計ってくれる冷蔵庫用の温度計も販売されていますので、併用してみることをオススメします。

夏・冬に適した温度にしているのに冷蔵庫が冷えない原因①

夏や冬に適した温度にしているのに、「冷えないな」と感じたことはないですか。
そんなときに考えられる原因は、どんなことなのでしょうか。

☆ドアを開けたり閉めたりが頻繁にある

最も考えられる原因として挙げられます。
ドアを開けることで、冷えている冷蔵庫から冷気が逃げ、閉めることで温かい空気が入ってしまいます。

開け閉めの頻度が少ないなら問題は無いですが、開け閉めする回数が多ければ多いほど、冷蔵庫が冷えにくい状態になってしまうわけです。

☆ドアが長い時間開けている

ちゃんと閉めたはずでも、食材が挟まっていて閉まっていなかったり、飲み物を注ぐ時に開けっ放しにしていると、当然ながら冷気は逃げていきます。

きちんと閉まっているか、開けっ放しにしている時間は長くないかを、再度確かめましょう。

☆冷媒ガスに漏れが生じている

正常の冷蔵庫は側面に耳を当てて聞いてみると、水の流れる音が聞こえます。
水の音が聞こえない場合は、冷蔵庫を冷やすうえで大切な冷媒ガスが漏れている可能性があります。

この修理は高くつくこともあるので、修理費よりも買い替えをしたほうが安くなることがあります。
修理をする場合は、メーカーや業者に問い合わせてみてから検討してみましょうね。

☆詰め込み過ぎ

冷凍庫の場合は、詰め込むことで互いに冷やし合いますが、冷蔵庫の場合は逆です。

食材を隙間なく詰め込んでしまうと、冷気が循環しなくなります。
食材を置く間隔を開けて、冷気の流れがスムーズになるように収納しましょう。

夏・冬に適した温度にしているのに冷蔵庫が冷えない原因②

☆壁に冷蔵庫がくっついている

冷蔵庫は冷やすために意外と熱を放っています。
壁との隙間が無いと熱がこもってしまうので、メーカーの設置条件をもとに隙間を開けましょう。

左右に5mm以上、上部に40mm以上の余裕を持たせましょう。

☆大きなポスターやシールを貼っている

熱を放っている冷蔵庫ですから、ワンクッションあるだけで放熱の妨害になってしまいます。

☆長いこと見えない所は掃除していない

見えない冷蔵庫の周囲にはホコリがいっぱい。
ホコリがたまっていると、特にコンセント周りでは火事になるリスクもありますし、放熱の妨害にもなってしまいます。

定期的な掃除を心がけましょう。

☆冷蔵庫を設置して間もない

自宅に冷蔵庫を置いてコンセントを差しても、すぐに冷えるわけではありません。
冬場は1~2時間ほどで冷えても、夏場では1日経ってやっと冷えてくることもあります。

☆温かいままの料理を入れている

冷ますことなく冷蔵庫に料理を入れることは絶対に止めましょう。
温かい料理の熱が冷蔵庫の温度を上昇させて、ほかの食材を傷める原因になります。

しっかりと冷ましてから入れましょう。

☆吹き出し口が食品などで塞がれている

冷気の出ている吹き出し口が塞がれてしまうと、冷蔵庫が冷えないことはもちろんのこと、冷やそうと余計な電力を使いかねません。

吹き出し部分は、必ず開けておきましょう。

30年前の夏と比べると現在は暑い?最高気温は上がっている?

冷蔵庫の設定温度などがわかったところで、ここからは日本の気候の変化と冷蔵庫の歴史をみてみましょう。

夏が昔と比べると暑くなったという人も、多くいらっしゃるのではないでしょうか。

異常気象などで、特に暑い夏や冷夏を除いた1980年~1984年と2010年~2014年の、それぞれ5年間の猛暑日を見てみましょう。

☆東京1984年~1980年8月の猛暑日・真夏日・夏日の日数

  猛暑日 真夏日 夏日
80年  0日   5日 18日
81年  0日  16日 15日
82年  0日  20日 11日
83年  2日  17日 11日
84年  1日  26日  4日

5年間を平均すると猛暑日0.6日、真夏日16.8日、夏日11.8日、25度以下1.8日です。

☆東京2010年~2014年8月の猛暑日・真夏日・夏日の日数

   猛暑日 真夏日 夏日
2010年  6日  24日  1日
2011年  3日  18日  1日
2012年  4日  25日  8日
2013年  5日  25日  2日
2014年  4日  17日  8日

5年間を平均すると猛暑日4.4日、真夏日21.4日、夏日4.4日、25度以下0.8日です。

続いて気温です。

☆東京の1984年~1980年8月の最低、最高気温

 最低気温  最高気温
80年 21.2    32.2
81年 26.7    33.9
82年 25.6    33.0
83年 23.5    37.1
84年 26.5    35.0

☆東京の2010年~2014年8月の最低、最高気温

  最低気温 最高気温
2010年 28.9   37.2
2011年 22.9   36.1
2012年 29.4   35.7
2013年 28.5   38.3
2014年 23.0   36.1

昔と比べると、気温が高くなっているのがわかります。

さて、そんな昔の冷蔵庫はどんなものだったのでしょうか。

最初の国産冷蔵庫は家が買えるほど高かった?!

家電の中でも、なくてはならない冷蔵庫は、昔はどのようなものだったのでしょうか。

遡ること1870年、1万円札で有名な福沢諭吉が大学時代に高熱を出したことから、氷を作ろうと製造したことがきっかけで、日本の冷蔵庫が誕生しました。

1900年頃は木製の小さなタンスのようなものを氷冷蔵庫と言い、氷を中の上段に入れて氷から放たれる冷たい空気で、温度を保って食べ物を冷やしていました。

暑い夏は、すぐに食べ物が傷んでしまいますものね。

家庭用の冷蔵庫は米国の冷蔵庫をモデルとして、1930年に重量は157kg、容積は125ℓと、まるで金庫のような冷蔵庫が日本で初めて製造されたのです。

価格は720円で、この頃のお金に換算すると、なんと家が1軒建てられてしまうほどの高級品だったのですよ。

よっぽどのお金持ちのお宅か、高級レストランにしか置けない価格ですよね。

1950年頃になると「三種の神器」と呼ばれ、白黒テレビと洗濯機と肩を並べて、一般家庭でも冷蔵庫が使われるようになります。

1960年頃は冷凍食品が開発された時代で、それに合わせるように冷凍庫付きが販売され、1969年には現在でも見かける冷蔵庫と冷凍庫が分かれているタイプのものが誕生し、進化していったのです。

そして1973年、冷蔵庫と冷凍庫に加えて野菜室ができ、3ドアの冷蔵庫が販売されました。

この後は冷蔵庫を持っていない家庭はほぼ無く、一家に一台まで普及していったのです。

上手に冷蔵庫の温度を管理しよう!

毎日稼動していて、私たちの暮らしを支えてくれている冷蔵庫。

なくてはならないのに、あるのが当然になってきていますよね。

四季のある日本ですから、一年中同じ設定温度では、上手く冷蔵庫を使えていないのと同じことです。

そのときの温度や保管の仕方、食品によって上手に冷蔵庫の温度管理をしてみてください。