2018年にトランス脂肪酸の規制が始まるアメリカの取り組み

トランス脂肪酸は、身体に悪い、心臓病のリスクを高めるという理由で、世界各国で規制されています。

中でも、肥満大国といわれているアメリカの米食品医薬品局では、2006年から「トランス脂肪酸」の食品の含有量表示を義務付けていました。

アメリカでは、2013年にトランス脂肪酸の使用を段階的に禁止する方針を表明しています。

そして、いよいよ2018年6月、トランス脂肪酸の使用が原則禁止されます。

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トランス脂肪酸問題のはじまり

2003年、WHO/FAOのレポートで、トランス脂肪酸は心臓疾患のリスク増加と関与すると、発表されました。

このレポートで、トランス脂肪酸の摂取によるリスクとして指摘されたのは、虚血性心疾患と呼ばれる「心筋梗塞」「冠動脈の閉塞」「狭心症」の発祥、認知機能の低下があげられています。

さらに、脳萎縮や、認知機能低下が起きている高齢者では、トランス脂肪酸の血中濃度が高いことも、判明しています。

トランス脂肪酸を大量に摂取すると、人のリポタンパク質が増加することも心配されています。

リポタンパク質は、コレステロールの主成分の一つです。

そのため、トランス脂肪酸を大量に摂ることで、コレステロール値が上がり、動脈硬化や動脈瘤といった、血管の病気の要因になることも、考えられています。

さらに、動脈内皮での炎症により、アトピー性皮膚炎、アレルギーへの影響も提示されています。

こういった問題から、世界的にトランス脂肪酸の問題が取り上げられ、規制への動きがはじまりました。

最初に動きを見せたのが、デンマークです。

2003年には規制への取り組みを開始しています。

そして、2005年にはカナダが、包装された食品にトランス脂肪酸含有量の表示をすることを、義務付けています。

カナダに次いで2006年、アメリカでもトランス脂肪酸含有量の表示を義務付けていったのです。

トランス脂肪酸の規制がはじまるアメリカ

アメリカでは、2018年6月に、トランス脂肪酸に対する規制が開始されます。

2006年、米国食品医薬品庁(FDA)が全米薬学協会・全米科学アカデミーによる提言を受けて、食品の包装に、トランス脂肪酸の含有量の表示を義務付けました。

当初は、食品1人前あたりのトランス脂肪酸の含有量が0.5グラム未満の場合には、栄養表示に「0グラム」と表示しても良いとされていました。

FDAでは、トランス脂肪酸表示の義務化にあたり、栄養表示についての解説を公表しています。

充分な食事をしながら、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸及びコレステロールの摂取量を少なくするという、消費者の日常での食生活改善の助言を行っています。

FDAは2015年6月16日に、部分水素添加油脂を、安全な添加物から除外する規定を決定します。

さらに2018年6月、この規制によるトランス脂肪酸を作りだす食品への添加物の禁止がはじまります。

トランス脂肪酸は、加工食品の製造工程で、トランス脂肪酸そのものを、食品に添加しているわけではありません。

トランス脂肪酸を含む部分水素添加油脂が、GRAS対象から除外されます。

トランス脂肪酸の規制をするアメリカと日本の違い

アメリカでは2018年6月に、生活習慣病の予防のために、トランス脂肪酸の原因となる油を添加物として使用することが禁止されることになりました。

アメリカでは、すでに油脂の加工工程でできるトランス脂肪酸の含有量を、食品1人前当たり0.5グラム未満とする規制をしています。

しかし、従来のアメリカ型の食生活では、0.4グラムのトランス脂肪酸を含む食品を何品か食べると、一日の食生活で摂るトランス脂肪酸の量は、1グラムを超えます。

アメリカでは規制前のトランス脂肪酸の1日の平均摂取量が5.6グラム、規制をはじめてからでも、2グラムを超えています。

日本人は欧米型の食事もしますが、基本的にパン食よりもご飯食、和食が中心になります。

そのため、日本人が1日に摂るトランス脂肪酸の量は、わずか0.5グラム~0.9グラムで、アメリカの人が2品食べたときの、摂取量と同じかそれを下回ります。

これは、肉の脂身やバター・生クリーム・魚油に含まれる、天然由来のトランス脂肪酸の摂取量から摂る量が、圧倒的に少ないからです。

そのため、日本では、あえてトランス脂肪酸の量を加工食品で規制することがなくても、アメリカのような摂りすぎを起こすことは、ほとんどありません。

日本でトランス脂肪酸の問題に揚げられていた食品はマーガリンでした。

マーガリンを作るメーカーでは、トランス脂肪酸量を減らした商品の開発が進み、1997年を上限に、年々トランス脂肪酸の摂取量が減少しています。

そのため、日本ではトランス脂肪酸の規制を、農林水産省では行っていません。

トランス脂肪酸の規制をするアメリカ以外の国

赤い血が滴るようなハンバーガー、生クリームがたっぷりのったマフィンやカップケーキが好きなアメリカ人の食生活。

ホットドッグにピザ、脂身を抜いた肉を好んで食べる人は、少数です。

アメリカ人は、大量の天然のトランス脂肪酸を、毎日のように摂取しています。

アメリカほどではありませんが、バターやチーズ・パン・肉・油を大量に消費するスイスやフランス・アイスランドでは、日本の1.2倍~2倍のトランス脂肪酸を摂取しています。

デンマークでは2003年から、トランス脂肪酸の規制への取り組みが始まっています。

トランス脂肪酸について、最終製品に含まれる油脂100グラム中2グラムを超えてはならないとする規則があります。

故意により、違反により健康に悪影響やリスクの増加をもたらすと、最高2年の禁固刑という罰則が定められています。

そのため、油脂100グラム中2グラムを超えるトランス脂肪酸を含んでいた製品の割合は、デンマーク国内には、ほとんど存在しません。

EUでは乳幼児用の調整乳のトランス脂肪酸の量は、『総脂質の3%を超えてはいけない』という規制がありますが、それ以外は各国の規制に任せています。

スイスでは、世界でデンマークに次いで2番目に、トランス脂肪酸の含有量の規制が行われました。

食用植物油脂100グラム中のトランス脂肪酸の量は、2グラムを超えてはいけないとされています。

トランス脂肪酸の規制とアメリカ大陸

アメリカの隣国、アメリカ大陸の北に位置するカナダは、世界で最初に包装された食品に、栄養表示の一つとして「トランス脂肪酸」の表示を義務づけた国です。

2018年9月からは、部分水素添加油脂の食品の使用が禁止されます。

カナダでの規制は、アメリカとほぼ同じで、部分水素添加油脂を『水素が添加されており、ヨウ素価が4を超える油脂』としています。

カナダ保健省が率先して、トランス脂肪酸の規制に取り組んでいるのです。

健康大国と呼ばれるカナダは、高血圧患者数が少なく、世界196ヵ国中で最も少ないとされています。

しかし、肥満者数は多く、人口の60%以上がBMI値25を超える肥満です。

さらに、BMI値30を超える人が、25%近くいます。

一方、肥満者数が25%を下回る日本では脂質が原因ではなく、塩分の摂りすぎが原因の高血圧患者が多いため、評価は下位に位置します。

日本では、成人の40%を超える人が、高血圧といわれているのです。

トランス脂肪酸の規制をしない日本

日本ではトランス脂肪酸の規制の必要性がないとされていますが、それは現在の平均値からの結論です。

日本は他国とは比較にならないほどの、多国籍の食があふれています。

従来の和食を中心とした食生活を送っている人は天然由来のトランス脂肪酸を摂ることはあっても、摂りすぎになることはありません。

白飯・味噌汁・漬物・和え物・焼き魚・煮豆では、魚油に含まれる僅かなトランス脂肪酸を摂取するくらいです。

煮物に含まれている鶏肉の脂身、玉子焼きに使うサラダ油、しゃぶしゃぶでは肉の脂を抜いて食べる習慣があります。

トランス脂肪酸が問題になるような量を摂取するどころか、脂質が不足する人もいるくらいです。

特に高齢者は、脂質の不足が骨粗鬆症や筋肉の衰えに繋がり、骨折して歩けなくなり、寝たきりになってしまうこともあります。

反面、若い人たちの間ではパン食・シリアルを朝食にし、肉や乳製品を好み、ジャンクフードやピザを食べるアメリカ型の食習慣をする人が増えています。

そのため、トランス脂肪酸の摂取量の平均値が、年齢によってばらつきがあるのです。

肉や揚げ物、スナック菓子が好きな人は、日本人であっても、自主的にトランス脂肪酸による心疾患を引き起こすことになります。

トランス脂肪酸に対する日本での取り組み

日本では、農林水産省がトランス脂肪酸の規制をしないことを発表しています。

しかし、企業ではすでに、トランス脂肪酸の量を減らす取り組みを行っているからです。

市販されてい多くのマーガリンでは、すでに10グラム中、わずか0.1グラム以下になっています。

これは世界の基準を下回る数値です。

日本は元々、食品添加物や賞味期限に対する規制が、とても厳しい国だからといえるからでしょう。

それを念頭において、トランス脂肪酸問題を考えてみてください。