本来、ダイエットという言葉はイコール「痩せる」ということではありません。
美容や健康維持のために、食事の量や種類を制限する規定食のことを意味します。
美容や健康のために、食事改善によって摂る規定食そのものがダイエットということになりますね。
しかし、日本ではダイエットを痩せる、という意味で使ってしまいます。
よく考えると、目的がダイエットというのは、おかしな言葉なのかもしれません。
今回は、食事改善とダイエットについてご紹介しましょう。
食事改善のダイエットは「痩せ型」が目的ではない
皆さんは、どんな目的で食事改善やダイエットをしますか?
最近では、日本以外の国でも、ダイエットは「痩せる」という意味で通用するようになっています。
しかし、それはガリガリに痩せるのではなく、健康的な体型にすることが目的のダイエットです。
日本は、先進国諸国の中で、20代女性のBMI値「痩せ型」の人の割合が最も高い国です。
中には痩せすぎの人もいて、2位の韓国にも大差をつけています。
特に、2010年は全国の20代女性のおよそ29パーセント以上がBMI値18.5以下の痩せ型であると問題になりました。
2014年以降、その比率は減少しましたが、今は19歳以下の中高生の男子の26パーセント以上がBMI値18.5以下の痩せ型となり、問題になっています。
「痩せているのだから問題ない」と思われるかもしれませんが、痩せすぎは体脂肪だけでなくたんぱく質も不足しています。
そのため、低血圧・筋力の低下・抜け毛・貧血・生理不順・不妊症などの原因になります。
BMI値が17を下回ると女性ホルモンの分泌が低下し、骨粗鬆症の恐れもあると言われています。
しかし、日本では、ダイエットは痩せることと勘違いをしている人が多くいます。
不健康な身体になる痩せ方は、ダイエットではありません。
肉や牛乳・乳製品を毎日摂って、筋肉や骨をしっかりとつけて適正の体重になるようなダイエットを心がけましょう。
健康な身体を作ってこそのダイエットです。
年齢別の特徴的体型と食事改善の目的
それでは、肥満はどうでしょうか。
肥満が問題になるのは、女性よりも男性の方が多いです。
10代で10パーセント、20代で20パーセント、30代では27パーセントの男性が肥満となっています。
肥満は、BMI値が25以上の人を指します。
しかし、男性の場合は筋肉がついているために、女性よりも肥満の中に入っている人が多くなってしまいます。
そのため、「数字の上では肥満になりますが、実際には腹囲の周径で肥満ではない」という人も中にはいます。
しかし、50代以上の男性は36パーセントが肥満と言われています。
50代以上で、筋肉で体重があるというのは、それほど多いとは言えませんので、やはり男性の中年太りは気を付けなければいけないのかもしれませんね。
女性も、年齢が高くなると肥満の割合が増加します。
10代の女子の肥満率が4パーセント以下に対して、20代で10パーセント、30代で15パーセントになります。
40代を超えると、およそ20パーセントが肥満になりますので、5人に1人は気を付けなければいけないということですね。
20代は肥満も痩せ型も多く、標準の人はわずか60パーセント強にしかなりません。
そう考えると、本当のダイエットの目的では、20代の女性はもっと体重を増やすための食事改善をした方が良いのかもしれません。
そして、40代を過ぎたら女性も男性も、肥満予防目的での食事改善が必要となります。
食事改善のダイエットで目的は達成できない
適正体重の女性が痩せたがる、ダイエットについてお話をしましょう。
10代や20代の女性の皆さんは、どうしても「痩せていると綺麗」だと勘違いしてしまっています。
そのために、素人判断の無茶なダイエットをしている人もいますね。
そこで、「なぜ痩せたいのか、なぜ気になるのか」を10代の女性に聞くと、次のような答えが返ってきます。
「上半身は細いけれどお尻が大きいのが気になる」「ウエストのくびれがない」「下半身が太いのが気になる」「足が太いのが気になる」などです。
このように、ウエストから下の太さを気にしてダイエットをしている人が多いのですね。
気になるから痩せるということになりますが、その時に彼女たちは食事制限でダイエットを試みてしまいます。
しかし、体重そのものは問題がないのですから、部分的に細くすることを目的にするなら、食事制限はあまり意味がありませんね。
それでは、なぜこういったと頃が気になるようになるのでしょうか。
そのほとんどの理由が、衣服になります。
昭和の女子学生はウエストがしっかりと絞られたスカートを履き、スカートの中にも冷やさないようにしっかりとした下着を身につけていました。
しかし、最近の女子学生のほとんどは、普段ローライズのジーンズを履き、ウエストを引き締めることがありません。
下着もおしゃれなもの、かわいいものは購入しても、身体を守るものに気をつけている人は少ないです。
制服のスカートを短くしようと、ウエストベルトの位置で数回折って履いていますが、あれはウエストをしっかりとベルトで引き締めないので、ウエストが太くなってしまいます。
靴下も、しっかりと足首で絞ったものではありません。
特にひどかったのは、ルーズソックスが流行した頃で、ルーズソックスを履いていた女子学生の多くは足首の太さを気にしていた女性が多くいました。
戦前の欧米の女性は、コルセットでしっかりと体型を絞っていたために、体のラインに凹凸がありました。
日本の女性は和装で帯を締めることで、ウエストをしっかりと引き締めていました。
今の50代、60代の女性もそこまでは引き締めなくても、10代20代の頃は三つ折りのソックスを履き、しっかりと身体全体の線を絞るような衣服を身につけていました。
食事制限や改善などをせずに、体重が今の若い女性よりも多くても、ウエストやヒップなどの周径は細かったのです。
実際にスカートのサイズはここ20年で太くなっています。
同じMサイズのスカートでも、昭和60年代は63cmだったのが、今は66cmになっています。
引き締めないダイエットは、いくら食事改善で体重を落としても、肝心な目的を達成することは難しいのです。
むしろ身体全体は細いのに、寸胴でガリガリ、足首は太いという若い女性を多く見かけます。
全く目的を考えずにダイエットをすると、こういったことになってしまいます。
食事改善と運動を併用したダイエットが大切
衣服だけではありません。
現代は、運動をする機会も減っていますね。
普段の生活そのものでも、この30年間に日本の都市部は本当に便利になりました。
駅も増えて、昔なら歩いたり自転車に乗っていた駅までの距離が、短くなっています。
子どもたちは、親に車で送り迎えをしてもらいます。
体育の授業時数も減り、内容も軽いものになっています。
親も買い物は自転車ではなく、車で行くことも増えています。
これでは痩せるど頃か、運動不足で肥満が増えるのもうなずけます。
細い子どもは、家の中でばかり遊び、子どものうちから骨を鍛えていません。
最近は、腕相撲で骨折をしてしまう子どももいるのです。
いくら食事改善をして見た目が痩せていても、運動をしなければ、ただの「サルコペニア肥満(筋肉量が減るタイプの肥満)」です。
筋肉がもろく骨ももろいため、早く老化していきます。
実際に、50代の女性の中で元々痩せ型だった人の方が、早く骨粗鬆症になるということも言われています。
痩せ型の人の多くは、体全体の骨密度が低いため、早く骨粗鬆症になり、背が縮みやすいのだそうです。
さらに、背が縮むとそれだけ早くBMI値は高くなります。
骨粗鬆症にならないためにも、ただやみくもに食べない食事改善ではなく、上手に栄養を摂って運動をして、本当の意味でのダイエットを目的としましょう。
欧米型から和食へ!食事改善でダイエット
皆さんがダイエットをする目的は何ですか?
10代、20代の今、痩せていることですか?
それともずっと健康でいることですか?
最近では、糖質過多を長年続けると肥満だけでなく、認知症の原因にもなると言われるようになりました。
そのための食事改善として、「低糖質や低炭水化物のダイエットが良い」と話題になっています。
しかし、アメリカでは、日本の私たちが思う肥満は、一般の人の意識では肥満と言われていません。
体重が100kgくらいまでは、肥満とは言わないそうです。
しかし、心臓疾患で命を落とす人の増加で、社会的に肥満を解消するための措置が色々と取られるようになっています。
イギリスも同じで、イギリスでは炭酸飲料や砂糖には消費税20パーセントの上にさらに増税をして、簡単に大量に購入ができないようにし、食事改善を促しています。
しかし、子どもの頃から甘いものをたくさん食べていたアメリカやイギリスの人にとって、食習慣というのは簡単に変えられるものではないようです。
そこで、2018年に、トランス脂肪酸を含む食品の製造販売を規制することになりました。
日本でも、痩せ型の人だけでなく、肥満の人も増えている今、欧米型の食生活を見直す人も増えています。
日本でも欧米型の食事が当たり前になったのは、ここ30年です。
しかし、和食が健康に良いということがユネスコでも認められた今、和食を中心とした食生活が健康に良いと、見直されてきています。
学校給食でも、ご飯や魚、野菜や豆を中心とした献立が増えて、バランス良く食べることを勧めています。
家庭でも煮物や炒め物、魚料理を中心とした食事改善で、健康的にダイエットができると良いですね。
ダイエットを目的とした食事改善
しかし、いくら和食が身体に良いからといっても、糖質過多になってしまうメニューはあまりお勧めできません。
煮物にも、砂糖を入れすぎると糖質過多になってしまう、という人もいます。
そこで、煮物だけでなく焼き魚や野菜の和え物などが必要になります。
食事改善でダイエットをするなら、次のような献立はいかがでしょうか。
目的はダイエットですので、もちろん太りすぎ、太り気味、普通の人へのお勧めメニューのレシピです。
まずは、主食はご飯にします。
そして、できるだけ玄米ご飯や雑穀ご飯にすると、ビタミンB1が摂れるので、糖質のカロリーをエネルギーにすることができます。
味噌汁もつけましょう。
具は豆腐やワカメ、キャベツなどの野菜や大豆食品・海藻が良いですね。
美味しいかもしれませんが、ジャガイモや里芋などいも類の味噌汁は、糖質の摂りすぎになることがあります。
そして、主菜は魚や鶏肉、豚肉にします。
鮭や鶏肉の蒸し物や、豚肉のしゃぶしゃぶなどは、余分な油脂を使わないので、脂質の摂りすぎを予防します。
副菜は、ほうれん草や小松菜の和え物、キャベツのおひたしなど、野菜を使ったものにします。
大豆の煮物や切り干し大根の煮物、蒟蒻・椎茸・たけのこのおかか煮、きんぴらごぼうなどを添えます。
主菜が肉ならおろし大根としらす和え、ちりめんじゃこの和え物なども良いですね。
砂糖も使っていますが、それほど大量に使っているわけではありません。
油も、さっと炒めるために使う程度です。
魚を必ず摂ることで、魚油に含まれるDHAを摂ることができます。
ダイエットを目的とした食事改善では、このような一汁三菜の献立がお勧めです。
食事改善でダイエット
食事改善でダイエットをするというのは、痩せることではなく、健康的な身体を作ることです。
どうか、それを忘れずに、食べないダイエットではなく適切に食べることを心がけて下さい。
そして、適正体重になるよう、食事改善だけでなく、身体全体を引き締めるような衣服を身につけて、運動もしましょう。
自分の理想の体型というのは、健康を保つための体型です。
和食を中心に、いつまでも健康な身体を維持できたら良いですね。