一生のうちで、家を建てるという経験は何度もあるわけではありませんね。
人生で一度の出来事なのですから、地鎮祭や上棟式の準備なんて、どうすればよいのか分からないでしょう。
今回は、地鎮祭、上棟式の準備についてや、お酒の種類などについてまとめましたので参考にしてみてください。
上棟式の前に行われる地鎮祭
わが国では古来、家を新築するにあたって上棟式という儀式が行われてきました。
今回はこの上棟式と地鎮祭について解説するとともに、その時に使用されるお酒の種類について述べます。
まず上棟式よりも前に行うのが地鎮祭です。
地鎮祭は土木工事を行う前や建物を建てる前に、工事の無事と建物の繁栄を神に祈る儀式です。
土木工事を行う土地や、建物を建てる土地の氏神の神主を呼んで地鎮祭を行います。
儀式としてはお供えをして祝詞を読みお祓いをして、施主が初めてその土地に鍬や鋤を入れます。
そんな地鎮祭は縁起が良い日を選んで行うことが多いようです。
吉日とされるのは、大安、先勝、友引で、午前中に行います。
神社への予約、儀式の準備の手配は施工会社に依頼するのが一般的です。
地鎮祭を行う時は、工事現場や建築現場の周囲に注連縄を張り、中央に祭壇を設けます。
施主は次のものを用意します。
・お供え物
米・酒・塩・水
・初穂料
神職への謝礼としてのお金
・榊
・湯のみなど
最後に全員でお神酒を頂くのに使います。
・半紙20枚
地鎮祭で用意するお酒の種類は
上棟式や地鎮祭など、土地に関する工事の際に行う儀式にはお酒を使用することが多いです。
ここでは、地鎮祭とお酒について解説します。
地鎮祭では化粧箱入りにして包装紙で包み「のし紙」をつけた清酒2升を「奉献酒」として奉げるのが一般的です。
のしの表書きは上部に「奉献」または「奉献酒」とし、下に施主の氏名や会社名を書きます。
地鎮祭が終了すると施主のお酒を神職へ渡して、親戚、来賓、施工業者からの奉献酒は施主側が受け取るのが一般的です。
個人の住宅の場合だと、家を建てる施主がお供えした奉献酒は神職へ渡して、親戚、職人さん、工務店、ハウスメーカーなどからの奉献酒は施主が頂くことが多いようです。
奉献酒として用いるお酒の種類ですが、銘柄に特に決まりはありません。
もっとも、縁起の良い名前の銘柄が選ばれることが多いようではあります。
例を挙げると、めでたい場合には定番の「松竹梅」、新たなことの始まりを意味する「夜明け前」、晴天を願って「天青」、その名の通り「福を呼ぶ旨酒、赤福酒」などがあります。
お酒の値段にも決まりはないので、予算に合わせて選ぶのが良いでしょう。
上棟式とは
ここまで地鎮祭と使用するお酒の種類について解説しましたが、ここからは上棟式について解説します。
上棟式は「じょうとうしき」と読みます。
建前、建舞、棟上げとも呼ばれることがあります。
新築の家が、柱、梁、棟まで完成した時に建物の守護神と匠の神を祭って棟上げまで工事が終了したことに感謝し、無事建物が完成することを祈願する儀式です。
上棟式は平安時代初期から行われ、中世に盛んになり、その後、多くの建築儀式が生まれましたが、江戸時代になって多くの建築儀式を代表する形で上棟式だけが行われるようになりました。
時代の変化とともに上棟式も変わりつつあります。
一般的に上棟式は家の土台が完成し、柱、梁、桁、力板などの骨組みが完成した後棟木を取り付けて補強する際に行います。
このように本来、上棟式は棟上げまで完成したことを喜ぶ儀式なのですが、現在では施主が職人さんをもてなす「お祝い」の意味が強くなっています。
また、地域によっても異なりますが、地鎮祭は神職を招いて行いますが、上棟式は現場監督が式を進めることがほとんどです。
上棟式の準備!お酒の種類などは?
ここから上棟式についてさらに詳しく解説します。
上棟式で施主が用意するもの
・塩、米、酒
建物の四方にまいて清め、上棟の儀を行う時に使います。
お酒の種類には決まりはなく、またどのランクのお酒でも構いません。
日本酒や焼酎を一升瓶か、場合によっては樽を使う場合もあるようです。
・神饌物
水、塩、米、お神酒、赤身の鮮魚、昆布、野菜、果物などを用意します。
地域によって異なるようです。
・上棟セット
吹き流しなどが含まれます。
棟梁が儀式を行う時に必要となります。
・休憩時のお茶
・昼食
弁当の仕出し屋などで1,000円から2,000円程度の弁当を人数分用意します。
・宴会用の飲み物と食事
お酒、ビール、ジュースなどの飲み物と3,000円から5,000円程度の宴会用の食事を人数分用意します。
・ご祝儀、引き出物
棟梁には20,000円から30,000円、他の大工さんには5,000円程度のご祝儀を人数分用意します。
上棟式の時、祝儀を渡す場合は引き出物を省略する場合もあるようです。
引き出物を渡すような時は、鯛、赤飯、昆布などの折詰や紅白饅頭やお酒など、縁起の良いものを用意します。
・餅まき用の餅
餅まきについては次の項で詳しく説明します。
どうして上棟式で餅まきをするの?
上棟式を行う時に、建物から餅や小銭をまいて、近隣の住民がそれを拾うという儀式が行われる場合があります。
これは散餅銭の儀という災いを払うための儀式で、上棟式をはじめ様々な神事の際に行われるものです。
家を建てるということは大きな災厄を招くという考え方があり、その厄を避けるために餅や小銭をまいて他人に持って帰ってもらうという考えから来ているようです。
家を建てるということは富があるということであり、その富を地域の共同体に分配することで災厄を避け、神饌でもあり保存食でもある餅や、富の象徴である小銭をまくことで地域の共同体の中での生活を円滑に行うための習慣であったようです。
紅白の餅を投げる由来については諸説あります。
源平合戦の時に平家の赤旗と源氏の白旗に分かれて戦ったことから、紅白の餅をまくことで敵味方の区別なく集まっている状態がめでたいという説や、赤は赤ちゃん、白は死や別れを意味し、その2つの色を組み合わせることで人生を表しているという説があります。
このように上棟式と言えば以前は餅まきのイメージが強かったのですが、最近は近所のつながりの希薄化から餅まきを行う家も減ってきています。
上棟式にかかわらず、日本のお祝いにはお酒が欠かせません。
そのため、用意するお酒の種類にもひと工夫が必要となってきます。
次の項で詳しく解説します。
お酒の種類で迷ったら名前で選んでみよう
上棟式やお祝いごとに最適な日本酒をいくつか紹介します。
・宴日和(うたげびより)
清涼感あふれる優しい甘さ、きめの細かいのど越しは宴の始まりに最適な1本です。
微発泡酒のはじける感覚が気分を盛り上げてくれます。
・越後鶴亀(えちごつるかめ)
米の選定から適切な洗米条件、最適な給水条件をそのつど設定し、熟練の技を駆使して原料米の特性を引き出した日本酒です。
・来福(らいふく)
来福の名は「福や来む 笑う上戸の 門の松」という俳句からとられたものです。
約十種類の酒造好適米と天然の花酵母を使用し、精米もできる限り自社精米し、酵母もほとんどが自社培養というこだわりのもと作られている日本酒です。
・一生幸福(いっしょうこうふく)
この日本酒はもともと山形県にある東洋酒造で作られていたのですが、後継者がいないということで2011年から酒造りをやめていました。
この酒蔵を東日本大震災で蔵が倒壊してしまった福島県浪江町の蔵元、鈴木酒造店が一生幸福ブランドとともに引き継ぎました。
幸福について考えさせられる銘柄です。
・福千歳(ふくちとせ)
自然界の乳酸菌を取りこんで造る「山廃仕込」によって醸造された日本酒です。
通常に比べ2~3倍の手間と時間をかけてじっくりと醸した日本酒本来の旨味があります。「福」「徳」「圓」の3本セットはお祝いのプレゼントとしても喜ばれそうです。
上棟式は、家を新築するという重要な人生の節目に行う大切な儀式です。
そういった大切な儀式だからこそ使用するお酒の種類にもこだわりたいものですね。
一生に一度の思い出
地鎮祭、上棟式は日本での昔からのしきたりでしたが、近年ではやはり省略する人が多いようですね。
地域の習慣がなくなりつつあるのは寂しいものですが、ご近所付き合いが減った現代では仕方がないのかもしれません。
しかし、もし上棟式を実施するのであれば、とても良い思い出になるでしょう。
一生に一度のことですので、検討してみてはいかがでしょう。