醤油の熟成!作り手が求める味は長さや回数によって決まる

醤油は原料を熟成して作る、発酵食品です。

実は、同じ発酵食品の納豆やキムチと比べて、熟成の方法が広く知られていません。

醤油はいろいろなメーカーや種類がありますが、熟成方法も違うのでしょうか?

あまり知られていない醤油の熟成の基本から、種類の違いまでご紹介します。

スポンサーリンク

関連のおすすめ記事

醤油のパッケージが新しくなって変わった?使い方や置き場所

スーパーの陳列棚にある醤油は、200~450mlほどの小型のものや、密封容器、一滴ずつ注ぐノズル...

トランス脂肪酸がアメリカで禁止の理由は摂取量が多いから!

摂りすぎると健康に悪影響を及ぼすといわれるトランス脂肪酸が、いよいよアメリカで禁止されることにな...

種類別カロリー比較!お菓子のカロリーが高いものはどれ?

女性はお菓子が大好きですね。しっかり食べても「お菓子」は別腹という人もいます。しかしその...

食生活改善ダイエットが上手くいかないアメリカの事情とは?

アメリカ発のダイエット法や運動マシーン、よくテレビでやっていますね。しかし、○○で大成功した...

「味噌豚丼」は秩父の名物!お土産を使ったレシピもご紹介!

突然ですが、皆さんは「味噌豚丼」をご存知でしょうか?秩父の名物として有名で、味噌で味を付けた...

江戸時代の人々の食事は玄米ではなく白米を食べていた!?

江戸時代の食事はどのようなものだったか皆さんはご存知でしょうか?玄米や雑穀などを食べていたので...

韓国と日本の違い。食文化の違い、習慣やマナーの違いとは?

韓国と日本は割と近いので旅行で行かれる方も多いのではないでしょうか。主食がお米ということもあり...

キャンプ料理を自慢したい!ブログでおしゃれキャンプに挑戦

話題になったグランピングなどが影響して、キャンプブームが到来しています。キャンプブームの火...

ビーフシチューを夕飯の献立に加えて楽しい食卓を

ビーフシチューと言えば人気の高い洋食ですが、その実態はなんなのでしょうか?今回は、そのビーフシチ...

日本製の醤油は外国人にとっても日常に欠かせない存在

醤油は今や、外国人にとっても欠かせない調味料として存在感を発揮しています。醤油の海外出荷量は...

日本の不思議な食文化とは?関東と関西に見る地域による違い

日本では、関東と関西で食文化が大きく異なります。関東に住んでいる人が関西に行けば、その文化に...

江戸時代の生活ってどんな生活?農民の生活、食生活について

皆さんが思い描く江戸時代の農民の生活は、洋服や家は古く、苦しい生活を強いられているというイメージを...

食パンでお手軽&美味しい朝食を♪相性抜群の卵をフル活用!

忙しい朝食に重宝する食材と言えば”卵”ですね。そのまま焼いて目玉焼き、トロトロ食感のスクランブ...

体の芯からあったまろう!美味しい味噌風味鍋のおすすめ6選

日本人が古くから親しんできた鍋料理。寒い冬には体をあたためる料理として、食卓に欠かせない存在...

コップ・カップ・グラス・タンブラーの違いや特徴について!

私達が生きるうえで、水分摂取はしなければなりませんよね。そこで皆さんは、飲み物を飲む時に何を...

スポンサーリンク

醤油は微生物によって熟成される

醤油の主な原料は、大豆と小麦です。

この2種類の穀物がどのようにして、あの黒い液体に変化するのか不思議ですよね。

答えは、醤油は微生物によって熟成されるためです。

そして、見た目だけでなく、旨味も香りもまた、微生物による作用なのです。

生産量の8割を占める濃口醤油を例に、作り方を見てみましょう。

①同量の大豆と小麦を混ぜて、麹菌を付けて麹を作ります。

(ひとつめの微生物、麹菌が作用します)

②麹を食塩水につけて発酵させ、もろみを作ります。

③もろみを6ヶ月から1年かけて熟成して搾ります。

(乳酸菌、酵母が作用します)

④搾ったもろみから粕を除いて、火入れ、ろ過して醤油の出来上がりです。

こうして、醤油は3種類の微生物が熟成して完成するのです。

醤油の熟成は、麹菌の働きがおいしさのカギ

では、3種類の微生物の作用によって、醤油はどのようにおいしくなるのでしょうか。

まず、麹菌です。

醤油作りで使う麹(大豆と小麦と麹菌)を、醤油麹、といいます。

ほかにも、米からできたのなら米麹、大豆からできたのなら豆麹などといいます。

醤油は麹作りからはじまりますが、麹は発酵食品には欠かせないものです。

日本酒や甘酒は、米麹を熟成させてできています。

豆味噌は豆麹を熟成して作られます。

このように、醤油や味噌、ほかにもみりんや酢など、昔の調味料は麹を熟成して作られているものが多いのです。

麹菌の主な作用は、酵素による栄養素の分解です。

・大豆が持つタンパク質をアミノ酸に分解します。

アミノ酸は旨味の元となり、いかに多く増やすかが、おいしい醤油作りのカギになります。

・小麦のデンプンをブドウ糖に分解します。

ブドウ糖はアルコールの元です。

油の甘味や香りを作ります。

これらの旨味成分を引き出すために、麹菌の働きは醤油の熟成に必須なのです。

乳酸菌による熟成がおいしい醤油を作る

麹菌の酵素が分解したブドウ糖は、乳酸菌の働きを活発にします。

乳酸菌が活発になる条件が整ったら、ここから熟成がはじまります。

実は、麹菌が旨味や甘味、香りのもとを作りましたが、これだけでは醤油の味にはなりません。

ここまでは、少しぼんやりとした醤油という印象です。

そこで、乳酸菌の作用によって、酸味を出すのです。

乳酸菌といえばヨーグルトです。

酸っぱいイメージが湧きますよね。

醤油のおいしさにも、酸味が重要です。

基本五味(甘味・塩味・酸味・苦味・旨味)は、異なる味覚が合わさることで、おいしさが何倍にも高まります。

旨味と酸味が重なれば、さらに味に広がりを感じます。

このように、乳酸菌による熟成も醤油の美味しさには、欠かせないものです。

おいしさをはかる指標のひとつ、酸性値があります。

食品を最もおいしく感じるのは、ph(酸性の数値)が4~5の弱酸性です。

乳酸菌が働く前はphが高く、ぼんやりとした味です。

しかし、乳酸発酵が進むと、もろみが少しずつ酸性になります。

乳酸菌による熟成を経て、味のバランスがとれるのです。

酵母菌は2回の熟成で香りがよくなる

麹作り、乳酸菌の熟成を経て、最後は酵母菌による熟成です。

麹菌の説明では、ブドウ糖はアルコールの元、とお話しました。

ブドウ糖から作られたアルコールは、醤油にも含まれています。

酵母は「主発酵酵母」と「後熟酵母」に分かれます。

先にアルコール発酵をするのが主発酵酵母です。

アルコール発酵により、ふわっとした香りを作ります。

さらに、乳酸菌の熟成で生まれた酸が、爽やかな香りを与えます。

後熟酵母による熟成は、小麦の皮の成分をもとに酵母菌が作用します。

醤油らしい燻製のような香りになります。

これ以外にも、酵母によってさまざまな香り成分が作り出されます。

これらの香りが複雑に織りなして、醤油のよい香りになるのです。

そして大切なのは、麹菌、乳酸菌、酵母菌の順番に熟成しなければいけません。

麹菌から作られたものに、乳酸菌が反応し、この成分に酵母菌が反応するのです。

気温や湿度が保たれていないと順番に熟成できず、おいしい醤油が作れません。

醤油の熟成期間は長いほうがよい?

もろみの熟成には、通常6ヶ月~1年の期間が必要です。

しかし、市販品ではない、醤油蔵元が出す醤油のラベルには、「三年熟成」や「五年熟成」という表記がある醤油があります。

年数が長いほうが、手間をかけておいしそうな印象です。

熟成が長ければ長いほど、おいしい醤油なのでしょうか。

JASマークがついた醤油に、「長期熟成」という表記があれば、1年以上を意味します。

このことから、

「熟成は1年以上から長い」

といえます。

ちなみに、お値打ちな価格の醤油の熟成期間は6ヶ月です。

本来、自然発生する乳酸菌や酵母を人為的に添加して、製造期間を短くしています。

添加で味が劣るのではないのです。

熟成期間が短ければ、製造コストが安くなり、販売価格に反映できます。

お値打ちな価格で使ってほしいという、メーカーの気持ちです。

一方で、小規模で老舗の醤油蔵に多いのが、長期熟成です。

長年にわたり、管理が行き届く範囲で作り続けていて、蔵独自の味を看板にしています。

仕込み蔵や木樽には、乳酸菌や酵母が棲んでいます。

仕込みの微生物と合わせて熟成環境は最適です。

熟成期間は、長ければよいとは一概にはいえません。

メーカーがどのような醤油を作りたいかによって決まるのです。

醤油の熟成を2回繰り返す再仕込み醤油とは?

醤油好きにはおなじみ、二段熟成醤油、という種類もあります。

JAS規格では、再仕込み醤油という種類です。

商品裏の食品表示には、「さいしこみしょうゆ」と明記してあります。

「二段」や「再仕込み」という名前の通り、2回熟成をした醤油です。

もろみを搾ってできた醤油に麹を入れて、もう一度熟成をします。

麹は大豆と小麦でできています。

そのため、麹を2回使う再仕込み醤油は、原料も熟成期間も2倍要します。

手間がかかるため流通量が少ないのですが、小規模蔵元が手掛けていて、日本各地に点在しています。

再仕込み醤油はどのような味なのでしょうか。

見た目は濃厚な黒さで、どろりとしていて辛そうです。

濃口醤油との違いを見るため、数値を比較します。

まず、醤油の旨味を示す窒素分は、

・濃口醤油 1.5~1.6%
・再仕込み醤油 1.6~2.5%

と、倍近くの数値を示しています。

一方で塩分濃度は、

・濃口醤油 16~17%
・再仕込み醤油 12~14%

濃口醤油に比べて、低めです。

これらは熟成が長い分旨味も多く、品質安定のための食塩水もあまり必要としないからです。

再仕込み醤油は、刺身や寿司と相性がよいです。

しかも塩辛くないので、鮮度のよさをジャマしない後味です。

旅先の魚がおいしい地域で、ご当地の再仕込み醤油に、偶然出会うかもしれませんね。

使い分けて熟成による味の違いを知ろう

再仕込み醤油以外にも、熟成方法によって種類がいろいろあり、本当に奥深い調味料です。

スーパーや旅行先のお土産屋さんの醤油に、「熟成」と書いてあれば、ぜひラベルを見てください。

食品表示や商品説明に、熟成にこだわる作り手の熱意を感じることでしょう。

もし気になった商品があれば、いつもの醤油と使い分けをしてみませんか?