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醤油の熟成!作り手が求める味は長さや回数によって決まる

      2018/03/12

醤油の熟成!作り手が求める味は長さや回数によって決まる

醤油は原料を熟成して作る、発酵食品です。

実は、同じ発酵食品の納豆やキムチと比べて、熟成の方法が広く知られていません。

醤油はいろいろなメーカーや種類がありますが、熟成方法も違うのでしょうか?

あまり知られていない醤油の熟成の基本から、種類の違いまでご紹介します。

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醤油は微生物によって熟成される

醤油の主な原料は、大豆と小麦です。

この2種類の穀物がどのようにして、あの黒い液体に変化するのか不思議ですよね。

答えは、醤油は微生物によって熟成されるためです。

そして、見た目だけでなく、旨味も香りもまた、微生物による作用なのです。

生産量の8割を占める濃口醤油を例に、作り方を見てみましょう。

①同量の大豆と小麦を混ぜて、麹菌を付けて麹を作ります。

(ひとつめの微生物、麹菌が作用します)

②麹を食塩水につけて発酵させ、もろみを作ります。

③もろみを6ヶ月から1年かけて熟成して搾ります。

(乳酸菌、酵母が作用します)

④搾ったもろみから粕を除いて、火入れ、ろ過して醤油の出来上がりです。

こうして、醤油は3種類の微生物が熟成して完成するのです。

醤油の熟成は、麹菌の働きがおいしさのカギ

では、3種類の微生物の作用によって、醤油はどのようにおいしくなるのでしょうか。

まず、麹菌です。

醤油作りで使う麹(大豆と小麦と麹菌)を、醤油麹、といいます。

ほかにも、米からできたのなら米麹、大豆からできたのなら豆麹などといいます。

醤油は麹作りからはじまりますが、麹は発酵食品には欠かせないものです。

日本酒や甘酒は、米麹を熟成させてできています。

豆味噌は豆麹を熟成して作られます。

このように、醤油や味噌、ほかにもみりんや酢など、昔の調味料は麹を熟成して作られているものが多いのです。

麹菌の主な作用は、酵素による栄養素の分解です。

・大豆が持つタンパク質をアミノ酸に分解します。

アミノ酸は旨味の元となり、いかに多く増やすかが、おいしい醤油作りのカギになります。

・小麦のデンプンをブドウ糖に分解します。

ブドウ糖はアルコールの元です。

油の甘味や香りを作ります。

これらの旨味成分を引き出すために、麹菌の働きは醤油の熟成に必須なのです。

乳酸菌による熟成がおいしい醤油を作る

麹菌の酵素が分解したブドウ糖は、乳酸菌の働きを活発にします。

乳酸菌が活発になる条件が整ったら、ここから熟成がはじまります。

実は、麹菌が旨味や甘味、香りのもとを作りましたが、これだけでは醤油の味にはなりません。

ここまでは、少しぼんやりとした醤油という印象です。

そこで、乳酸菌の作用によって、酸味を出すのです。

乳酸菌といえばヨーグルトです。

酸っぱいイメージが湧きますよね。

醤油のおいしさにも、酸味が重要です。

基本五味(甘味・塩味・酸味・苦味・旨味)は、異なる味覚が合わさることで、おいしさが何倍にも高まります。

旨味と酸味が重なれば、さらに味に広がりを感じます。

このように、乳酸菌による熟成も醤油の美味しさには、欠かせないものです。

おいしさをはかる指標のひとつ、酸性値があります。

食品を最もおいしく感じるのは、ph(酸性の数値)が4~5の弱酸性です。

乳酸菌が働く前はphが高く、ぼんやりとした味です。

しかし、乳酸発酵が進むと、もろみが少しずつ酸性になります。

乳酸菌による熟成を経て、味のバランスがとれるのです。

酵母菌は2回の熟成で香りがよくなる

麹作り、乳酸菌の熟成を経て、最後は酵母菌による熟成です。

麹菌の説明では、ブドウ糖はアルコールの元、とお話しました。

ブドウ糖から作られたアルコールは、醤油にも含まれています。

酵母は「主発酵酵母」と「後熟酵母」に分かれます。

先にアルコール発酵をするのが主発酵酵母です。

アルコール発酵により、ふわっとした香りを作ります。

さらに、乳酸菌の熟成で生まれた酸が、爽やかな香りを与えます。

後熟酵母による熟成は、小麦の皮の成分をもとに酵母菌が作用します。

醤油らしい燻製のような香りになります。

これ以外にも、酵母によってさまざまな香り成分が作り出されます。

これらの香りが複雑に織りなして、醤油のよい香りになるのです。

そして大切なのは、麹菌、乳酸菌、酵母菌の順番に熟成しなければいけません。

麹菌から作られたものに、乳酸菌が反応し、この成分に酵母菌が反応するのです。

気温や湿度が保たれていないと順番に熟成できず、おいしい醤油が作れません。

醤油の熟成期間は長いほうがよい?

もろみの熟成には、通常6ヶ月~1年の期間が必要です。

しかし、市販品ではない、醤油蔵元が出す醤油のラベルには、「三年熟成」や「五年熟成」という表記がある醤油があります。

年数が長いほうが、手間をかけておいしそうな印象です。

熟成が長ければ長いほど、おいしい醤油なのでしょうか。

JASマークがついた醤油に、「長期熟成」という表記があれば、1年以上を意味します。

このことから、

「熟成は1年以上から長い」

といえます。

ちなみに、お値打ちな価格の醤油の熟成期間は6ヶ月です。

本来、自然発生する乳酸菌や酵母を人為的に添加して、製造期間を短くしています。

添加で味が劣るのではないのです。

熟成期間が短ければ、製造コストが安くなり、販売価格に反映できます。

お値打ちな価格で使ってほしいという、メーカーの気持ちです。

一方で、小規模で老舗の醤油蔵に多いのが、長期熟成です。

長年にわたり、管理が行き届く範囲で作り続けていて、蔵独自の味を看板にしています。

仕込み蔵や木樽には、乳酸菌や酵母が棲んでいます。

仕込みの微生物と合わせて熟成環境は最適です。

熟成期間は、長ければよいとは一概にはいえません。

メーカーがどのような醤油を作りたいかによって決まるのです。

醤油の熟成を2回繰り返す再仕込み醤油とは?

醤油好きにはおなじみ、二段熟成醤油、という種類もあります。

JAS規格では、再仕込み醤油という種類です。

商品裏の食品表示には、「さいしこみしょうゆ」と明記してあります。

「二段」や「再仕込み」という名前の通り、2回熟成をした醤油です。

もろみを搾ってできた醤油に麹を入れて、もう一度熟成をします。

麹は大豆と小麦でできています。

そのため、麹を2回使う再仕込み醤油は、原料も熟成期間も2倍要します。

手間がかかるため流通量が少ないのですが、小規模蔵元が手掛けていて、日本各地に点在しています。

再仕込み醤油はどのような味なのでしょうか。

見た目は濃厚な黒さで、どろりとしていて辛そうです。

濃口醤油との違いを見るため、数値を比較します。

まず、醤油の旨味を示す窒素分は、

・濃口醤油 1.5~1.6%
・再仕込み醤油 1.6~2.5%

と、倍近くの数値を示しています。

一方で塩分濃度は、

・濃口醤油 16~17%
・再仕込み醤油 12~14%

濃口醤油に比べて、低めです。

これらは熟成が長い分旨味も多く、品質安定のための食塩水もあまり必要としないからです。

再仕込み醤油は、刺身や寿司と相性がよいです。

しかも塩辛くないので、鮮度のよさをジャマしない後味です。

旅先の魚がおいしい地域で、ご当地の再仕込み醤油に、偶然出会うかもしれませんね。

使い分けて熟成による味の違いを知ろう

再仕込み醤油以外にも、熟成方法によって種類がいろいろあり、本当に奥深い調味料です。

スーパーや旅行先のお土産屋さんの醤油に、「熟成」と書いてあれば、ぜひラベルを見てください。

食品表示や商品説明に、熟成にこだわる作り手の熱意を感じることでしょう。

もし気になった商品があれば、いつもの醤油と使い分けをしてみませんか?

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