栄養豊富で体に良い酒粕は、カロリーが高くて太るって本当?

飲む点滴と話題になった甘酒の原料である酒粕には、発酵食品特有の優れた栄養素がいっぱい含まれています。

魚や肉を漬け込む粕漬けや、冬の風物詩であるあったかい粕汁もおいしいですよね。

ところが酒粕は意外にもカロリーが高く、太るといわれているんです。

どれくらいカロリーがあるのか、本当に太るのか、どうすれば太らないのか、また酒粕にはどんな栄養があるのかなど、今回は酒粕についてあれこれお話しいたします。

酒粕のカロリーはどれくらいある?太るって本当?

酒粕のカロリーは、100g約227kcalです。

といわれてもピンと来ませんよね。

私たちがいつも食べている白米が100gで約168kcalです。

一般的に白米は1膳で約150gありますので、約252kcalということになります。

酒粕100gよりも少し多いくらいのカロリーですね。

では酒粕100gとはどれくらいの量なのでしょうか。

甘酒で換算すると、1杯に必要な酒粕は約50gですから、酒粕100gは甘酒2杯分に相当します。

甘酒が好きなかたなら、1度に2杯くらいいただきますよね。

おやつとして、一緒にみたらし団子を2本いただくとします。

みたらし団子のカロリーは1本150kcalですから、2本なら300kcalです。

ちなみに成人女性の1食に必要なカロリーは、650kcal程度といわれています。

甘酒2杯+みたらし団子2本のおやつは527kcalですが、実際は甘酒の砂糖が加わっているのでもっとカロリーが高く、おやつだけで1食に相当するカロリーになっているのです。

このおやつを毎日食べたら太る可能性はとても高くなりますよね。

甘酒を飲んだらお菓子は控えるか、低カロリーなものを少量いただくようにしましょう。

酒粕はカロリーが高いけど糖質はどうなの?太る可能性は?

酒粕は100g当たり227kcalとカロリーが高い食品です。

味噌やケチャップと比べてみましょう。

・酒粕(100g)約227kcal
・味噌(100g)約217kcal
・ケチャップ(100g)約119kcal

酒粕のカロリーの高さは一目瞭然です。

では、糖質はどうでしょうか。

酒粕の100g当たりの糖質は約18.6gです。

味噌やケチャップと比べてみましょう。

・酒粕(100g)約18.6g
・味噌(100g)約17g
・ケチャップ(100g)約26.6g

ケチャップほどではないから太る心配はない、と安心できません。

酒粕を使って甘酒を作る場合、砂糖を入れることで一気に糖質がアップするからです。

粕汁にする場合も、味つけや一緒に入れる具材をよく考えないと、糖質がアップして太る可能性が出てきます。

では、どうすれば太らないようにできるのでしょうか。

カロリーが高い酒粕でも、こうすれば太る心配が防げる!

酒粕はカロリーが高く、砂糖をたっぷり入れた甘酒にすると、さらに糖質もグンと上がり、太る可能性が出てきます。

そこで、酒粕を摂っても太らないようするコツをご提案いたしましょう。

①とにかく食べ過ぎない

酒粕でダイエットを考える場合、1日に50gの摂取が推奨されています。

甘酒1杯分に必要な量です。

甘酒が好きなかたは1日で2~3杯飲んでしまうことはあるかもしれませんね。

しかし1日で100gは超えないように気を付けましょう。

食べ過ぎを防ぐコツは、買ってきたらすぐ50gずつの小分けにして、冷凍してしまうことです。

使う前日に冷蔵庫に戻しておけば大丈夫。

冷凍庫から出してそのまま電子レンジで解凍すると、パサついた感じになるのであまりおすすめできません。

どうしてもというなら、水やお酒を振ってから解凍すると良いでしょう。

②甘酒にしないで食事として摂り入れる

酒粕から甘酒を作ると、どうしても砂糖をたくさん加えることになるので、カロリーはもちろん糖質が格段に高くなります。

そのためできるだけ甘酒にするのは避け、食事として酒粕を摂り入れるようにしましょう。

3食のうち1食をかす汁に置き換えると、痩せやすい体が作れます。

③豆腐と一緒に摂る

豆腐の大豆イソフラボンには脂肪の燃焼を促す働きがあります。

酒粕との相性が良いため、豆腐入りの粕汁などがおすすめです。

カロリ―が高くても実はダイエット向き!酒粕に含まれる栄養素とは?

カロリーが高いから太ると敬遠するのがもったいないくらい、酒粕には優れた栄養素がたくさん詰まっています。

・タンパク質

タンパク質は筋肉をはじめ、骨、爪、皮膚、髪の毛など私たちの体を形作っている大事な成分です。

酒粕にはヘルシーな植物性タンパク質が豊富に含まれています。

酒粕をいただくことで基礎代謝が高まり、免疫力が上がるので、日々の食事に積極的に摂り入れましょう。

・食物繊維

酒粕には食物繊維も豊富です。

ご存知のように食物繊維は腸内環境を整えて便秘を解消するため、ダイエットの強い味方です。

また血糖値やコレステロール値も下げるので、健康維持に役立ちます。

・ビタミンB6

脂肪を燃焼させて1日の消費カロリーを増やすため、ダイエットに有効なビタミンといわれています。

酒粕にはこのビタミンB6をはじめ、神経を正常に保つビタミンB1、細胞の再生を促進させるビタミンB2など、ビタミンB群が豊富に含まれています。

・ミネラル

酒粕にはマグネシウム、カリウム、カルシウム、リン、亜鉛、鉄分など、さまざまなミネラルが含まれ、代謝を促進させています。

このように酒粕には、ビタミンやミネラル、食物繊維やタンパク質が豊富なため、太りにくい体を作り出します。

そのうえさらに酒粕ならではの成分が、高いダイエットサポート効果を発揮しています。

・レジスタントプロテイン

たんぱく質の一種ですが、食物繊維と同じような働きをする成分です。

胃腸で消化されにくく、体内に入ってきた脂肪や糖分を絡めとってそのまま体外に排出するため脂肪の蓄積を防ぎ、太らない体になるのです。

・酵母菌由来のβグルカン

免疫力を高め、コレステロール値を下げるといわれています。

・αアミラーゼ

でんぷんの分解を遅くし、太りにくい体を作るといわれています。

酒粕にはダイエットの他にもさまざまな健康効果があります。

次項でご説明します。

酒粕に含まれる凄い健康効果とは?

酒粕はカロリーが高い食品です。

しかし、もともと含まれている成分にはダイエットをサポートする仕組みが備わっており、食べ過ぎない限り太る心配はないといえます。

他にも酒粕には下記のような優れた健康効果があるといわれています。

・糖尿病予防

酒粕にはタンパク質が多く、脂質がほとんど含まれていません。

また脂肪や糖の吸収を抑える仕組みが備わっているため、日常的に酒粕を摂り入れることで、糖尿病を予防するサイクルが出来あがることが期待できます。

・高血圧の予防

酒粕に含まれるペプチドには血圧の上昇を抑える働きがあります。

・ガン予防

酒粕は、ガン細胞を殺すといわれるナチュラルキラー細胞の働きを活発にさせます。

・アレルギー症状の抑制

酒粕には、アレルギー症状を引き起こすもとの働きを阻害するペプチドが含まれています。

・肝臓の保護

酒粕の高い抗酸化作用が、活性酸素の集まりやすい肝臓を守ります。

・美肌効果

ビタミンB群が代謝を促進させるのと、食物繊維によるデトックス効果で肌の新陳代謝が高まります。

加熱すると栄養がなくなる?酒粕の効能を丸ごと生かすには?

カロリーは高くても、食べ過ぎない限り太る心配のない酒粕には、優れた健康効果がいっぱいあります。

しかし、加熱するとビタミン類や酵母が失われるため、酒粕の効能を丸ごと摂りこみたいのであれば、生のまま食べるのがおすすめです。

しかし酒粕には8%程度のアルコールがあるため、子どもに与える場合は必ず加熱して、アルコール分を飛ばすようしてください。

アルコールに強いかたであっても、酒粕をそのままでいただくのは抵抗があるのではないでしょうか。

そこでおすすめの簡単なアレンジ方法をお伝えしましょう。

・他の発酵食と混ぜていただく

酒粕を味噌や豆腐、チーズと混ぜてクラッカーに載せるとちょっとしたおつまみになります。

ディップソースとして、スティック野菜につけていただくのも良いですね。

プレーンヨーグルトを加えてもおいしいでしょう。

また酒粕とプレーンヨーグルトにフルーツやきな粉、黒蜜などを加えるとスイーツになります。

他にもいろいろな発酵食品とのコラボをお楽しみください。

・混ぜてドリンクに

豆乳やドリンクヨーグルトに混ぜて飲みものにすると良いでしょう。

ただし、味の好みがあるので、いろいろなものと試してみると良いかもしれません。

体に良い酒粕をもっと食卓に!

カロリーが高くても、太りにくいシステムを備え、生活習慣病やアレルギーなどの予防効果があるといわれている酒粕。

甘酒にするだけでなく、粕汁などの料理として摂り入れたり、味噌や豆腐などと合わせておつまみにするなど、工夫次第でレパートリーは増やせます。

ヘルシーで栄養豊富な酒粕をもっともっと食卓に登場させましょう。