片栗粉と小麦粉のカロリー差は?栄養成分の違いと使い分け

普段の料理やお菓子作りでよく使い、外食でも口にする機会の多い片栗粉や小麦粉。
何気なく口にしていても、含まれている成分の違いや、料理ごとの適切な使い方は改めて知っておきたいもの。

そこで、今回は片栗粉と小麦粉に含まれているカロリーや栄養成分を紹介し、それぞれの使い分けについてお話したいと思います。

片栗粉と小麦粉、何からできている?

カロリーや栄養成分のお話をする前に、そもそも片栗粉と小麦粉はどのような材料からできているのでしょうか。

片栗粉は主にじゃがいもの炭水化物から抽出される、「でんぷん」から作られた粉で、汁物のとろみ付けや、唐揚げなどの揚げ物の衣に用いられます。
片栗粉と同様の製法でとうもろこし由来のでんぷんから作られるものにコーンスターチがありますが、汁物のとろみ付けに使った場合は片栗粉のように透き通った仕上がりになりにくいので、使い分けには注意が必要です。

対して小麦粉は読んで字の通り、小麦を挽いて作られた、炭水化物が主成分となる粉です。
小麦粉は、粉の中に含まれる「グルテン」という、パン生地などの粘りを出すたんぱく質の量や質によって3種類に分けられます。

1つ目は薄力粉。
薄力粉はグルテンの量が最も少ないもので、粘りが強く出ない分、お菓子や天ぷらの衣など、サクサクとした食感やふんわり軽い食感に仕上げる食品に向いています。

2つ目は強力粉。
強力粉はグルテンの量が最も多く、水を加えてこねればこねる程粘りが増します。
主にパン作りに用いられ、パンのあのもっちりとした食感はこのグルテンによるものです。

3つ目は中力粉。
グルテンの量は薄力粉と強力粉の中間くらいで、ふんわり、もちもちの食感を両立させることができます。
中力粉を用いた代表的な料理としてはうどんが挙げられます。

普段何気なく使ったり口にしている片栗粉や小麦粉にも、細かな分類があることや、たくさんの使い道があるということをお分かり頂けたでしょうか?

片栗粉と小麦粉のカロリー・炭水化物

それでは、片栗粉と小麦粉の正体が分かったところで、それぞれのカロリーと、主成分である炭水化物について分析していきましょう。

文部科学省が発行している最新の食品成分表によると、
片栗粉大さじ1杯分(9g)のカロリー…30kcal、含まれている炭水化物…7.3g
となっています。

次に、小麦粉を種類別に比較してみましょう。
薄力粉大さじ1杯分(9g)のカロリー…33kcal、含まれている炭水化物…6.8g
中力粉大さじ1杯分(9g)のカロリー…33kcal、含まれている炭水化物…6.8g
強力粉大さじ1杯分(9g)のカロリー…33kcal、含まれている炭水化物…6.5g

こうして比べてみると、小麦粉の方がカロリーが僅かに高く、片栗粉の方が炭水化物が僅かに多いということが分かりますね。

片栗粉と小麦粉、なぜカロリーと炭水化物に違いがあるの?

それでは、片栗粉と小麦粉ではなぜ成分に微妙な差が見られるのでしょうか?

この差は片栗粉と小麦粉の製法と、それによって異なってくる含有栄養素に要因があります。

片栗粉はじゃがいもをすり潰した後、水分や繊維などの不純物を取り除いて乾燥させ、でんぷんの粒子のみの純度を高めた粉末として精製されています。
でんぷんは炭水化物に含まれる成分であるため、じゃがいもの他、小麦や米、とうもろこしなど、穀類全般には多くでんぷんが含まれます。
そのため、片栗粉には脂質やたんぱく質がほとんど含まれず、炭水化物の純度が100%に近い粉末であると言ってもよいでしょう。

対して、小麦粉はふすまと呼ばれる小麦の外側の皮を取り除いた後、中身の胚と呼ばれる部分をそのまま挽いて精製されます。
この小麦の胚には炭水化物の他、たんぱく質(グルテン)や脂質、ビタミンなど、様々な栄養素が存在しています。
その中でも脂質はたんぱく質やビタミン類に比べると比較的多く含まれており、脂質は炭水化物よりもカロリーは高めです。

つまり、純度の高い炭水化物の粉末である片栗粉と比較すると、脂質やその他の栄養も混じっている小麦粉はカロリーが高くなりがちであると言えます。

カロリーが違う片栗粉と小麦粉、どう使い分ければいいの?

片栗粉と小麦粉、カロリーや炭水化物の含まれる量や、それらに差があることと、差が生じるメカニズムについてが分かりました。

それでは、どのように使い分ければよいのでしょうか?

たしかに片栗粉は小麦粉に比べてカロリーが低く、小麦粉は片栗粉よりも含まれている炭水化物の比率は少ないです。
しかし、これらの差はとても微々たるものであって、ダイエットなどでカロリーや炭水化物の制限に注目した場合、片栗粉と小麦粉、どちらを選択すればよいかという問いはナンセンスと言えるでしょう。

それぞれがどのような料理に適しているかを知り、「料理をより美味しく作るため」に使い分けをすることが肝心なのです。

そのための適性を次でお話ししていきます。

料理へのとろみ付けはどっちを使う?

まずは「とろみ付け」をするときの特徴を見ていきましょう。

片栗粉でとろみを付けた液の透明度は高く、中華料理のあんや、お吸い物のとろみ付けなど、透き通った仕上がりにしたい場合に向いています。
また、薄くとろみを付けた場合はさらさらと喉ごしのいい口当たりになりますが、水に対して片栗粉を多めに加えて加熱をするとダマができやすく、ぺったりとした仕上がりになりやすいので注意が必要です。

対して小麦粉で料理にとろみを付ける場合は、グルテンの量が少ない薄力粉を用います。薄力粉でとろみを付けた場合の液は少し濁り、料理の味わいにも薄力粉特有の小麦の風味が加わるのが特徴です。
クリーム状のなめらかな口当たりの仕上がりになるため、シチューやカレー、ホワイトソースなどの西洋料理や、乳製品を用いた濃厚な味わいの料理のとろみ付けに向いています。

とろみ付けの場合は片栗粉、小麦粉それぞれのカロリーの差自体が、料理に直接何かしらの影響を与えることはありませんが、含まれる脂質やミネラルなどの栄養素の差で、口当たりや見た目にかなりの違いが出てきます。

料理の口当たりや見た目の仕上がりを考えて、上手く使い分けましょう。

揚げ物の衣にはどっちを使う?

揚げ物の場合、片栗粉と小麦粉、どちらを使ったらいいか悩むこともありますよね。

こちらの場合は、片栗粉と薄力粉のカロリー、栄養成分の差は料理の見た目に大きく影響することはありませんが、食感に違いが見られるようになります。

衣に片栗粉を使って揚げると、できたてはパリッと歯応えのいい仕上がりになりますが、時間が経つと衣が水分を吸収してべとっとした食感になりがちです。

対して小麦粉(薄力粉)で揚げると柔らかい食感に揚がり、肉汁や食材の旨味を食材の中に閉じ込める効果があります。
また、小麦粉の衣の場合は時間が経っても柔らかい食感のままでべとっとしにくく、お弁当に入れる際などに向いていると言えるでしょう。

けれど、できたてはパリッとした食感で頂きたいし、余ったらお弁当にも入れたい…そんなときには片栗粉と小麦粉を半分ずつ混ぜて使えば、両方のいいとこどりをすることができます。

見た目もカロリーも似ていても、実は結構違う!

いかがでしたでしょうか?

片栗粉と小麦粉、どちらも同じ炭水化物がメインで、見た目やカロリーなどの栄養成分もよく似ている食材ですが、料理に使った場合の仕上がりはかなり変わるもの。

普段何気なく使っているものも、少し踏み込んでその成分や特徴を知った上で使うと、いつもの料理もより美味しく、より自分好みに作られるかもしれませんね。